ディベートとは何か?
目的と効果は?
やり方のコツは?
この記事では、「ディベート」について、知っている限りのことをすべて解説をしています。13000文字越えとやや長文ですが、漫画風にしたり、画像を多めに使ってわかりやすいように解説をしています。
しばらくお付き合いください。
0 目次
1 ディベートとは何か?
まずは、ウィキペディアの定義を参照しますね。
ある公的な主題について賛成側と反対側に分かれて行う討論をディベートと呼んでます。
ディベートとディスカッションは混同されがちですが、実は両者には明確な違いがあります。
ディスカッションとディベートの違い
ディスカッションは、自由に議論や討論や意見交換ができる場です。対して、ディベートは意見対立を前提にして、異なる立場から両者の議論を真っ向からぶっつけます。
- 主題・・・賛成・反対でケリがつくテーマがある
- 立場・・・必ず「賛成する立場」と「反対する立場」に分かれる
2020年のコロナ渦の時代を思い出してください。
コロナ渦の中、我々はどうするべきか?という主題で話し合った場合は、ディスカッションになります。対して、ディベートでは、日本政府は緊急事態宣言を発動するべきかである、賛成か、反対か、と既に何をするかが決まっていて、賛成側と反対側の議論を戦わせて決着をつけます。
ディベートとディスカッションの違い
ディベートは、「口けんか」「言い負かしあい」なのか?
結論から言うと、ディベートそのものは口けんかや言い負かしあいと同じです。
そのままディベートをしたら、間違いなく口ケンカや言い負かしあい、あーいえばこーいうの世界になります。だからこそ、一定のルールや勝敗の基準などを設けて、ゲームとして参加者がフェアに戦えるように設計されています。これを、教育ディベート/競技ディベートと呼んでいます。
これからお伝えしていくのは、競技ディベートになります。
2.ディベートの特徴4つ
ディベートの特徴-4つ
- 1.テーマ-意見他律を前提にしたテーマを用意する
- 2.対戦相手-選手を肯定側と否定側に分ける
- 3.タイムテーブル-スピーチの「時間」「順番」が決まっている
- 4.勝敗の決め方-ゲームの勝敗は第三者であるジャッジが決める
2-1 テーマ-意見対立を前提にしたテーマを用意する
ディベートには、必ずテーマがあります。
「日本はどうあるべきか?」「私たちは、〇〇に対して何をするべきか?」と漠然なテーマではなく、賛成/反対が明確になっており、必ず決着がつくように設計されています。
実際に、即興ディベートワークショップで行ってきたテーマを一部紹介します。
※ボタンを押してください
必ずテーマの主人公が存在しているところに注目をしてください。
主人公とは、日本政府や公的機関、特定の企業や組織、漫画の主人公など、広く一般的に知られている存在です。
この主人公にとって、その「行動」が望ましいか、どうかについて討論していきます。
例えば、「日本政府はリモートワークを推進するべきである」というテーマでディベートをするとします。
この場合、日本政府の立場でリモートワークを推進することによるメリット・デメリットについてディベートの試合をすることになります。
ディベートで大事なのはテーマの設計です。
主人公を明確にしないと、誰の立場で意見を述べているのかが解らなくなります。
会社の会議などで、各々が自分の意見や考えを述べるだけで「いろいろな人の意見があるよね。はい終わり」で終わった事はないでしょうか?意見がたくさん出てくるのに、話がまとまらないのは、話し手が自分視点で意見を伝えているからです。組織やグループ単位で物事を考える習慣をつけるためにディベートは最適なトレーニングになります。
ディベートのテーマの作り方についてはこちらのページを参考にしてください。
-
ディベート-テーマ(論題)一覧-10年の軌跡
「どうせディベートをするなら、自分の興味があるテーマでしてみたい!」って人に向けに書いてみました。 いちおう、これでもディベートの選手、試合の審判(ジャッジ)、大会運営、ディベート系の企画立ち上げと幅 ...
