肯定側と否定側の立論スピーチが終わったら、いよいよ反駁スピーチに入ります。反駁のポイントを押さえることで、試合の勝率は一気にアップするので、ディベートの試合をする方は是非ともマスターしてください。
まず反駁の流れをおおざっぱに解説して、その次に「否定側第一反駁」「肯定側第一反駁」「否定側第二反駁」「肯定側第二反駁」の4パートをそれぞれ解説していきます。
はじめに
1.反駁の基礎知識
反駁と聴くと、相手の議論に対して反論をするようなイメージがあると思いますが、必ずジャッジに向かって反論をするようにしてください。
間違っても相手に直接指を指して反論をしないように。相手に向かって反駁をすると、確実に口けんかや口論のような雰囲気になります。加えて、反駁スピーチの特徴を2つお伝えします。
1-1 反駁スピーチは否定側から始まる
立論は肯定側から始まるのに対して、反駁スピーチからは順番が入れ替わり否定側から始まります。なぜかというと、議論をすると必ず後に発言したほうが有利になるため、肯定側→否定側の順番のままで議論が進むとどうしても否定側が有利になってしまいます。
極力お互いがフェアに戦えるために、反駁スピーチからは順番を入れ替えて、否定側から始まり、最後にスピーチは肯定側で幕を閉じるようにしています。
こればかりは、ディベートの試合を何度かこなさないと解らないところかもしれないので、興味があったら実際にディベートをしてみて下さい。
1-2 原則ひとつ前の議論に反論する
例えばあなたが否定側第二反駁だとしてら、必ずひとつ前の肯定側第一反駁に対してのみ反駁をするようにしてください。
このタイミングで肯定側立論に対して反駁をしてもジャッジはその反駁を遅い議論とみなして、いくらよい反駁であってもカウントしてくれません。
ルール上ひとつ前の議論にしか反駁できないようになっているのです。こればかりは仕方ありません。詳しくは下図をご覧ください。
注目して欲しいのは、否定側第二反駁の反駁⑤と肯定側第二反駁の反駁⑦です。
- 否定側第二反駁では、肯定側立論には反駁できない
- 肯定側第二反駁では、否定側立論と否定側第一反駁に反駁できない
これをすると一発でレイトレスポンスになります。また、新しい議論を出すこともできません。あくまでひとつ前の議論に対しての反駁のみです。
参考記事:ディベートのルール9.レイトレスポンスとニューアーギュメントの違い
具体的な反駁方法については個別記事を書いていきます。今しばらくお待ちください。
2 ディベート編-立論から反駁までの流れ
ディベートの反駁の流れを図にしてみました。少し専門用語が増えたので、ディベート初心者の方には解りづらいかもしれません。こちらの記事を参考にして下さい。
■否定側第一反駁、肯定側第一反駁、否定側第二反駁、肯定側第二反駁の4つのパートについて
- 否定側第一反駁-肯定側立論の現状を変える理由に対して反論(現状維持の理由は主張できない)
- 肯定側第一反駁-否定側立論の現状維持の理由と否定側立論の現状を維持するべき理由について反論
- 否定側第二反駁-肯定側第一反駁の議論に反論しながら、最後に自分たちの議論をジャッジにアピール
- 肯定側第二反駁-否定側第二反駁の議論に反論しながら、最後に自分たちの議論をジャッジにアピール
2-1 否定側第一反駁
肯定側立論のメリットに対して行う反駁です。主にメリットの3要素である「内因性」「重要性」「解決性」の3つに攻撃を加えます。
否定側第一反駁は、他の3つの反駁と比べて簡単と言われています。なぜなら、主に行う仕事は内因性、重要性、解決性のどれかに反駁をするだけだからです。
- 内因性に反駁-「問題認識が間違いである」「現状の問題ない」・「問題はそのうち解決する」
- 重要性に反駁-「肯定側の問題は大した問題ではない」「テーマの主人公が解決するべき問題ではない」
- 解決性に反駁-プランを実行しても「問題が解決しない」「プランが実行は現実的に困難」と
また、肯定側立論を聞いたときに「内因性」「重要性」「解決性」の3つのうちどれかの説明が抜けていれば、そこに反駁模してください。「ホワイトカラーエグゼンプション」で見てみましょう。
- VS内因性-自発的に働きたい労働者はいると言ったが、それは一部である
- VS重要性-国家の生産性はあがらない。テーマを実行しなくても国は崩壊しない
- VS解決性-ホワイトカラーエグゼンプションが正しく運用される保証はない
このように内因性、重要性、解決性に対して攻撃を加えて、「現状問題ないからプランを実行する必要ない」「テーマを実行してまで解決する問題ではない」「プランを採用しても問題は解決しない」という結論に持っていて下さい。
2-2 肯定側第一反駁
続いて、肯定側第一反駁です。肯定側は否定側第一反駁と否定側立論の両方に反駁をする必要があります。ここで反駁をし忘れたら、その議論は認めたことになります。図にするとこのようになります。
否定側立論-4分-と否定側第一反駁-3分-の議論に対して肯定側第一反駁は3分しかありません。この7分の議論に対して3分で返すのですから、キツイ・・・というより物理的に不可能です。
否定側第一反駁のように、反駁①のひとつひとつを丁寧にはできません。
ここで発想を変えて、ひとつの論点に対してひとつの反駁をするのではなくて、ひとつの反駁で2つか3つの論点にまとめて反駁をする方法を実践してみて下さい。
具体的な方法については、即興ディベートワークショップの動画ディベートでお見せしています。(近いうちに、文章で書きます。しばらくお待ちください)
理想は3つ全部に攻撃をして、ジャッジに「メリットはほとんどないんじゃない」と思わせることですね。