Q:ディベートって役に立つんですか?
こんなスキルが身に尽きます。
ディベートで身につく力
基礎スキル:傾聴力、分析力、構成力、伝達力
教育効果:思考力、判断力、表現力
実践スキル:複眼思考、戦略策定、意思決定力、メタ認知、対比思考、PDCA
などですかね。
ディベートについては、ディベートの基礎知識-4つの特徴- を参照ください。
ディベートは実際にどんなことをするのかをキチンと説明して、そのうえでどのような効果があるのか?を解説していきます。ついでに、ディベートに向き・不向きな人も・・・。
是非とも参考にしてください。
はじめに
ディベートの目的と中身
ディベートの定義や進め方は団体ごとにだいぶ異なりますが、即興ディベートワークショップでは、下図の4つを含めてディベートと呼んでいます。
- ディスカッション
何らかのテーマを決めて、各チームでディベートの試合に向けて作戦会議をすること - ディベート
テーマにそって肯定側と否定側が意見を戦わせること。両プレーヤーは交互にスピーチをする - ジャッジメント
必ず試合の決着をつけること。試合は、選手同士ではなく、第三者(ジャッジ・聴衆)に委ねられる
この「テーマ決め」「作戦会議」「試合・ゲーム」「判定・講評」の4つのプロセスと「ディスカッション」「ディベート」「ジャッジメント」の3つを行っています。これを全て含めて「ディベート」と呼んでいますね。
(ディベートの中に「ディベート」って言葉が入っているのが気持ち悪いですね。すんません)
「テーマ決め」「ジャッジメント」を含めた理由
即興ディベートワークショップ参加者様から、「大学の授業や会社の研修でディベートを行ってみたい」「2時間程度でできるディベートのパッケージが欲しいという要望を頂いている。
そして、ディベートを行う目的はただひとつ。それは、参加者様の「能力開発」です。
ディベートで身につく4つの基本スキル
- 1.傾聴力
相手の主張を聴いて、何が言いたいのか?キチンと裏付けがあるか?論理が飛躍していないか?を理解していく
→結果:相手が何を言ったか?だけではなく、何を言っていないか?本当は何を伝えたかったか?まで理解できる - 2.分析力
自分の主義・主張に囚われず、第三者の視点で論理を多面的に考察する力。物事を掘り下げて考える力
→結果:特定の分野や自身の偏見に囚われず、物事を真逆&客観的に考えられるようになる - 3.構成力
これから話す事を整理する力。どうすれば相手に伝わるかを考えていき、情報を論理立てて構築する
→結果:人から話を降られても、その場で論理を構成して、自分の言いたいことを伝えられる - 4.伝達力
聞き手の理解度に合わせて、言葉を選んでいく。相手の反応を見ながら、表現方法を巧みに変えていく
→結果:相手に伝わらければ、その場で「伝え方を変えればいいや」と思えるようになる
ディベートでは、この4つ力をゲーム感覚で身につけることができるんですね。
聴くx考えるxまとめるx伝えるの方程式
- 日常で誰かと会話をしているとき
- 上司やお客様と深い話をするとき
- クライアントに何らかの支援をするとき
私たちは、必ず相手の悩みや要望を聴いて、何らかのリアクションをすることが求められます。あなたの仕事が何であれ、私たちの仕事には必ず相手がいて、コミュニケーションをする-聴いて、考えて、まとめて、伝える-ことです。
そして、4つのうちどれかひとつが「ゼロ」もしくは著しく「低下」したら、その時点でコミュニケーションは破たんします。
- プレゼンが上手&相手の話を聴くのが下手
一方的な伝え方になってしまい、言葉のキャッチボールがコミュニケーションが成立しない - 聴き上手でも&思考力や伝達力がない
上手に相手の話を聴けていても、咄嗟の質問や難しい話についていけずに答えられずパニックになり、伝え手は不安になる - 傾聴力と伝達力OK&思考力・構成力NG
たとえ上手に聴いて話せても、思考力や表現力が弱ければ、表面的な日常会話は得意でも難しい問題や専門的な話にはついていけない
どれかが秀でていても、4つのどこかに問題があるとコミュニケーションは上手に回らないんですね。
ディベート-即興ディベート-をすると、みんなこのことを体感してくれますね。
ただ、あまり弱点のほうにフォーカスして、凹まないでくださいね。
応用スキル6つ-答えのない問題で力を発揮する
- 1.複眼思考
弁証法のひとつで物事を両方の側面から検証する力。例えば、一般的に「消費税10%は国民にとって負担だ」という考えから、「必ずしもそうではない」「逆に、生活がよくなるのでは?」という視点も持てる状態 - 2.戦略策定
ディベートの試合は、必ず制限時間がある。たくさん知っている人よりも、時間内の議論運びが上手な人が勝ちやすい。そのためには、試合前と試合中に議論全体や個々の論点を取捨選択していく必要がある - 3.意思決定力
別名:決断力。意思決定には2つある。ひとつは、物事をプラス面とマイナス面から検証して、感情に流されず、合理的に意思決定を下す力。(マクロ)もうひとつは試合全体を通して、勝つためにどのような議論展開をするのかを判断していくスキル(ミクロ) - 4.PDCA
P:事前の作戦会議や自身の仮説、D:仮説や戦略を議論に反映させる実践、C:ジャッジや聴衆からのフィードバック・反応、A:次の試合に備えての改善計画や弱点克服 - 5.対比思考
物事を、「正しい、間違い」「良い、悪い」「だ、である」と黒・白の絶対的で捉えるのではなく、「どの程度正しいか、どの程度間違いなのか?」「相手の議論と自分の議論はどちらの方がより説得的か?」など定性的&相対的に対比しながら考える - 6.メタ認知
ひとつ高い視点で物事をとらえる力。例えば、死刑賛成・反対論者は、自分たちの人権論や前提を押し付けているだけだから、視点は低い。対して、国家の政策・国際社会全体の流れを捉えて、ポジショントークできる人のほうが視点は高い
と、ディベートでは、この6つのスキルを身につけることができます。
ディベートは、本当に【答え】がない!
この前提を受け入れられるのであれば、あなたはディベートに向いているかもしれません。そして、楽しめるかもしれません。
ディベートの魅力は、本当に答えらしいものが用意されていないことです。お手本や見本は用意されていても、そんなのは数秒後に覆せられます。
私自身、はじめてディベートを学ぶ人に対して、もっともらしい答えを教えることはありますが、その答えを覆すような別の反論を既に用意しています。(笑)
例えば、私は今あなたに「ディベートは役に立つ」と論じています。そして、ディベートならではの魅力を伝えています。そして、同時に「ディベートなんて全然役に立たない」「むしろ、ディベートを学ぶなんてデメリットしかない」という記事も書くことができます。むしろ、こっちの方が得意かもしれません(笑)
もしもあなたが答えのない問題に直面して、誰からもアドバイスをもらえずに、本当に自分で何かを考えなければならなくなったときに、ディベートは役に立つでしょう。
では、ここからディベートに向いている人、向いていない人についてもお伝えしていきますね。
【社会人限定】ディベートに向いている人・向いていない人
「ディベートに興味があるのですが、私はディベートに向いているでしょうか?」とよく質問されます。ディベートって、なんだか頭がいい人がするイメージがありますからね。 結論:フットワークの軽い人 どちらかと ...
続きを見る