続きを見る
-
ディベートのテーマを作るときに決めること3つ
インプロ部の即興ディベートでは、みんなでディベートを作る!ことを何よりも大事にしています。他のディベート団体だと主催者の人達がテーマを作って、参加者の人達はそのテーマにそってディベートの試合をするだけ ...
続きを見る
2-2 対戦相手-選手を肯定側と否定側に分ける
テーマが決まったらグループ分けです。
はじめにお伝えしておくと、ディベートの試合では、肯定側になるか、否定側になるかは、試合直前までどちらになるかわかりません。
ほとんどの場合、事前にジャンケンやコイントスなどをしてランダムで決められます。原則、個人の主義主張をディベートの試合に持ち込むことはできません。
特定の主義主張・思想が強い人は、ディベートに向いていません。例えば、あなたがベーシックインカムに賛成であっても、反対側の立場になれば、その議論を最後まで反対しないといけません。共産主義を推進していても、資本主義側になれば、資本主義を支持する議論を作る必要があります。
よく異なる立場から物事を考える力が必要だ!と言われますが、ディベートを通してこの知見を得ることができます。意外かもしれませんが、ディベートはカウンセラー職の方からも支持されています。
2-3 タイムテーブル-スピーチの「時間」「順番」がキッチリ決まっている
ディベートの試合は、タイムテーブルに従って進められていきます。
タイムテーブルは、団体によって異なりますが、インプロ部では以下のタームテーブルを採用しております。
- 立論スピーチ-自分たちの議論を発表するスピーチ。主に議論を組み立てて言葉のみで伝える。立論直後に、相手側から立論の内容について質問をする機会が設けられている。プレゼンテーションと質疑応答
- 反駁スピーチ-お互いの議論(立論)を戦わせるスピーチ。反論、再反論の攻防戦を通して、どの点で自分たちの議論が優れているかをジャッジにアピールする。討論とクロージング
前半の立論スピーチでは、自分たちのたたき台となる議論を出して、後半の反駁スピーチで、本格的に議論をしていきます。ディスカッション系のイベントでは、様々な論客が様々な意見を出して、「色々な意見が出ましたね。楽しかったです」で終わりますが、ディベートは、そこから一歩進んで、その色々な意見に対してひとつひとつ決着をつけていきます。
だからこそ、自然と議論が深まるようになるのです。
2-4 勝敗-ゲームの勝敗は第三者であるジャッジが決める
最後ですね。これは競技ディベートでは絶対にあります。(例外はありません)
ディベートの試合では、議論の勝敗を下すのは選手以外のジャッジや観客であり、選手(ディベーター)自身で勝敗を決めることはできません。
よって、ディベーターたちは、相手を言い負かすのではなく、第三者から納得してもらうような話し方をする必要があります。上図にわかりやすく話すのはもちろんですが、相手選手よりも一歩深いところで物事を考えていく必要があります。
2-4-1 第三者を説得する
以下、即興ディベートの試合風景です。
顔にぼかしを入れています。
- みなさん直接相手のほうを見て議論はしていない
- ジャッジに向かって自分たちの議論を論じている
議論の判定をするのは、ジャッジ・観客なので、その人たちを説得する形でスピーチをします。お互いの顔を見て議論をすることもありません。
【余談】
こうやってディベートを教えている立場ですが、私も面と向かって人と議論をするのは好きではない。いくら自分の主張・論理に自信があっても、相手が不快そうな顔をしていたら、やっぱり躊躇する。人間ですから。
これはビジネスに置き換えるとわかりやすいかもしれません。
- 説得するべき対象はお客様である
- お客様は複数の選択肢を持っている
- あなたは自社の商品が他社の商品よりも優れていることを伝える
- 最後に決めるのはお客様である
2-4-2 第三者(ジャッジ・観客)の役割とお仕事
今度はジャッジ・観客の立場でお話をします。
ジャッジ・観客の仕事は、判定を下すこと。これに加えて、選手(ディベーター)に、なぜ「その判定」に至ったか?その理由を伝えることです。
ジャッジになると、「何となく納得できた」「こっちのほうが納得感があった」といったような曖昧な判定の仕方は許されません。ジャッジは、常に「どんな議論があって」「ひとつひとつを、どう評価して」「どのような判定に至ったか?」を細かく説明をする必要があります。
加えて、ジャッジは、みんなの前で、自身の判定理由を発表しなければなりません。
