今回のテーマは、人間の「欲求」です。インプロ部では、即興ディベートを通じて即興で行動する技術やWEBマーケティングなどを通じて人を動かす方法などについてみんなで集まって意見交換をするワークショップを開催しています。
さて、人を動かすにしても、自分自身を動かすにしても大事なのことは、「なぜ動くのか?」というメカニズムについて深く知ることであり、その殆んどが私たちは自分の欲求を満たすために動いていることが解ります。
(だいたいいつもこの結論になります。)
「欲求を満たす」といっても、「欲求なんて人それぞれだろ!」と思いますが、いくつかお決まりのパータンがあるので、今回はマズロー先生の5段階欲求を通じて人間の持つ欲求のパターンについて考えていいましょう。
はじめに
※マズロー先生の五段階欲求とハーズバーグ先生の不満足・満足の法則については、こちらの記事を参照してください。
1.欲求とは“何者”か?
まずは、「欲求」とは何か?について考えてみましょう。今あなたが抱いている欲求ではなく、一つ上の視点に立って欲求とはそもそも何なのか?について考えてみましょう。
1-1 欲求の正体-人が常に満たしたいと渇望しているモノ、感覚
「こうなりたい」「これが欲しい」と願っている状態、もしくはその感覚ですね。これを欲求と定義しましょう。といっても、これは私が勝手に定義したことなので、Wikipedeiaでは、どのように説かれているか参照してください。こっちの方が参考になるはずです。
何かを欲しいと思うこと[1]や、そう感じている状態。欲望、欲求などともいう。人間(ヒト)、動物が、それを満たすために何らかの行動・手段を取りたいと思わせ、それが満たされたときには快を感じる感覚のことである。生理的(本能的)なレベルのものから、社会的・愛他的な高次なものまで含まれる。心の働きや行動を決定する際に重要な役割をもつと考えられている。
参照元:wikipedeiaより
■欲求の定義をまとめてみた■
- 感情・想い-「コレが欲しい!」と願っている状態
- 動機付け-「コレが欲しい!」と願うから人は行動する
- 結果・感情-「コレが欲しい!」が満たされると快楽を感じる
- 欲求のレベル-生物的な欲求から社会的な欲求と高次元な欲求がある
- 欲求の本質-心の動きや決断や行動に大きく影響を与える
このように、欲求はひとりひとりが心の中で抱いている「感情」だということが解ります。人ひとりひとりが違うのは、各々が持っている欲求が異なるからです。
欲求は、個人の内面の中にあるのです。
1-2 仏教は欲求の克服を目指した
本題とはそれますが、欲求があるが故に私たちは内在的な欲求に苦しめられます。だから、仏教が欲求そのものを克服することを目指したのです。
仏教などでいう「欲」は、概ね生理的(本能的)なレベルのものを指しており、精神にとって心をよくしていくもの、愛情を育てるもの、抑制するべきものとして説かれている。
参照元:wikipedeiaより
とはいっても、私は、欲求を克服するなんて無理なので、自分の欲求に従っていきます。どうでもよい話でした。
さて、本題に入りましょう。マズロー先生の登場です。
2.マズロー先生の5段階欲求説
欲求の専門家と言えば、この人!欲求界のスーパースターマズローです。マズローの欲求5段階説については、マーケティング、組織行動、心理学を学んだことがある人なら知っているかと思いますが、ここでは本ではあまり紹介されていないネタも披露していくので、今しばらくお付き合いください。
マズローや5段階欲求について詳しくない方も読んでいると思うので、基礎の基礎から解説をしていきます。ではいきましょう。
2-1 マズローとはどんな人物か?
