ディベート実践編!トゥールミンモデル(ロジック)-6つの論理

投稿日:2015年1月31日 更新日:


トゥールミンモデルという言葉で検索をして頂きありがとうございます。結構、通の人かと。(笑)

苫米地英人さんの著書:「ディベートで超論理的思考を手に入れる」、を読んで、トゥールミンロジックというものがあることを知りました。それから、福沢先生の著書:「議論のレッスン」を読んでトゥールミンモデルを深めました。

スティーブントゥールミンの本は読んでみましたが、内容がクソ難しすぎて何度も挫折しましたね。3980円の元をとりかえすべく何度も読みました。

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とはいっても、トゥールミンモデルは、頭で考えるよりも、要点だけ理解して、実際に使ってみることをお勧めします。

トゥールミンモデルの概念を理解しても、実際に使えなければ意味がないですからね。

・・・失礼!昔の自分に言っています・・・。

はじめに

1.トゥールミン/トゥールミンロジックとは何か?

スティーブントゥールミン

Yahoo:スティーブントゥールミン

イギリスの哲学者・スティーブントゥールミンが考案した論理のモデルです。

トゥールミンが作ったから、トゥールミンモデルです。そのまんまです。マイケルが作ったら、マイケルモデルになっていたのかもしれませんね。

トゥールミンモデル/トゥールミンロジックの呼び方:
「トゥールミンロジック」「トゥールミンの論証モデル」と呼び方もありますが、トゥールミンモデルという言葉に統一します。

1-1 「論理」といえば三段論法じゃないの?

「え?論理といえば三段論法じゃないの?」と思われる方もいるかと思います。

はい、論理といえば三段論法ですよ。

これですよね。

  • 大前提:人は死ぬ
  • 小前提:ソクラテスは人である
  • 結論:ソクラテスは死ぬ

AはB、BはC、よってAはCという論法です。

さて、質問です。

人が死ぬことが大前提-絶対に覆らない前提のこと-なら、世の中にどれほど「人は死ぬ」と同じような大前提があるでしょうか?

答え!ほぼない!もしくは、世の中、絶対なんて絶対にない!です。

例えば、世の中で「絶対」が成立する命題ってこれくらいなんです。

  • 「全ての人はいつか死ぬ」
  • 「税金からは逃げられない」

くらいですかね。

1-2 苫米地さんのツッコミ

話を戻します。

苫米地英人さん・・・三段論法に対して以下のようなツッコミを入れました。

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  • 人間が絶対に死ぬなんてありえねーだろ
    近い将来技術があるかもしれないぞ
  • アリストテレスは人間である
    もしかしたら宇宙人かもしれないだろ

まるで駄々こねている感じで面白かったです。

ですが、的を射ています。

1-3 「絶対」と「相対」の狭間で

仮に、あなたが「5年後は、素敵なパートナーに出会っていたい。」「2年後に、転職/起業して成功したい」と思って、何らかのアクションを検討しているとしますね。

もちろん、絶対にそうなれる保証はどこにもありません。だから、「絶対」を基準で考えると、それ以上先のことは考えられなくなります。

ですが、【相対的】に、【どの程度】なら実現するか?は予測できると思います。

ポイントは、この【相対的】と【どの程度】です。

この論証方法(【相対的】と【どの程度】)で論理を組み立てる方法を提示したのが、先ほどご紹介したスティーブ・トゥールミンであり、トゥールミンモデルです。

前置きが長くなりました。

では、トゥールミンの論証モデルの6つのパーツについて解説をしていきます。

 

 

2.論証のパーツ:根拠、主張、論拠、裏付、反駁、強度

トゥールミンモデル

論証とは、ひとつひとつを説明して、何かを証明していくことです。

トゥールミンロジックでは、以下6つの【根拠】【主張】【論拠】【裏付】【反証】【強度】の論理のパーツを使って、論証していきます。

トゥールミンロジック-6つの論理

  • <基本論理>
    • 【根拠】:Data:主張を裏付けている事実
    • 【主張】:Claim:根拠から展開されるひとつの主張
    • 【論拠】:Warrant:根拠が主張を支えている理由
  • <反駁論理>
    • 【裏付】:Backing:論拠や根拠に対して裏付けをする
    • 【反証】:Rebuttal:反証可能性
    • 【強度】:Qualifier:論理の強さ、定性的な正しさ

