ディベーターは凄く頭がよくて、どんな情報も一瞬で整理できて、的確に反論ができる物凄い人、と思っている人がたくさんいるのかと思います。
そんな風にディベートの素晴らしさを謳っているディベート講師が多いのですが、ちょっと疑問です。
もしもそれが真実なら、その人はこんなところでディベート講師なんかしていないはずです。
たぶん、別の仕事についている。
逆に、理詰め以外の論争をしたらディベーターは戦闘力が一気に弱くなります。そんなケースを3つお話します。
はじめに
1.リアル議論がヘタクソになる
驚くかもしれませんが、ディベート経験者ほどリアル議論が弱かったりします。
私自身も、学生時代にディベートをして議論のノウハウは一通り身につけたつもりでしたが、いざ会社に入ると、上司から、先輩から、お客さんからコテンパンにされる毎日でした。
1-1 そもそも相手にされない
どんなに頑張って相手を説得しようと試みても、そもそも聞いてもらえなければ一発でアウトです。
- あー、メンドクサイ。ちょっと黙ってくれない。鬱陶しんだけれど
- 今は理屈とかどうでもいいから、早く手を動かしてくれないかな
- ゴメン。今忙しいんだ。あなたと議論をする気はないから
・・・もうこの時点でお手上げです。ディベートは、相手と同じ立ち位置にいて、必ず相手が聴いてくれる、自分の意見を述べてくれることが前提で成立します。そして、残念なことに、そのようなステージはあるようで中々ないのです。
1-2 論理が通用しない人には勝てない
「世の中理屈じゃねえんだよ。」という人にはそもそもどんなに理屈を述べても無駄です。そして、残念なことに理屈だけで動くことなんてほとんどありません。ほとんどの人は、感情で物事を判断していますから。
何を隠そう、私自身が理屈でこそ物事を考えるタイプかもしれませんが、案外と感情や感覚で物事を決めています。
なお、これは全てのディベーターに言えることでもありますが、ディベートは相当好きでなければ続けられません。
特に、アカデミックディベートを続けている人にとって、この傾向が顕著でしょう。人生で役に立つから、スキルが身につくから、と損得勘定で考えていません。ディベートそのものが楽しいから続けているだけです。
私も、アカデミックディベートをしていたころはディベートそのものが凄く好きで熱中していましたが、社会人になってからは選手としてひたすらリサーチをすることに楽しみを見出せずに即興ディベートに転身しました。
1-3 相手にペースを奪われる
ディベートはこれでもか!って程、ルールががんじがらめです。ディベートのルールについてはこちらに列挙してあります。
- ルール1-口けんか・口論を防ぐため
- ルール2-議論の中身に集中するため
- ルール3.議論が拡散されるのを防ぐため
たくさんルールがありますね。では、なぜこんなにもルールがあるのかというと、ルールをきちんと守ってもらわないと試合が成立しないからです。
ところが、リアル議論はルール無用の世界です。極論を言うなら、相手の話を遮るのもありだし、人格攻撃も平気でします。過去にけりのついた話を蒸し返す人もいます。ジャッジのように議論の中身だけを見て判断しません。
確かに、ディベートでは高度な議論を学ぶことはできますが、見方を変えると温室育ちの議論を学んでいるだけなんです。
2.もちろん、リアルでも議論に強いディベーターもいる
全てのディベーターが議論に弱いわけではありません。ご安心ください。学生時代のディベート仲間でお客さんと折衝や交渉をするような仕事に就いている人はたくさんいます。
2-1 ディベートを学んだからではない
ところが、そういう人に限って案外とディベートを学んだから議論に強くなったわけではなく、元々議論に強い人だったりするのです。
例えば、皆さんの周りにも議論に強い人が一人や二人は必ずいるはずです。その人はディベートをどこかで学んで議論に強くなったのでしょうか?恐らく、NOだと思います。
元々、論理的に物事を考えたり、人と交渉をするのが得意なタイプかと思います。もしくは、場数をたくさん踏んだから、議論に強く鳴っただけかもしれません。
2-2
3.ディベートの欠点に対する対策-3つ
かつて私もディベートの欠点にハマっていたのですが、3つの対策をとってこの問題を解決しました。
ディベート経験が長い人にとっては、いくつかヒットするものがあるかもしれません。
3-1 ディベーターと距離を置く
最も手っ取り早い方法です。大学の頃は、ディベート業界にどっぷりでした。社会人2年目~3年目にかけてズブズブとディベート業界に足を踏み入れて洗えなくなりました。
というのも、社会人2~3年目で世間の荒波にもまれて平日は上司やお客さんとのコミュニケーションでクタクタにっていました。休日に時々お邪魔するディベート業界は居心地が良かったからです。OB会のような雰囲気でしたからね。
これは、社会人になりたての若者がOBとして過去のサークルに顔を出すのと同じかもしれません。
それでも、自分は過去はそこにいたけれど、今は自分のフィールドにいるという自覚をもっていないと成長はしないのかな-と思ったりもするわけです。
3-2 ディベート以外のことに打ち込む
ディベート業界からは足を洗ったのですが、ディベートで学んだことを他に活かそうと思って、26歳くらいからは副業やディベートのセミナー企画・運営をしていました。
結局ディベートかよ!と思いますが、過去のディベート団体とは縁を切って本当にゼロから全くディベートを知らない人に向かって情報を発信して、自ら企画をしたり集客をしていました。
その時に思ったことが、過去にアカデミックディベートで学んだことは案外と役に立たなかった、という悲しい事実でした。
先ほどもお伝えしたとおり、ディベートにはいくつものルールがあって、ジャッジという特別な人にとってはアカデミックディベートの技術は有効なのですが、ディベートの世界から一歩外に出て人を説得したり、動かしたりするとなると案外と役に立ちません。
なぜなら、ディベートから一歩外に出れば私たちはジャッジではないからです。
3-3 インプロを取り入れる
ここら辺から取り入れたのがインプロでした。