生涯を通して人間の欲求について研究をした欲求の達人!欲求を愛し、欲求に生き、欲求に生涯をささげた欲求のエキスパートです。こんな説明をすると、豪快な人生を歩んだ人に聞こえますが、単に欲求の研究をしていただけです。
最後に、マズローはこのようなことを言い放ちました。
『とりあえず、「低次元」な欲求を満たしまくって、とっと「高次元」な欲求に登ってこい!欲求を満たすことこそが人間にとって最大の幸せであり、成長なのだ!』
やっぱり豪快な人ですね。大物です。マズローの理論で有名なのは、この低次元な欲求と高次元な欲求の両方を説いた欲求5段階説です。
2-2 低次元の欲求と高次元の欲求の違い
人間の欲求にはいくつか段階的なものがあります。生存欲求、社会的欲求、成長欲求の3つです。
- 1)生存欲求-本能レベルで衣食住を求めている状態
- 2)社会的欲求-社会の一員として社会に関わりたい状態
- 3)成長欲求-欠乏状態から解放されて、前に進んでいる状態
来月から雇用契約が打ち切られた40代男性の方を物語にして、マズローの「生存欲求」「社会的欲求」「成長欲求」について解説します。
Aさんが解雇されてから、
次の仕事を見つけるまでを物語で解説
この男性をAさんとしましょう。Aさんの役職は課長。笑顔が素敵な40代の男性です。ちょっと要領が悪いけれど、周りから人望があり、メンバーからも親しまれていました。
仕事のモットーは、「どんな時でもお客様が第一!次に、部下を大切にする。その次は、会社の利益。自分の利益はいちばん最後に考えればいい。」でした。
と言いながらも、Aさんは、虎視眈々と出席の機会を伺っていました。Aさんには、部長になりたい明確な理由がありました。
- 今のメンバー達と一緒にもっとよい仕事をしたい
- みんながもっと楽しく働けるような職場づくりをしたい
その為には、もっと権限や裁量が必要で、部長になりたかったのです。そんな状態です。
ところが、突然会社から解雇を宣告された
解雇理由は、部長が自分のポジションを奪われるのではないかと心配して、Aさんを追い出そうとしたからです。
それまで出世を望んでいたAさん。出世どころか仕事がなくなる、という状態になり、途方にくれました。
このときに何が起きたか?それまで気さくで仲間思いのAさんが自分のことしか考えない状態になりました。
- 翌日から出社をしない、定時になったら即帰宅
- 引き継ぎどころか、仕事すらマジメにやらない
- 仕事の途中で会社を抜け出し面接に行く
- 退職金を1円でも多く取ろうと仕事中に上司に交渉を迫る
「どんな時でも人のことを第一に考えるべきだ」が口癖だったAさん。明らかに言っていることとやっていることが違います。そこで、部長はAさんにこう言いました。
「キミが解雇されるまでの残りの3週間。給与は全て支払う。だから、出社はしないでくれ」
Aさんは、快く上司の提案に了承しました。そして、気付けばこれまでAさんのことを慕っていた同僚は、Aさんを冷たいまなざしで見るようになりました。
では、なぜAさんがここまで豹変したのか?
それは、Aさんの欲求が成長欲求(「みんなでいい仕事をしたい」)から、生存欲求(「来月も同じように給料をもらえる状態にしなくては・・・)に変わったからです。欲求のレベルが成長欲求から生存欲求に落ちたのです。
Aさんの口癖である、「どんな時でもお客様が第一!次に、部下を大切にする。その次は、会社の利益。自分の利益はいちばん最後に考えればいい。」は、Aさんの給料と地位が保証されているからこそ、言えることです。きれいごとなのです。
人はピンチになると本性が出るよね・・・と言いますが、自分の生活が危機に脅かされていれば、そんなのは仕方ありません。自己中心の側面が出てしまうのは仕方ありません。
2週間後にめでたく再就職に成功・・・
めでたく出社しなくてよい身分になり、Aさんは転職活動に専念ができます。履歴書と職務経歴書をたくさん書いて、企業に提出する日々です。ひとりで行う転職活動は精神的にも辛いもので、Aさんは身体を壊しました。
めでたく書類選考が通って、面接へのお呼びがかかりました。渋谷のIT系の企業で技術者として採用したいというオファーです。
さて、身体を壊したAさん・・・面接に向かう途中でお腹を壊して、新宿のトイレにかけ込みました。。。。トイレから出てきて、面接までには時間があったのですが、精神的に面接を受けられる状態ではなく、選考を辞退しました。
転職活動で潰れる!その時
直前になって面接を辞退したAさん。渋谷で途方にくれます。
「もうダメだ!人生積んだ...。面接に行く力どころか、オラには鼻くそほじる力もねぇ」
って、悟空か!と突っ込みたくなりますが、まさにそんな感じ。昼間からスーツ姿で喫茶店で天井を見上げながら天井を見上げているAさんにひとりの女性が声をかけてくれました。
「オニイサン、ツライ?...ダイジョウブ?」・・・なんとフィリピン出身の女性です。笑顔が素敵なのが印象的。
「ええ、ツライです。仕事が見つからなくて、2週間後は失業します。お先真っ暗です。」と返答。
「オニイサン、ゴメン。ワタシ、ムズカシイニホンゴワカラナーイ。」
「トリアエズ、コレからお店始まるからオイでー。飲もう」
その女性、フィリピンパブの店員でした。。。。
フィリピンパブでワイワイガヤガヤ
結局、フィリピンパブに行くことにしました。自暴自棄になり、ヤケ酒です。Aさん、そのフィリピンの女性にこれまでの全てを打ち明けました。日本語は解っていない様子でしたが、笑顔でAさんのお話を聞いてくれました。
ビールがどんどん進みます。「私も飲みたーい」のリクエストには即OK。ビール以外に焼酎のボトルがドンドンと空きます。
解雇宣告をされて以来、心が休まることなかったAさん。夕方から深夜までたくさん飲んで、たくさん話して、気持ちはスッキリしました。
さて、会計です。
147000円!