ひとつひとつの言葉の意味と位置づけを理解していきましょう。

概念だけだとわかりにくいと思うので、ストーリーを用意しました。

ストーリーでわかるトゥールミンモデル

写真はイメージです。ぱくたその大川氏に感謝

最近、働き詰めのAさん。「働きすぎでもう限界【根拠】」。そんなAさん、「上司に明日休ませてください【主張】」と訴えるわけですが、「本当にそんなに働いているのか?」「仮にそうだとしてもなんで休みを与えなければいけない【論拠】」と突っ込み返される始末。「ぐぬぬぬ」。それでも休みを勝ち取るために、負けずと反論。

何を言っても受け入れてもらえない!とお悩みなら、是非ともトゥールミンモデルをお試しください。

 

2-1 【根拠】データ

【根拠】データとは、主張をした内容を裏付ける情報です。

異論を唱えるときに、「私の主張は間違っていない」と伝えたければ、根拠を示すのがいちばんです。

相手はその根拠に納得したからあなたの主張を受け入れてくれます。

そのためには、意見や主張、考えではなく、同じ「事実」を共有することからスタートしていきます。

2-1-1 事実とは何か?

実際に起こった事柄。現実に存在する事柄。「意外な事実が判明する」「供述を事実に照らす」「事実に反する」「事実を曲げて話す」「歴史的事実」
哲学で、ある時、ある所に経験的所与として見いだされる存在または出来事。論理的必然性をもたず、他のあり方にもなりうるものとして規定される。

ことバンクより

相手に何を訴えても納得しもらえないときは、同じ事実を共有していないからです。

先ほどのAさん。「働きすぎでもう限界です!」と訴えても、上司はAさんの主張を受け入れてくれません。

理由は2つ考えられます。

理由1.Aさんが本当に働きすぎなのかが確かめられない

理由2.具体的に何を要求しているのかが見えてこない

理由2については、この次のクレーム【主張】で説明します。

まずは、理由1から見ていきましょう。

Aさんの中で働きすぎなのは事実なのかもしれませんが、それはAさんが勝手に言っているだけです。

上司からしたらそれが本当なのかがわからないわけです。

だから、上司はこう思います。

  • 「それは本当なのか?」
  • 「証拠を見せてみろ!」
  • 「てか、何時間働いたんだ」

だからこそ、「働きすぎです」が成立するための事実を示す必要があります。

  • タイムカード
  • メールの送信日時
  • ドキュメントの保管日時

単に「働きすぎです」と主観的な証言ではなく、実際に何時から何時まで会社にいて、どれくらい仕事をしていたのか、を情報として示すことで、それは客観的な事実として共有してもらえます。

 

2-1-2 事実≠100%正しいこと

Aさんは、タイムカード、メールの送信日時、ドキュメントの保管日時などを印刷して上司に見せたのですが、上司からこういわれました。

「それは本当か?」

なんと上司は、物凄く懐疑主義者でした。

これが事実の難しいところ!

事実は事実として存在しているだけであり、それが本当に正しいかは別の問題です。

例えば、インターネット上にはたくさんのデータが掲載されていますが、それらが全て本物なのかは別の問題です。

データが改ざんされている可能性もありますし、内容を少し盛っている場合もあります。悪質な場合、嘘をついている可能性もあります。その他、都合の良い情報だけを掲載している可能性もあります。

絶対的に正しい事実は、この世に存在しないわけです。

トゥールミンは、事実の蓋然性として指摘しました。

2-1-3 事実の蓋然性(ガイゼンセイ)とは

蓋然性(ガイゼンセイ)とは、「確からしさ」という意味になります。

世の中の事実は100%正しいことは存在しません。ですが、私たちは「ある程度正しい」と思えば、それを事実として認識します。事実そのものすらも個人の認識に過ぎないということです。

