経営学のお話です。テスト前に読んでおくと単位が取れるかもしれません。
なお、この記事ですが、「テイラーの生産性の最大化とメイヨーの人間的経営!あなたはどっちに投票する?」の記事が無駄に長く、10,000文字を超えそうだったため、Ⅰ章の産業革命のお話は全部こっちに持ってきました。
さて、今では当たり前になっている経営管理という言葉。一時期、ドラッカーがブームになり、マネジメントという言葉も使われるようになりました。
経営管理とマネジメントの違いについて深く知りたい方は「マネジメントとは?意味・定義、「経営管理」との違い」をお読みください。
ところが、一昔前は経営管理というものが存在しない時代がありました。
はじめに
1.舞台は産業革命
「産業革命」という言葉の生みの親は、英国の歴史学者アーノルド=トインビーです。農業、林業、水産業が衰退をしていくなか、人々が仕事を求め田舎から都心に移動をするようになりました。そして、産業の中心は農業から工業に移り変わります。
1-1 農業中心の社会から工業中心の社会へ
工場がドンドンと設立されて、世の中に物がドンドンと生産され、消費されるようになりました。
そんな姿を見たアーノルド・トレンビーは、「おいおい、これって産業革命じゃね?」と至る所で叫びました。すると、この言葉がヒットして流行語になってしまいました。
気付けば歴史の教科書で紹介されています。ちなみに、私はアーノルドトレンビーは知りませんでした。野球選手かと思っていました。
産業革命期は、今の時代工場と聞くと、ラインの上で工員さんたちが流れ作業を淡々とこなしているイメージがあるかと思いますが、そんなラインすらない時代の話です。想像ができませんね。
1-2 ところが、工員たちの働き方は農業時代のまま
「工場労働」と聞くと、今の時代は作業服を着てラインに乗っかり、ベルトコンベアを目の前に流れ作業をするイメージをお持ちかと。その方が、より迅速かつ正確に同じ製品が量産できるからです。いわゆる大量生産ですね。
ところが、産業革命期には、大量生産をする基盤もなければ、そんな発想すらありません。仕事は手作業だ!身体で覚えろ!感覚でやれ!みたいなノリで進められていました。
だから、出荷される製品はみんなバラバラです。例えば柿ピーというお菓子がありますが、今の時代だからこそ柿チップとピーナツが同じくらいの量で袋詰めされています。
産業革命期であれば、柿とピーナツの量がバラバラなのはもちろん、味や下手したら原料も違っていたかもしれません。
1-3 仕事が管理されないとサボる
さて、何が問題かというと、管理がされていない工場では業績おろか生産性も見積もれず、そもそもそこで働く人達がちゃんと働いているのかすらわからない状態です。
「おい!お前ら仕事はちゃんとやっているか?」と質問をしても、「へい!頑張ってますぜ」と言えばそれまでです。
「いや!おまえ、明らかにサボっているだろ!」と叱っても、「考えているんすよ!親方!」で終わり。
「ふざけるなよ!全然仕事が進んでいるように見えないぞ!」と突っ込んでも、「へー、じゃあ、証拠は?あまりいちゃもんつけると訴えますぜ!」と突っ込まれる始末。
「ほう訴えるか?好きにしろ!だったら、お前に給料はやらん!サボっていることにして、無賃金にする。これだったら弁護士も雇えないだろ!とっとと荷物をまとめて田舎に帰りな!ボーヤ!」で試合終了!
2.大テイラー主義と科学的管理法
こんな工場のずさんな労働状態を見て、なんとかしようと思って、テイラーは科学的管理法を作り上げました。このときに生まれたのが、コンサルタントという仕事です。
1-1 科学的管理法とは何か?
こんなやつです。とにかく時間で作業を管理するというものです。科学的管理法については、こちらの記事で解説をしています。
「テイラーの生産性の最大化とメイヨーの人間的経営!あなたはどっちに投票する?」
文系の人は科学的管理法を嫌い、「仕事なんて数字で測れるか!」と批判します。対して、理系の人は「仕事は工数で管理をするべきだ!」といって、多少強引でも数値化しようとします。
テイラーが、科学的管理法を世に広めたことにより、経営学という一つの学問ができました。
合理的経済人をモデルとした大テイラー主義が始まりました。
1-2 大テイラー主義のいきつく果てはロボット化
テイラーの科学的管理法を徹底したのがヘンリーフォードでした。フォードモーターの創業者です。フォードは、効率化をはるかにしのぐ工場のオートフォーメーション化に取り組みました。
ひとつひとつの作業を細かく再分化して、一人の労働者にねじ巻き1日7000先回と繰り返すようなキツイ作業を労働者に入りました。当時のフォードモーターは、1年働けば車が一台買えるほど高かったみたいでしたが、仕事があまりにもハードすぎて、そこで働く人たちはどんどんとやめていきました。
2.エルトン・メイヨーと人間経営の時代へ
フォードモーターで働く高給取りの勝ち組工員たちがドンドンと病んでしまいました。「お金をたくさんもらえるのは嬉しいけれど、今の時代にこんな働き方はできません」と。
フォードのモデル崩壊から大テイラー主義が一度崩れ、人間経営がヒットしました。
2-1 科学的管理から人間経営の兆し
戦後の日本を思い出して下さい。頑張って働けば、明日は今日より豊かになるんだ!と希望をもって重労働に耐えられますが、時代が豊かになれば、「ブラック企業じゃねーか?ここ」になるわけです。
休日もなしに朝から晩まで働き詰めで24時間365日戦えますか?の時代に比べると今は凄く豊かな時代ですが、豊かになれば、それはそれで別の欲求が芽生えます。
ここら辺をピンポイントで説明をしているのが、「マズローの欲求5つの欲求-生理・安全・愛・承認・自己実現」です。仕事で自己実現を目指している人に朝から晩までのネジまきの繰り返しは耐えられません。
フォードはこれを経済人から社会人への転換とまとめています。
2-2 ホーソン実験で新たな仕事観が生まれる
「人間関係??意味解らねーよ!数字だろうよい!」って時代だったので、人間関係が職場の生産性にどう影響するのかを立証しないといけません。
そこで生まれのがホーソン工場で行われたホーン実験です。
メイヨーは、ホーソン実験を通じて労働者たちをメチャクチャ働かせる一方で、リップサービスたっぷりのフォローとカウンセリング、そしてルーキーズ並みのチームワーク作りを裏で策してました。
とりあえず、結果は出したみたいです。
2-3 で、ホーソン実験は再現性があるの?
メイヨーは、科学者というより人を喜ばせて重労働をさせる天才です。松岡修三並みに熱い方ですから。他の人も人間経営を実践したのですが、メイヨーのような結果を出すことができませんでした。
ここら辺で暴走するメイヨーにフェヨールが現れて、「HEY!ME-YO、人間関係を叫ぶ前に組織のデザインを考えYO!」と別の切り口から議論を展開しました。
2-4 ハーズバーグの登場
そこら辺で、マズローとメイヨーのセオリーを上手に使ったのが、「ハーズバーグの二要因理論」です。テイラーやマズローのいいところ取りです。
モチベーションという概念を広めて、フェヨールからは見事に逃げました。