「え・・・ボッタクリじゃねーか!!!」と一瞬思ったのですが、まぁ、たくさん飲んだということでOK。
「ちょっとお金がなくて・・・」と店員に言ったのですが、「お客さん、何時間この店にいて、何杯のお酒を飲んだと思っているんですか?六本木だったら、7ケタ超えてますよ。」と恫喝じみたお声を頂きました。
そこでフィリピンの女性は、こう言います。
「大丈夫よ!お客さん。次の就職が決まれば、給料の3分の1くらいの額よ。もしもお金が払えないんのなら、クレジットカードで払えばいいわ。どうせ、無職になったらクレジットカードなんてとめられるわけだから。とりあえず、あなたがこの場、この瞬間で大切なのはサービスを受けた分のお金を払うことだけ。そして、今日1日は楽しんだと思って、全て忘れて、明日から就職活動に専念するだけ。」
よく解らない理屈だが、何だか納得・・・ん?日本語がお上手で。。。。。
すると、そのフィリピン女性。「強く、したたかでなければ日本では生きていけないのよ!」と一言。
何だ変わらないけれど、スッキリしたからいいか!ということで現金一括で払って、その店を出ました。
お財布はスカスカでしたけれど、Aさんの気持ちは凄く晴れやかでした。
その後、最後の1週間で内定ゲット
3日後、Aさんは別の企業に経歴書を送って、面接を通過してめでたく内定をゲットしました。それから、Aさんの働きぶりは、神っていました。
クビになったショックをバネに、147000円を取り戻すために、そして自分の職業観のためにとにかく働きました。
「強く、したたかでなければ日本では生きていけないのよ!」という言葉も忘れていません。
その会社は、サービス残業があり、従業員たちの指揮は低下していましたが、Aさんにとってそれほど苦痛ではありませんでした。
「仕事、職場、仲間がいるだけでオレは幸せだ!」がキャッチフレーズのAさん。そんなAさんに元気づけられたのか、次第に他の従業員たちはAさんを慕うようになります。
メンバーに対してなるべく定時に仕事が片付き、売上があがるように色々と思考錯誤をしました。
そんなAさん、1年後に事業部長から、こんな声がかかります。
「オレ、来月から地方に飛ばされるから、後任として部長をやってくれない?」と出世のオファーがかかります。
めでたしめでたし。
以上、ひとりの男性が会社を解雇されて、就職活動をはじめて、途中で紆余曲折の道を歩みながら、内定をもらって、仕事に励み、過去に自分が望んでいたポジションをゲットするまでの物語です。マズローのエッセンスを全てまとめてみました。
もちろん、全部フィクションです。
3.マズローの5段階欲求で要点を整理
マズローの5段階欲求とは、左側のピラミッドです。生理欲求、安全欲求、帰属欲求、承認欲求、自己実現欲求の5つで構成されています。
- 生存欲求
- 生理的欲求
- 安全欲求
- 社会的欲求
- 帰属欲求
- 承認欲求
- 成長欲求
- 自己実現欲求
人間の欲求は5段階で構成されていて、下の欲求を満たしたら、その次の段階の欲求にあがるとマズローは唱えました。上の欲求に登れないということです。
1)生理欲求
- 「お腹がすいた!食べたい、飲みたい」
- 「身体の調子が悪い、休みたい、寝たい」
- 「お腹が悲鳴をあげている。トイレに行きたい」
- 「子孫を残したい・・・(あえて渇愛)」
人間であれば、誰もが持っている生理的欲求です。「物理欲求」「生存欲求」という人もいますね。この欲求が欠乏すると、人間は冷静な判断ができないばかりか、非常に動物的な行動に出てしまいます。
今回のAさんの例から見ていきましょう。
体調を壊してトイレにダッシュ
面接に向かう途中で体調を壊して、トイレに駆け込んだ。このときに、Aさんは面接のことなんて忘却の彼方でした。あと5分で渋谷に間に合ったのに、途中で我慢できなく下北沢の駅で降りて、トイレに駆け込みました。
なぜなら、「今トイレに行かないとヤバい」と本能的に悟ったからです。