例えば、「信長は明智光秀に裏切られた」という形で歴史の議論がされていますが、実際に織田信長や明智光秀が存在していたかは誰も知りません。歴史の教科書に書かれているから、歴史学者がそう言っているから、という形で歴史的事実として担保されているに過ぎないのです。

 

どこの国にも「神話」がありますが、昔の人たちはこの神話を事実として認識していました。それと同じ理屈です。

逆に考えるなら、事実が事実であるためには相手からあなたの言っていることが事実として認識してもらえればよいわけです。

2-1-4 質の高い情報をたくさん出す

質の高い情報をたくさん出すことに尽きます。

凄くシンプルな答えで申し訳ございません。

ですが、これしかないんです。

仮に、タイムカード、メールの送信日時、ドキュメントの保存日時を出しても、上司から納得を得られないようなら、他の人(上司の上司やお客さん)から証言してもらったり、他の情報を示すのもひとつの手です。

それでも納得してもらえないのであれば、納得しない理由や嘘をついている理由を上司のほうから提示させるのもありです。

「ここまでやって納得しないのであれば、私が嘘をついている理由を示してください!」と論証責任を相手に押し付ければよいわけです。

絶対的な事実を全て証明するのではなく、相対的な確からしさ、を強化するのがポイントです。

ディベートの試合も同じです。どっちが正しいかなんて結局のところわからないので、たくさん根拠や事実を示した側のほうが説得力が高いとみなされます。

 

2-2 【主張】クレーム

事実と意見

事実(根拠)が固まったら、次は、その根拠から主張を導き出します。

その方法についてお伝えしていきます。

2-1-1 いちばん訴えたいことは何か?

先ほどAさんは「働き過ぎでもうヘトヘトです!」と上司に訴えて、上司からは理解してもらえました。

ところが、上司からはこんな一言が!

「そっか。大変だな。頑張れ!」

こういって、その場を去っていきました。

Aさんの脳裏によぎった4文字は、オ・ダ・ブ・ツでした。

なんでこうなったのか?

原因は、Aさんは自分の状況を報告しただけだったからです。

2-1-2 相手に何らかの「要求」をする

主張がクレームと訳されているのは、「文句をいうこと」ではありません。クレームの本来の意味も文句ではありません。

クレームの本来の意味はこれです。

[III[名]([副])]…を(当然の権利として)要求する, (自分のものとして)請求する;〈賠償を〉(人に)要求する((against ...));…を(損害などへの見返りとして)要求する((for ...));…を(人に)要求する((from ...));〈権利・肩書・所有の〉承認を要求する, …の権利を主張する, 〈タイトル・記録・賞などを〉勝ちとる, 得る
claim equality
平等を要求する

コトバンク

クレームの意味は、要求です。相手に何をして欲しいかを要求することです。

以前、某PCメーカーのカスタマーセンターで、電話対応していた時のことです。

上司からこう教わりました。

「お客様の怒りを鎮めるために気持ちに寄り添うことがいちばん大事なんだよ」

これは正しいです。もしもお客さんが日本人なら。

ですが、相手が欧米文化だと事情が変わってきます。

改善案を具体的に要求してきます

2-1-3 Aさんが伝えるべきこと

上司に何を求めているのかをキチンと伝えること。

  • 今日は帰宅させて下さい
  • 明日は休ませて下さい
  • 2時間だけでもいいので休憩を下さい

ですかね。

「働き過ぎでもうヘトヘトです!」と訴えても、「僕は辛いんだよ。」ぐらいのメッセージにしか伝わりません。

もちろん、日本人には「空気を読む」文化がありますが、それはそれで別の問題です。

即興ディベートワークショップに参加をされる方の中にも、「キチンと説明できるようになって、人を動かしたい」という方もおります。

もしもあなたがこれと同じお考えなら、本当に要求したいことは何か?を考えてみてください。

どこかで事実や考えを述べるだけで終わっていないでしょうか?

