ディベートのルールについてです。当たり前ですが、試合中にうそをつくような行為は禁止です。これは間違いなく減点対象です。場合によっては、失格になります。
さて、ここではディベートの試合で嘘をつくとは具体的にどういうことか?そもそも嘘と真実の境目はどこか?等について、まずはアカデミックディベートの「ディストーション」と即興ディベートのウソと真実の境目についてお伝えしていきたいと思います。
はじめに
1.ディストーション(証拠資料)の歪曲
簡単にいうと、ありもしない事実をでっちあげる
それを真実だと言い切るような行為
例えば、日本の労働人口は7000万人いるんだー」とか言い張るような行為ですね。
このルールに関しては、アカデミックディベートと即興ディベートの両方から説明をした方が解りやすいかもしれません。
1-1 アカデミックディベート-歪曲表現
アカデミックディベートでは、必ず証拠資料を引用して自分たちの議論を展開しなければなりませんが、その気になれば引用する資料を勝手に書き換えることも可能です。
その気になれば、この世に存在しない文献を勝手にねつ造して、証拠資料のように見せることも十分に可能です。もしくは証拠資料の中身を一部を改変する行為ですね。アカデミックディベートでは、このような行為を「ディスト―ション」と呼びます。
ディスト―ションと発覚した場合は、その議論は無効になるか、あまりにも悪質だとジャッジ反則負けにすらなります。
1-2 即興ディベートで嘘はつけるのか?
正直な話、即興ディベートの試合では嘘は付き放題です。事実のねつ造もできます。そもそも事実らしい事実もないので、ねつ造もクソもあったものではないですが・・・。何が言いたいかというと、その気になれば嘘はつけるということです。
ただ、まぁ、ある事柄が事実だと主張するならば、立証する必要もありますがね。「事実です!」と叫んでも、理由なき主張をしているのと変わりませんからね。
証拠資料の信ぴょう性ではなく、ロジックだけで勝負をするのが即興ディベートです。そこら辺を取り違えないように。
まぁ、ただ、それ以前に嘘をついてジャッジを騙してまでディベートの試合に勝ちたいか?と言われて、YESと答える人はいないでしょう。嘘をつきたければ、ディベーターなんてやらず詐欺師になればいいだけの話なので。(笑)
2.「嘘」と「本当」の境目は?
とはいっても、嘘をついているつもりがなくても、結果として嘘になっているケースもあります。何が本当かうそか自分の中で判断がつかず不安になっている方もいると思うので、そこら辺についても説明していきますね。
2-1 「嘘」か「本当」の境目はグレー
あらゆる事実は「不確か」からスタートしている。私たちは、何が事実で何が真実かを元に議論をしますが、突き詰めるとあらゆる議論に事実も真実もありません。
例えば、歴史の議論をするときを想像してみて下さい。戦国時代が解りやすいですね。
信長が実際に存在したと仮定してこれまでの歴史は語られてきましたが、もしかしたら嘘かも知れません。誰かが勝手に作った可能性もあります。
それを象徴しているのが聖書です。イエスの死後に後から使徒や預言者たちが勝手な解釈を展開したり、事実を捻じ曲げている説が沢山あります。極論かもしれませんが、あらゆることが不確です。何を事実と仮定して自分たちの議論を展開するかがディベートでは問われます。
言い方は悪いですが、誰もが納得する事実が手元なければ持論を展開できないようでは、議論には向いていません。
2-2 アカデミックディベートもグレー
その気になればアカデミックディベートでも資料の権威を誤魔化すこともできますしね。やや裏技ですが。
例えばどっかの自称コンサルタントのブログを引用して、「この人は経営コンサルタントだー」と肩書さえ付ければ、ジャッジからは疑われません。
シ●ーン川上効果と勝手に呼んでいます。
例えば、アカデミックディベートではこんなこともできます。
資料を引用します!「97年、川上、コメンテーター&コンサルタント」と肩書を列挙しても、ジャッジは疑いません。そもそも川上氏はコンサルタントなのは本当ですから。
2-3 悪意をもって嘘をつかなければよい
要は、悪意をもって嘘をつかなければよいわけです。これは即興ディベートもアカデミックディベートでも同じです。特に政策ディベートでは、競うのは説得力の差であり、どちらの方がより事実らしい事実を提出しているのか?その点でも議論をしなければなりません。
嘘をつけばつくほど嘘を嘘で塗り固めて、苦戦を強いられるでしょう。
3.ディベートのルール一覧
最後まで読んで頂きありがとうございます。
ディベートのルールについては以下の記事に全てまとめました。即興ディベートワークショップでは、全て以下のルールに従ってディベートをしています。
- ■お互い気持ちよく試合に取り組むためのルール
- ■シッカリと議論に集中できるためのお決まり事
- ■ゲームとして両選手がフェアに戦うために必要なルール
9つもルールがあって難しく感じるかもしれませんが、頭で理解するよりは実際にやってみると、「なんだ当たり前じゃん」と思えるようなルールばかりなので、あまり身がまえないでくださいね。
お勧めなのは、頭で強引に理解しようとするのではなく、実際にやってみることですかね。