生理的欲求が脅かされているときは、5分後のことなんて考えている余裕はありません。今この瞬間、この場で欲求を満たしたい、という刹那的な状態になります。
そしてもうひとつ
Aさんが面接を辞退した理由
なぜ、Aさんは面接に間に合うのにも関わらず面接を辞退したのか?ここが凄く重要です。
答えは、仕事がなくなるプレッシャーと次の仕事が決まらない不安で体調を崩し、面接を受けられる精神状態ではなかった、ということです。
「え?そんなことしたら本末転倒じゃない?」と思いますが、ここで注目して頂いたいのが、Aさんは冷静かつ合理的に物事を考えられるような精神状態ではなかった、ということです。
恐らく、あなたにも似たような経験があると思います。
仕事が忙しくて精神的に参っているときに、上司や同僚、大切な人に暴言を吐いたりしたことが。後になって、「え・・なんで私あんなことをしたの?」と後悔をする。
ところが、これは仕方ないことで、心身ともに苦痛を感じているときは、この欠乏欲求を満たすことが最優先で、周りのことを考えている余裕なんてどこにもありません。
Aさんも同じです。本当は面接を受けなければいけないことは解っていたのですが、精神的に不安定の状態でおまけに体調も崩した。心身ともにボロボロです。
面接の席に座ることが言葉にできないくらいストレスだったのです。
Aさんがフィリピンパブで行った理由
この後に出会った女性にホイホイついて行き、夕方から夜遅くまで宴をしていたAさん。
さて、ここでの問題は、Aさんが何にお金を使ったか、です。
マズロー的にいうと、Aさんはお金や女性にお金を使ったのではなく、会社をクビになった劣等感、転職活動のプレッシャー、孤独な日々から一時的に解放されるためにお金を使いました。
単に、「お酒を煽って、異性とお話をしただけだろ」と思う人はいるかもしれませんが、Aさんにとって、この瞬間、この場で、その欲求を満たすことが、マンションや車を買うよりも重要だったわけです。
Aさんの本当の悩みは、仕事が見つからず来月の給与が保障されない恐怖ではなく、劣等感、プレッシャー、孤独の中で言葉をかけてくれる人が誰もいない辛さだったのです。人が大好きなAさんにとって、劣等感、プレッシャー、孤独は何よりも辛かったのでしょう。
Aさんが147000円を笑顔で払った理由
笑顔で147000円を払ったかは微妙ですが、Aさんにとって、その瞬間はお金に代えがたい価値があったのでしょう。
今までのストレスや悩みを誰かに聴いてもらうことで、内面を整理できます。一時的にすべてを忘れて、心身ともに解放される時間です。面接に行けないくらいヤバい精神状態なAさんにとって、そこから解放される瞬間はまさにプライスレスでした。
さて、それが147000円の価値があったかどうかの議論ですが、Aさんにとってはありました。
なぜなら、もしもここで147000円を喜んで払えなければ、「お店側にボッタくられた」、という気持ちだけが残り、これまでの楽しい時間が全て水の泡になると判断したからです。ここでもしもお金をケチったり、お店とトラブルを起こすと、その解放感がゼロになり、同じ日の繰り返しです。
だから、少し迷ったけれど、
- 「今日は楽しい一日を過ごしたんだ!」
- 「明日から就職活動頑張れるぞ!」
という気持ちを買うためにお金を払いました。「不当に高額請求された」ではなく、「今日は楽しい時間を過ごせて復活した」という開放感にAさんはお金を払ったのです。
2)安全欲求
- 「危険・危機を回避したい」
- 「心身ともに安心をしたい」
- 「穏やかな毎日を過ごしたい」
といった欲求です。
不安を抱えると自己中心になる理由
Aさんの安全欲求が脅かされたのは、前職で解雇通知を突き付けられたときです。会社をクビになって翌月から仕事にありつけなければお給料がもらえません。家賃が払えないばかりか、食べ物にもありつけません。
想像すればするほど恐怖です。もう自分のことしか考えている余裕がない!状態です。