因みに、私の要求はいつもひとつです。

申し込みボタンを押してください!です。(笑)

(そのほかの説明はすべて手段です)

 

2-3【論拠】ワラント

根拠と主張がわかったところで、次は論拠です。

これがけっこう奥が深いです。

いちばん大事です。

論拠とは、根拠が主張を支えている【理由】のことです。

主張に対して根拠さえ示せば論理は成立するわけではないのです。

2-3-1 もうひとつの論理とは?

先ほどのAさんの根拠と主張を整理してみました。

Aさんの論理モデル

  • 主張-明日はお休みを下さい
    • 根拠1.タイムカード
      稼働時間が250時間を超えていて、土日出勤をしていた
    • 根拠2.メール送付日時
      23:00を過ぎていた
    • 根拠3.ドキュメントの保管日時
      深夜に更新されたファイルがたくさんあった

 

「これで論理武装は完璧だ!」

ところが、その上司からとんでもない一言が・・・・。

働き過ぎなのはわかった。休みが欲しいのもわかった。でも、みんな同じくらい働いているし、みんな頑張っているんだよ。キミだけ休ませるわけにはいかないよ。

「・・・・え・・・マジですか?」

はい、この上司の中では「働き過ぎ」という根拠と「休ませる」がつながっていないんです。

いや!そんなの普通だろ!今のご時世は大事だろ!

と思うかもしれません。

もう昭和じゃないんだから・・・

では、質問です。

もしも、Aさんの上司がコテコテの昭和的な価値観の持ち主だったら?

あなたと相手が同じ「考え方」を共有しているとは限らない!

これが論拠です。

 

2-3-2 「考え方」が違う相手を説得するには?

同じ「事実/根拠」を共有しているのに、「考え方」が違うため、話が通じない相手はどこにでもいます。

そして、日本も今後はそうなっていくでしょう。

「世の中には色々な考え方があるよね」

「人それぞれだよね。相手を尊重することが大事なんだよね!」

・・・という人がたくさんいます。

もしも、色々な考え方があって、ひとりひとりの「考え方」を尊重したいのなら、それはそれで素晴らしいことです。

ですが、必ずしも相手があなたの「考え方」を尊重してくれるとは限りません。

むしろ、「私の考え方を受け入れろ!」と要求してくるかもしれません。

だから、Aさんは、上司の要求に従うか、逃げる、もしくは、自分の考え方を受け入れさせるしか方法はありません。

それこそが、トゥールミンロジックで学ぶ反駁の3つの論理の役割です。

2-4.【裏付け】バッキング

バッキングとは、論拠を裏付けるためのもうひとつの根拠です。

トゥールミンロジックでは、根拠が2つ登場します。ひとつめは先ほど出した、見える根拠です。

対して、今回の根拠は、「考え方」そのものを支えている根拠です。

2-4-1 隠れた根拠とは?

これまでの論理を整理するとこうなります。

  • Aさんの論理
    主張&根拠「働きすぎだから休ませて下さい」
    論拠:長時間労働はよくない(させるべきではない)
  • 上司の論理
    主張&根拠:Aさんは働きすぎで休みたい
    論拠:長時間労働は仕方ないこと(みんなそうやってきたから)

さて、この場合、どちらの考え方を採用するべきでしょうか?

先ほどの根拠/事実と同じです。

たくさん裏付けとなる根拠を示せた側の【考え方】を採用させます。

2-4-2 論拠に対しても根拠

Aさんの職場では、「長時間労働は仕方ない」という論理が根付いているのであれば、Aさんは上司に対して積極的に逆の論理を示す必要があります。

  • このままだと労働基準法に反する可能性がある
  • 会社は従業員の健康を管理する義務がある
  • 入社前に交わした契約と実際に環境が違う
  • 仕事の効率や生産性が落ちている

と長時間労働がよくないことを裏付ける根拠をたくさん示します。

 