そして、選手の質問には全て答える義務も負っています。
【余談】ジャッジに向いていない人
議論の席で、「私の考え的には~(以下持論)」と事あるごとに自分の考えで議論をまとめたがる人。その場にいる人たちは、自分たちの議論がどのように認識されて、判断されたかに興味があるのであって、ジャッジ独自の価値観や考えに興味はない。
以上がディベートの4つの特徴になります。
この4つを抑えておくと、学校の授業や会社の研修でディベートをする際にスムーズに進みます。
番外編-ディベートのルール
- ルール1-口けんか・口論を防ぐため
- ルール2-議論の中身に集中するため
- ルール3.議論の拡散を防ぐため
3 ディベートは効果あるのか?
では、次にディベートの教育効果についてみていきましょう。
3-1 聴く→考える→まとめる→伝えるのサイクルを回せる
この【聴く】【考える】【まとめる】【伝える】の4つの技術をひとつの流れで順番に学べて、更に実践を通して自分のものにできる点ですね。
例えば、こんな講座をよくインターネットの広告で目にしないでしょうか?
- カウンセラーから学ぶ傾聴の技術
- ロジカルシンキング習得講座
- 3分で自分の考えをまとめるプレゼン講座
- 相手を引き付ける話し方講座
全て素晴らしい講座や研修なのかもしれません。しかし、他者とコミュニケーションをするにおいて、どれかひとつでもかけてしまうと良好なコミュニケーションはできないのです。
私は、人前でサクサク話すことは得意ですが、人の話にじっくりと耳を傾けることは苦手なタイプです。また、逆のタイプの人もいます。
私の友人のAさんは、営業の仕事をしていて非常に聞き上手で対応も丁寧です。「聴く」「伝える」については、私も学ばせてもらっています。ところが、そんなMさん…話の内容が専門的になったり、掘り下げて考えることが要求されるシーンになると、かなり逃げ腰な態度になります。
日常会話や世間話を行うだけなら、ディベートのスキルはほぼ必要ありません。決断することを前提にした対話の中でディベートの効果は高く発揮します。
3-2 実践力6つのスキル
戦略策定:ディベートの試合では、スピーチの時間に制限があるため、事前にどのような議論を作り試合運びを有利に進めるかを徹底的に考えます。仕事の会議や個人でコンサルを請け負うときも、時間は限られているため、事前に落としどころをいくつか作っておきます。これができると、まるで将棋を指す感覚でお客様とコミュニケーションができます。(失敗して凹むこともありますが)
意志決定力に関しては、ディベートの試合では必ず「決断」が求められることが大きいですね。2010年ごろに滝本哲史氏の「武器としての決断思考」という本が販売されて、ベストセラーになったことはご存知かと思います。
著書の決断思考は、「何をする/しない」を合理的に決定する方法で、その意志決定力を育むためにディベートが有効な手段というものでした。
この考えにはほぼ納得ですが、実はもうひとつの決断思考が即興ディベートの中にはあります。それは、相手の主張を聴いて瞬時に考えをまとめて、自分の順番が回ってきたら、即興で議論の構成を決めたり、ジャッジ・観客の理解度に合わせて言葉をチョイスするなどの即興性の高い決断です。言い換えるなら、運動神経であり、反射神経です。
決断思考の効果が発揮するときは、講師のお仕事やワークショップのインストラクターをしているときですね。どんな質問に対しても、その場で反射的に答えます。(事前準備型の講座は一切やっていません)
もちろん、常にうまくいくわけではなく、失敗することも多々あります。
その時は、PDCAを回すようにしています。ディベートの試合には、必ずP:戦略策定、D:戦略実行、C:効果の検証、A:改善案を検討をするステップがあるため、自然とPDCAについて意識をするようになります。PDCAは頭でわかっているけれど、実践に落とし込むのが苦手だと思ったら、是非ともディベートにチャレンジをしてみてください。1時間でPDCAの要領を覚えることができます。
対比思考やメタ認知についてはまた今度書きます。
ディベートの教育効果や学べることについてもっと知りたい方はこちらの記事を参照してください。
-
ディベートは役に立つの?目的と教育効果4+6点
Q:ディベートって役に立つんですか? こんなスキルが身に尽きます。 ディベートで身につく力 基礎スキル:傾聴力、分析力、構成力、伝達力 教育効果:思考力、判断力、表現力 実践スキル:複眼思考、戦略策定 ...
