ディベートのルール6.沈黙は合意のサイン-反論がない=認めた

2016年9月8日

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ディベートのルール・禁止行為

「そういえば、さっきこの議論に反論していなかったよね?つまり、認めたってことだよね?」

「いやー、反論はしなかったけれど、認めたわけじゃないよ。よく聞くとツッコミどころ満載だし・・・」

「そう!でも、ツッコミどころ満載なのに、試合で突っ込まなかったから、イコールそれは認めたも同然」

・・・・「沈黙は合意のサイン」・・・・選手にとって最も恐ろしいルールかもしれません。モロ勝敗に影響するルールなので、試合をするのなら絶対に覚えておいてください。

今回は、このルールを選手・ジャッジの両方の視点から見ていきます。

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もくじ

1.沈黙は合意のサイン-選手視点

たとえメチャクチャな議論であっても、その議論に対して反論されていなければ、相手選手はその議論を認めたことになります。

これを「沈黙は合意のサイン」といいます。

1-1 たくさん議論を出したほうが試合展開は有利

あまり前のように聞こえるかもしれませんが、ディベートの試合ではひとつでも多くの議論を提出したほうが有利です。あなたが選手だとします。

たくさん提出した議論を提出すれば、次の反駁担当はその議論全てに反駁をしなければならないため、仕事が増えます。

もしもその議論に対して反駁をしていなければ、相手はその議論を認めたことになります。

 

注意-議論の数が多ければよいわけではない

ひとつひとつの議論がしっかりと立証されていることが前提になります。主張をしたまま終わりでないか?主張の理由が別の主張になっていないか?はしっかりとチェックして下さい。

1-2 第二反駁でアピールもする

相手側が反駁をし忘れた議論があれば、最後のスピーチでは必ずジャッジにアピールするようにしてください。

最後の反駁を聴いて、ジャッジは有効な論点と無効な論点の判別がついていません。もちろん、ジャッジは全部議論を俯瞰しきれているつもりになっていますが、絶対にいくつかは見落としています。

特に第二反駁になると議論が枝分かれして、どの議論がどうなっているのかが解りません。この場合、選手が自らどの議論が反論されていないかをジャッジに口頭で伝えるようにして下さい。

フローシートを見てチェックをするのは以下3点の議論です。

  • 全く反論されておらず生き残っている議論
  • 少し反論されたけれど、部分的に生き残っている議論
  • 反論されて、返し切れず、破たんした議論

必ず「全く反論されておらず生き残っている議論」に対しては、「この議論には全く反論されていません。つまり相手側も認めたことになります。」と伝えて下さい。そうするとジャッジは、はじめてその議論に○をつけて有効な議論としてカウントしてくれます。

「少し反論されたけれど、部分的に生き残っている議論」については、どの部分が生き残っているのかをしっかりと言葉で伝えて下さい。

  • 相手選手からの反論-「どれくらいの効果があるかわからないから、この議論は無効です!」
  • ジャッジへのアピール-「(程度は不明だが)全くゼロとは言っていません。よって、有効な議論です」

破たんした議論についてはあえて触れる必要はありません。

原則、選手のほうから何も言わなければ、判定はすべてジャッジ任せになってしまいます。ディベートの試合では、「ジャッジ任せは風任せ」という言葉があります。これが何を意味するのかというと、選手の方から判断材料や判定理由を提示できていなければ、足りない部分はこれまでの自身の経験や頭の中で補足をしてしまう。これが勝敗に大きく影響します。

ジャッジがどのように議論を見ているかは「ディベートのルール2.判断材料-提出された議論のみで試合を判定する」の記事でも解説しています。参照ください。

では、次はあなたがジャッジだった場合、このルールをどのように活用するのか、その方法についてお伝えしていきます。

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2.沈黙は合意のサイン-ジャッジ視点

ジャッジは、試合が終わった後、膨大な議論を処理しなければなりません。そして、ひとつひとつに対して決着をつけます。なおかつ、選手に対して納得しもらうだけではなく、また次も試合をしてもらいたい、と思ってもらうようなプレゼンスキルが求められます。

意外と大変です。

そこで今回は、私がジャッジをしているときに、この「沈黙は合意のサイン」をどのように活用しているかについてお伝えしていきましょう。

2-1 ジャッジは肯定側&否定側の第三反駁である

第二反駁で選手の方から積極的なアピールがない場合は、ジャッジが自ら試合に介入をしてひとつひとつ議論に決着をつけます。第二反駁で決着がつかなかった議論に対してはジャッジが自ら決着を付けます。

よくある決着のつかない議論と私がジャッジをしているときにどのように決着を付けているのかを解説していきます。

2-1-1 争点が、「売上vsコスト」の場合

売上は期待値なのに対して、コストは確実に発生するため、コストのほうを重くカウントします。

もちろん、売上を主張する側から、「コストよりも売り上げをとるべき」という積極的なアピールがなかった場合ですね。これは企業の意思決定をする場合でも妥当な判断です。

2-1-2 争点が、「働きやすい会社vs離職率UP」の場合

全員にとって働きやすい会社になるけれど、一部の人が弊害を被り離職率UPになる、が争点になった場合ですね。楽天やユニクロ論題でこのような試合展開になることがあります。

両チームから積極的になアピールがない場合は、後者の離職率UPを重く取ります。

なぜかというと、これまでジャッジをしていて、前者の議論よりも後者の議論のほうが、「誰が何をして結果どうなる、なぜ」がしっかりと立証されているからです。説得力が高いのです。

このように、ジャッジは選手のほうから積極的に自分たちのほうが相手よりも優れているとアピールをしない限りは、ジャッジは自身の考えを試合に介入させてもよいことになっています。

ただし、説明責任は必要です。

2-2 選手・聞き手に対して説明責任は課される

ひとつひとつの議論に対して選手が納得するような理由付をしなくてはなりません。

「沈黙は合意のサイン」の話に戻ると、ある議論に対して全く反論がされておらず、その議論が最後まで通ったとします。第二反駁でも選手のほうからアピールしてきました。

この場合でも、ジャッジであるあなたが「この議論は成立していないだろう」と判断したらカウントしなくても大丈夫です。但し、なぜこの議論が成立していないのかを選手に対して納得してもらえるように説明しなければなりません。

3.ディベートのルール一9つ

最後まで読んで頂きありがとうございます。

ディベートのルールについては以下の記事に全てまとめました。即興ディベートワークショップでは、全て以下のルールに従ってディベートをしています。

 

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運営者情報

フリーランスのウェブデザイナー。元ディベート好き。30代でニートになる。2015年に本サイト:インプロ部がヒットして、副業ディベート講師として活動。 ホームページをゼロから収益化した実績が認めれ、35歳からウェブデザイナーになる。ウェブ制作会社・デジタルマーケティング会社を渡り歩き、複数社で経験を積み、現在はフリーランスのウェブデザイナーとして活動中。セミナーやオンライン相談の実践者として、現在は個人事業主の方向けにディベートやWordPress制作×集客を教えている。事業者の専門性をカタチにしたいと考えて、屋号は木村専門研究所に変更

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