2-4-3 論拠の深堀深堀をする

今回の場合であれば、以下の証明が望ましいでしょう。

  • 実際に労働法違反して、国から注意・勧告を受けた
  • 過去に長時間労働が原因で業務停止になった企業があった

という根拠を示すことです。

論拠に対してもキチンと根拠を示せれば、次の論理が組み立てられます。

  • 【主張×根拠】私は働き過ぎだから、明日は休ませて下さい。
  • 【論拠】長時間労働はよくない
  • 【裏付け】いつ行政から注意・勧告を受けるかわからない

という論理を強くしましょう。

2-4-2 ポイント!論理は2つの軸で考察する

ディベートに限らずあらゆる議論にも応用が可能なので紹介します。

それは論理を横軸と縦軸の両方で見ることです。

【横軸】の論理

  • 主張-明日はお休みを下さい
    • 根拠1.タイムカード
    • 根拠2.メール送付日時
    • 根拠3.ドキュメントの保管日時

【縦軸】の論理

  • 【主張】私は働き過ぎだから、明日は休ませて下さい。(主張×根拠)
    • 【理由】このままだと労働基準法違反して、業務停止になります。(論拠)
      • 【根拠】実際に、過剰労働が問題で営業停止になった例があります(裏付)

実際に、バッキングが固まると、長時間労働はよくない、という前提で議論が進みますから、Aさんの「働きすぎです。休ませてください」の論理が通るようになります。

 

 

2-5 リバイタル

さて、これまでごまかしていた上司がやっと本気になってくれました。あなたのこれまでの議論に反駁を行います。反駁とは、あなたの反論に対しての更なる反論をするという意味です。

2-5-1 上司からの反駁

  • VS根拠-まず労働時間が140時間を超えたという件だ。タイムカードを誤魔化していないか?今が10日だとして、1日4時間も働けるわけないだろ。
  • VS論拠-次、労働基準法に違反して、業務停止になる---そんなのは国へ報告次第でクリアできる問題だ。そもそも36協定にも例外がある。
  • VS裏付-営業停止になった企業よりも営業停止になっていない企業の方が多いことは知っているぜ。そんなのは一部の企業だけだよ。

御見事な反駁です。しっかりと、あなたの「根拠」「論拠」「裏付」に対してポイントを絞って論じ返していますね。また、反論に対して、キチンとかは別として理由を示せています。おそらく、この上司はディベート経験者なのでしょうか?

2-5-2 どんな議論も反駁される

先ほど、あらゆる物事に完璧はない!とお伝えしたとおり、どんな議論に対してもつけいるスキはあります。

例えば、タイムカードの件ですね。根拠の部分では、「より確からしい事実を述べて、その事実を元に主張をすればよい」とお伝えしました。ところが、相手が提示した事実の方が、あなたの事実よりも「より確からしい」と判断されれば、あなたの議論は崩れます。

2-5-3 上司の反駁に更に再反駁

  • VS根拠-まず労働時間が140時間を超えたという件だ。タイムカードを誤魔化していないか?今が10日だとして、1日4時間も働けるわけないだろ。

と反論をしていますよね。

ですが、タイムカードに記録が残されていれば、上司が、「9:00-25:00、26:00くらいまで働けるわけない」と反論しても、説得力という点ではあなたが勝つでしょう。

  • VS根拠に対する反駁に対しての反駁
    「実際に、タイムカードには記録されていますよね。もしも私がタイムカードを改ざんしている、というのなら証明して下さい」

と強気な態度で、情事に反駁に反駁をすることもできます。

他の2つも同じですね。

  • VS論拠に対する反駁に対しての反駁
    「36協定にも例外がある」といっても例外が何かを示さなくてはならない。
  • VS裏付に対する反駁に対しての反駁
    「営業停止になったのは一部の企業であって、ウチはなんとななる」は、一般化の論理。なんとかなるシナリオを上司が示す必要がある

上司の反論も狙いだけはお見事でしたが、理由付け・根拠付けがイマイチでした。トゥールミンモデルを例にするのなら、議論の強度という点では、あなたの方が上司よりも説得力があったと、この場合、【私は】判断できます。

(あくまで私は・・・です。あなたがどう判断するかは解りません)

2-5-4 反駁=保留要件

このように、トゥールミンモデルの世界では、どんな議論にも必ず反論・反証の可能性があるということです。なお、苫米地氏は、この反論のことを【保留要件】と解釈しました。