-
文部科学省さん!思考力・判断力・表現力はディベートでカンタンに伸ばせます
どうも! ディベートは役に立つの?目的と教育効果4+6点 の続きです。 先日、文部科学省のホームページに訪問したら、面白い記事が・・・。 次世代の教育:思考力+判断力+表現力 新しい学習指導要領の「学 ...
繰り返しになりますが、この4+6のスキルは即興ディベートによって身につきます。
【おまけ】2つのディベート:アカデミックディベートと即興ディベート
まず最初に知っておいていただきたいことが、ディベートにはリサーチ重視のアカデミックディベートとスピーチ重視の即興の2つがあるということです。
図にするとこんな感じです。
- 「リサーチ」重視型(米国型)-アカデミックディベート
学術論争をモデルにしたディベート。事前にテーマが告知されて、選手は2~3カ月の期間、証拠資料(エビデンス)集めや立論・反論カードを作成して、試合の準備を行う。たくさんリサーチをした人がゲームの勝者になる。 - 「スピーチ」重視型(英国型)-即興(パーラ)ディベート
その場でテーマを決めて、選手を肯定側・否定側に分けて、チームごとで数分間で作戦会議を行い、いきなり試合をする。スピーチの上手さ、アドリブ力、話の組み立て方が勝負の決め手になる。即興力が勝負
アカデミックディベートはじっくりとリサーチ/即興ディベートはがっつりスピーチと覚えてください。
アカデミックと即興では、テーマ発表から試合まで、求められることや試合の決着の付け方がだいぶ違ってきます。
学術(アカデミック) | 即興(パーラメント) | |
---|---|---|
テーマ発表から試合まで | 2~3か月前にテーマが告知されて、そのテーマに関するリサーチを行い、試合までに肯定側と否定側の議論の原稿を作り上げて議論に挑む | その場でテーマが発表されて、選手(肯定側/否定側)/ジャッジの役割を決める。選手は15~20分程度で作戦会議を行い、即興形式で議論に挑む |
求められること | ・情報(証拠資料)の収集力や現行の作成能力 ・高速で原稿を読み上げる力(1分間500~600文字を目安) ・試合までにどれだけ準備をしたかが問われる |
・アドリブ力/スピーチのうまさ/議論の組み立て方 ・自分の言葉で伝える力/相手の言葉の定義や概念を探る力 ・その場でどれだけ即興で対応できるかが問われる |
優劣のポイント | ・証拠資料の量&量と運用力 | ・即興力や議論運びの上手さ |
活かせるシーン | 学生が論文を書くときに力を発揮する | 日常会話や難しい話をするときに力を発揮する |
両者に優劣はありません。あなたが、何を学びどんなスキルを身につけたいかです。
当ワークショップでは、即興ディベート中心でしたが、お客様の要望もあり2019年からアカデミックほどガッツリは行いませんが、デジタル・ITや働き方改革をテーマにしたリサーチ有のディベートもはじめました。
ディベートの流れと例
まずは、テーマを用意して、そのテーマを肯定(否定)するために、メリット(デメリット)を作っていきます。
今回は、日本は消費税を引き上げるべき!で考えていきましょう
ではいきます。
立論-議論のたたき台を作る
立論では、自分たちのテーマを肯定(否定)する理由を述べていきます。最も手っ取り早いのは、その政策(法案)が実施されるための、メリット(デメリット)をストーリーにすることですね。
肯定側立論