これまでに仲間思いだったAさんが、次の就職活動のことを第一に考えて、部署のみんなに平気で迷惑をかけて好き勝手に転職活動をしている状態こそ、まさに安全欲求が欠乏している状態と言えるでしょう。
→人は自分のことがいちばん大切という当然の心理を受け入れて下さい。
相手のことを第一に考えるは理想
私たち、日本人も自分の安全が保障されていて、他社のことを考えたり、想いやったりする余裕が生まれてくるのです。逆に考えると、自分がピンチのときに、相手のことを第一に考えるなんて現実的にはムリです。
大企業は、自分たちは利益を追求すると同時に、社会の発展のために事業を行っている、と言っています。ところが、これは儲かっているからできることであり、事業の存続が危うい状態では、目先の利益優先で、社会の発展は二の次です。
読売新聞だって、儲からなければジャイアンツを平気で手放すことは容易に想像ができます。
3)帰属欲求
- 「人とつながっていたい」
- 「友人・恋人などが欲しい」
- 「コミュニケーションしたい」
さて、物理欲求と安全欲求が満たされると、人は社会的な動物になると言われています。社会的欲求が芽生えている状態は、自己中心的な発想ではなく、他人やコミュニティーの中で自分のあり方について考えられる状態です。
再就職後にAさんが頑張れた理由
Aさんは再就職を決まり、来月の生活が保障されました。そして、職場には同僚がいます。このときのAさんに欠けていたものは、職場の人間関係です。入社したばかりのAさんは職場のメンバーから受け入れられていませんでした。
Aさんは、性格ゆえか、孤独がツライな人です。(孤独になるこ=安全欲求を脅かされるレベル)
職場のメンバーから仲間として認めてもらいたくて、精一杯仕事に打ち込みました。次第に、職場のメンバーは、Aさんを受け入れるようになり、メンバーとして迎えるようになり、Aさんの帰属欲求は満たされたのです。
解雇されたAさんが豹変した理由
逆に、前職から解雇通知を受けたときは、安全欲求を満たすことが第一だったので、帰属欲求は少しもありませんでした。自分のことで精一杯だったからです。
もちろん、解雇通知を受け取って、数日後に次の職場が決まっていれば、話は別だ他かもしれません。また、本当は自分の転職活動が上手くいって、よい報告ができて、円満で部署を去りたかったのかもしれません。
そこら辺は想像にお任せします。
4)承認欲求
- 「皆から認められた・尊敬されたい」
- 「●●さんからもっと見てもらいたい」
- 「社会的なステータスが欲しい」
コミュニティーの中で一目置かれる存在になりたいと願う欲求です。私たちが日々努力をしてまで誰かに貢献をしようとするのは、この欲求があるからです。
実はAさんは承認欲求が強い
Aさんは、周囲を大切にしてみんなから親しまれたいキャラなのはこれまでのお話で何となくお解りいただけるかと思います。加えていうなら、Aさんにはもうひとつ隠れた願望があります。
それは何かというと、「社会的地位」「出世・昇進」「人の上に立つ」という欲求が本能的に強い点です。以前は、昇進・出世すると思い責任を負うから嫌がる人がクローズアップされましたが、Aさんはまさに逆にタイプです。
承認欲求を満たす手段として、出世を誰よりも望んでいる一面がAさんにはあります。もちろん、承認欲求を満たす手段は出世以外にもあります。
ところが、Aさんは、出世して、部署の指揮をとる立場について、おまけに、みんなから役職で呼ばれたい、という欲求がひといちばい強いです。もちろん、これは性格です。
承認欲求を満たすのは厄介
承認欲求を満たす手段として、有効なのはナンバーワンとオンリーワンの考え方です。
5)自己実現欲求
- 「夢を実現したい」
- 「何かを創造したい」
- 「信じるべき道に進みたい」
承認欲求が満たされて、他人の目とか気にしなくなり、自分のやりたいことに突き進んでいる状態です。
全てを捨てて自分らしく創造的に生きたいと心から願っている状態といえるでしょう。
以上が、5段階欲求説の階層です。