  • タイムカードを誤魔化していない「限り」
  • 労働基準法が正常に機能している「限り」

と、この「限り」が今回の保留要件になります。

トゥールミンモデルは、論理の正しさをチェックするのはなく、ひとつの議論がどれだけ論証されているかをチェックします。

つまり、反論がひとつでもあれば、「この論理は成立しません」ではなく、その反論で一端保留して、改めて議論をするべき、と言っています。相手からあなたと同等のレベルの立証(反証)がなされれば、相手の方が説得力が高いと判定されます。

2-6 クオリファイアー

聞き慣れない言葉かも知れませんが、これまでの論理の強さを確かめる部分の論理です。本来は、お互いの論理をぶつけてどちらの方がより確かかを比べるのですが、今回はあなたの方が説得力があったと仮定して考えていきましょう。

いきなりですが、今回の論理がどれほど確か、と点数をつけてみて下さい。

2-6-1 チェックのつけ方-ヒントは英語

英語の副詞における程度感をまとめてみました。私たちは、日本語を使うときに、「ほぼ」「確実に」「もしかすると」とという言葉を何となく使っているかもしれませんが、英語だとしっかりとした序列があります。

英語の副詞

  1. definitely(絶対)
  2. surely(確実に)
  3. probably(恐らく)
  4. sometime(場合によって)
  5. maybe(たぶんねー)
  6. possibly(もしかすると)
  7. never(絶対にない)

冒頭でお伝えしたように、トゥールミンモデルは、「絶対的な正解」ではなく「より確からしさ」を元にひとつひとつを論証していきます。なので、今回のあなたの主張は100%正しくなくてよいので、上記の7つからどの程度正しいのかを見ていきましょう。

いや、一緒に考えていきましょう。

2-6-2 実際にチェックをつけてみよう

答えは、私と同じでなくても構いません。大切なのは、答えそのものではなく、なぜそのように考えたか理由をキチンと説明できているかですから。

今回は縦軸からみていきましょう。縦軸が固まることで、上司との論理が固まり横軸の判断がしやすくなるからです。

□縦軸の論理

  • 【主張】長時間労働の放置はやめるべきである
    • 【理由】このままだと労働基準法違反して、業務停止になります。(論拠)
      • 【根拠】実際に、過剰労働が問題で営業停止になった例があります(裏付)

【答え】probably(恐らく)

お国から営業停止の処分を受けるかはまでは微妙ですが、長時間労働を放置していれば何らかの問題にはなると判断ができます。それ以前に、コンプライアンス違反です。

一昔前だったらOKだったのかもしれませんが、今は時代が時代です。やっぱり守るべき、という判断が妥当でしょう。

従って、今回は絶対に恐らく長時間労働の放置はストップするべき、という前提で次の論理について考えていきます。

□横軸の論理

  • 主張-明日はお休みを下さい
  • 理由-私は働きすぎです
    • 根拠1.タイムカード
    • 根拠2.メール送付日時
    • 根拠3.ドキュメントの保管日時

【答え】definitely(絶対)

タイムカードやメールの送付日時など、証拠がそろっていると証明できましたね。そして、先ほどの「長時間労働の放置はやめるべきである」という論拠で物事を考えるため、何らかの対処は必要だと判断ができます。

その判断が、「明日は休ませること」になります。

絶対証拠が全部残っているのなら、この論理は絶対ですね。

 

3.議論の完成形-プリマファシエ

プリマファシエとは、トゥールミンモデルの6つの論理が全てそろっている状態です。言ってみれば、議論の完成形ですね。

相手の議論を聞いたときは、どんな情報もこの6つで整理するようにしています。

選手をしているとき、ジャッジをしているときも例外ではありません。

アカデミックディベートの頃は、3角ロジックだけで十分でしたが、即興ディベートをするようになってからは、完全にトゥールミンモデルに移行しましたね。

もちろん、はじめからできていたわけではありません。即興ディベートをしているうちに自然と身につきましたよ。

本当に実践力だなーと思うわけです。

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