消費税を引き上げるべきです。なぜなら、今の日本の財政を見るか限り、支出に収入が追い付いていません。先日のニュースだと日本の借金は1000兆を超えてしまい、その額は今も膨れ上がっています。このまま財源が尽きれば、日本はギリシャのように国家破綻をしてしまいます。実際に、ギリシャでは政府が国民に対して満足に行政サービスを行えないどころが、各支援国の指示に従っているため、生活面でかなりの制限が課せられていると言われています。日本も借金を返せなければ、同じような状況になるでしょう。だからこそ、消費税を引き上げて、政府の借金を返済して、将来がの子供たちが行政から満足のいくサービスを受けられるような状態にしなければなりません。
と、このように、肯定側は消費税を引き上げるべき正当(?)な理由を論じていきます。
否定側立論
消費税を引き上げることに反対します。なぜなら、私たちの生活が苦しくなるからです。例えば、消費税を2%引き上げただけでも、これまで10,000円に対して消費税を800円支払っていたものが11,000円になります。確かに微々たる差かもしれませんが、これを月20万円支出しているケースに置き換えてください。+4000円の課税を強いられるわけですね。そして、私たちは、この4000円分を補填するために、どこかの消費を抑制します。その消費はぜいたく品かもしれませんが、そのぜいたく品によって助かっているお店や産業があるんですね。コンビニ、アルコール、レジャーでもなんでも構いません。そういった産業にお金が回らなければ、そこで経営が悪化する企業が増えます。
この時点で否定側は、肯定側の立論に対して直接反論せずに、まずは同じようにこのテーマを反対する理由を述べていきます。
立論が終わったら、次に行うべきは、その立論に対しての質疑・応答です。ディベートの試合では、選手は物凄い速さでスピーチをするので、聴き洩らしたことやもう一度確認をしておきたいことを質問します。この時点で反論はしません。次の反論に備えて、情報集めをします。
質疑・応答
質疑は、立論直後に相手サイドから行われます。最初のスピーチが肯定側なので、肯定側立論の直後に否定側が質問をしていきます。
否定側→肯定側に対する質疑
- 【質疑】日本の借金が膨れ上がっているのはわかりましたが、国家破綻するレベルなのでしょうか?確か、ギリシャが破綻したときの借金の額って・・・30~40兆円でしたよね?
- 【応答】はい。確かに・・・(あれ・・・焦る)・・・日本それ以上にヤバいってことです。1000兆ですよ
- 【質疑】わかりました。次の質問ですね。消費税を引き上げれば、借金は返済できると立論上で説明していましたか?
- 【応答】はい。しました(ヤバイ・・・確かに言ったが、具定例を示していない)
と、こんな感じに相手の議論の核心を突きながら、相手が立論で論じたことと論じてないことを明確にしてい聴きます。
では、逆の肯定側から否定側に対しての質疑も見ていきましょう。
- 【質疑】仮に私たちの月の支出が200000円だとすると、その負担は4000円+なんですよね。それが負担ということでしょうか?
- 【応答】はい。立論でも述べたように、ちょっとしたぜいたく品をあきらめるぐらいの効果はあるんですね。
- 【質疑】なるほど。確かに4000円分の消費に対するしわ寄せはありそうですが、それは産業やお店がつぶれるレベルなのでしょうか?かつて消費税が5%から8%に増えたときに、どこか大打撃を受けましたか?
- 【応答】どこかあるんじゃないですかね?(知らんがな!)
と、同じようにお互いの立論の核心を突きながら、相手側の議論の根拠や理由が主張を支えているかを検証していきます。
立論と質疑が終わったら次は反駁です。
反駁
反駁では、お互いの立論を元に再度議論をするイメージですね。
通常、反駁は2パートあり、最初の反駁でお互いの立論に対して、攻撃と守りを応報を繰り広げながら、自分たちの議論のほうが相手の議論よりも説得力があることをジャッジにアピールしていきます。
3種類の反駁
- ①攻撃-相手の議論(立論・反駁)の弱点を指摘すして、論理のつながりを崩していく
- ②防御-相手から受けた反論に対して説明の足りていない部分を補足説明する
- ③比較-お互いのメリット・デメリットを比べて、自分たちの方が説得力が高い理由を示す
否定側第一反駁
肯定側の立論に2点反駁します。
1点目:借金が膨れ上がっているのは認めますが、ギリシャを引き合いに国家破綻を論じることは不適切です。そもそも借金の額や借入先が違います。日本の場合は、国内に借金をしているため、状況が違います。2点目:消費税を10%にしても、焼け石に水です。日本の年間予算が100兆ぐらいですから、満額になっても最大2兆の効果しかありません。1100円を返せるわけがないのです。むしろ、消費税upに伴う消費抑制を危険視するべきです。
肯定側第一反駁
まず否定側立論に反論します。確かにしわ寄せを受ける産業はあるのかもしれませんが、否定側は立論上で、そのお店や産業を具体的に示していません。消費税が5%~8%にアップしたときを思い出してください。一時的にはみんな驚きましたがスグに慣れました。市場経済とはそういうものです。次に否定側の反論に反論します。最大で2兆円の効果しかないとおっしゃっていましたが、アニメ産業の規模は2兆円です。つまり、それだけの効果がある額です。
とこんな感じでお互いの議論に対応していきます。そして、最後にお互いの議論に対して決着をつけていきます。
続きに関してはまだ今度書きます。
4.即興ディベートワークショップの活動内容
即興ディベートワークショップとは?
私が運営しているディベート講座です。
個人の実践的な能力開発、専門家の活躍の場を広げる、異業種交流戦、日々のストレス解消、仕事がなくなった時の防衛策、同業種・異業種の人ともつながる、ホームページ制作のお客様獲得、ウェブマーケティングの練習などを目的に運営しております。
では、次に即興ディベートワークショップをモデルに実際にどんな形でディベートが行われているのかをお伝えしていきます。
即興ディベートワークショップのディベート
- テーマ決め/アイディア出し
- リンクマップ・議論を作成する
- 肯定側・否定側・ジャッジを決める
- チーム内で作戦会議をする
- 試合開始 ※タイムテーブルに従って進める
- 試合の判定・講評
ディベート団体と比べて独特な文化があるのかもしれませんが、様々な業界・職種の方が参加をしてくださり、その中で皆様から求められていることを拾い集めて社会人の方から必要とされるようなディベートを作ってきました。
これまで参加して下さった方
税理士/社労士/行政書士/システム設計者/Webデザイナー/エンジニア/映像クリエーター/プログラマー/イラストレーター/Webディレクター/機械設計者/小規模事業者/個人事業主/コンサルタント/飲食店経営/プロ・コーチ/経営コンサルタント/ショップ経営 カウンセラー/ITコンサルタント/スクール経営/講師/人材コンサルタント/NPO・協会運営 教育者/中小企業診断士/フリーター/ニート/大学生/高校生
業種/職種に絞らず社会人の方がお持ちのニーズは以下の通りでした。
- 自分の意見や考えを自信をもって伝えられるようになりたい
- 会社で会議をしていて、話の論点がわからなる。キチンと論理で考えたい
- 聴き手から「なるほど!」という言葉を引き出したい、突っ込まれたくない
- スキル・経験・資格を武器に変えたい。学んだことをそのままで終わらせたくない
- ディベートに興味がある。チャレンジをしたい
- 会社の研修や学校の授業にディベートを取り入れたい
などですね。最近は、ディベートそのものに対してもニーズが増えてきたので、ディベート講座を開けるように資料提供などもしております。ありがたいことです。(ほんと・・・)
即興ディベートワークショップで意識していることは、単にディベートの試合を経験して終わりではなく、ひとつ視点をあげて、みんなでテーマを作ったり、試合の判定が終わってから、試合の内容を通じてその日に学べたことを共有するなど体験価値の最大化を常に意識しています。
4-1 テーマ決め/アイディア出し
まずはディベートのテーマ決めます。テーマは、原則みんなで決めて、そのテーマでディベートをしていますね。
- 日本政府は、タブレット授業を推進するべきである
- 日本は、子供園を増やすべきである
- 日本政府は、副業禁止を禁止するべきである
- ネルフは、ガンダムを開発するべきである
- 日本政府は、労働者が転職することを前提にした制度作りをするべきである
折角の休日イベントなのでお堅いテーマよりも、ちょっとクスッと笑えるような面白いテーマでディベートをしていますね。
テーマが決まったらアイディア出し。簡単にマインドマップのようなものを作って、論点の洗い出しや、メリット・デメリットを列挙しています。
これは2016年の夏に作ったリンクマップです。この時のテーマは、東京都は都知事の年収を都民のアンケートによって決めるべき、でした。
リンクマップが作れるようになると、マインドマップも簡単に作れるようになります。マインドマップがお好きな方は是非とも一緒に覚えてください。
4-2 役割を決める
議論の方向性が見えてきたら、次に選手とジャッジの役割分担です。
- 選手-肯定側と否定側
- ジャッジの人数(偶数・奇数)
4-6人でグッとパーをして、チームを決めます。その後に、チームの代表者同士でジャンケンをして勝った方が肯定側。負けたほうが否定側です。
4-3 チーム内で議論を作成する
チームに分かれたら、10分~15分くらいで、作戦会議を行います。主に立論作成を行います。
立論作成シートを作成したので、肯定側なら肯定側の立論作成シート・否定側なら否定側の立論作成シートをお渡しします。
4-4 試合開始 ※タイムテーブルに従って進める
各スピーチの流れについては以下の表をご覧ください。
各スピーチの流れ
スピーチの順番・時間役割は、以下の用紙にそって進めていきます。
ディベートの議論を書き留める用紙のことをフローシートと呼びます。
フローシートの書き方:ディベート試合編-フローシートを上手に書くコツ3つ
4-6 決着と振り返り
肯定側第二反駁が終わったら、試合の判定を行います。即興ディベートワークショップの初回の講座であれば、私がジャッジを担当しています。複数回参加をしてくださった方には選手だけではなくジャッジなどもお願いをしております。ジャッジを経験すると、ディベートの見方が物凄く変わります。
これは、今まで就職活動などで面接を受けてばかりしていた人が、面接官になると同じですね。
ディベートの試合が終わってからは、みんなで振り返りや雑談などをしていますね。クタクタになるまで考えた後のクールダウンは楽しいものです。なお、このタイミングで楽しくなったら、おそらくあなたはディベートに向いています。
5.2019年の目標
ディベートの敷居を低くして気軽に誰でもディベートに興味を持ってもらえるようにしたいですね。
ただ単にディベートのノウハウを教えて、試合に勝つだけのマニュアル的なディベートを仕込むだけではなく、ディベートをはじめてくださる方にキチンと価値を提供できる講座を開発していきたいですね。