ディベート実践編!トゥールミンモデル(ロジック)-6つの論理

投稿日:2015年1月31日 更新日:


まずは、トゥールミンモデルという言葉を知ってくれてありがとうございます。

トゥールミンロジックを知っている奴ら、だいたい友達♪
トゥールミンロジックを知っている奴らと、だいたい同じ道歩んできた!これマジ!
ディベート、立論、反駁もそうそうに、無駄に没頭に!
JDAに駆り出されたよ!マジ勝てなかったよ本当に!

私が、トゥールミンロジックについて知ったのは、苫米地英人さんのディベートで超論理的思考を手に入れる、という本を読んだときですね。それから、福沢先生の「議論のレッスン」という本を読んでトゥールミンモデルについて理解を深めることができました。

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スティーブントゥールミンの本も読みましたが、内容が難しすぎて何度も挫折。一応、繰り返して最後まで読みました。

そんなわけで、読んだ本をまとめます。

いちばん参考になったのは、苫米地英人さんの「ディベートで超論理思考を手に入れる」ですね。苫米地さんが元ディベーターと知ったときは驚きました。

ある2009年頃に英語系のセミナーに参加をしたときに、自称苫米地さんの後輩の方から、苫米地さんがエキセントリックな英語ディベーターであることは聞きましたが、まさかディベートの本を書いていたとは・・・。

さて、前置きはこれくらいにしてそろそろ本題へ。

はじめに

1.トゥールミンの論証モデルとは?

論理で人は動かない

イギリスの哲学者・スティーブントゥールミンが考案した議論のモデルです。
トゥールミンが作ったから、トゥールミンモデルです。そのまんまです。マイケルが作ったら、マイケルモデルになっていたのかもしれませんね。

他にも、「トゥールミンロジック」「トゥールミンの論証モデル」と呼び方は様々ですが、トゥールミンモデルという言葉に統一します。

1-1 3段論法との違い

論理の王道ですね。ほとんどの論理の方程式は、三段論法で考えれば、いとも完璧に結論が導き出せます。こんな感じですね。

三段論法

  • 大前提:人は死ぬ
  • 小前提:ソクラテスは人である
  • 結論:ソクラテスは死ぬ

いかがでしょうか?本当に当たり前のことをいっていますね。正しい大前提と正しい小前提により、正しい結論が導かれます。

  • 絶対に正しい前提-人は死ぬ
  • 絶対に正しい事実-Aさんは人である

はい!問題です。こんな正しい大前提が私たちの周りにどれくらいあるでしょうか?

実はほとんどないんですよね。

あるとしたら、「全ての人はいつか死ぬ」「税金からは絶対に逃げられない」ぐらいでしょう。

1-1-1 苫米地さんのツッコミ

この論理に対して、苫米地さんは、このように批判しました。

  • 人間が絶対に死ぬなんてありえねーだろ。近い将来技術があるかもしれないぞ
  • Aさん(本書ではアリストテレスとする)が完全に人間とは言い切れねーだろ。

と、駄々をこねていました。とりあえず、99.99%の人が納得をするような論理であっても、0.01%でも反証できれば三段論法の大前提や小前提は成立しないという性質があります。

1-1-2 コンピューターではなく人間の思考に

コンピューターは、事前に決められた条件に当てはまっていなければ、「誤り」という変数を返してしまいます。三段論法の問題も同じです。

自由の定義にもよりますが、「アメリカが自由な国である」と証明するのは無理ですね?

確かに、生まれたときから身分が決まっているようなヨーロッパやインド、その他の国にとっては実力ひとつで成り上がれる自由な国なのかもしれませんが、完全に自由であるかと言われたら微妙です。

ところが、三段論法の世界では、ひとたび「アメリカが自由だ!」という命題を出したら、この命題は絶対に覆らないんですね。

 

1-1-3 答えのある問題か否か

もちろん、三段論法がダメと言いたいわけではありません。カチカチと考える作業は、絶対に必要です。

議論・討論・ディベートは答えがないことが大前提であり、あなたが議論・討論・ディベートをするとしたら、答えがないことを前提に物事を考えないといけません。何だか、トートロジー(反復論理)のような・・・

要するに、問題を扱う場合においては、適さないと言いたいだけです。

そこでトゥールミンは、三段論法の代わりに、データ・ワラント・クレームの3つで考える方が望ましいと指摘しました。

三角ロジックのことですね。

1-2 3角ロジックとの違い-根拠、主張、論拠-

「データ-根拠、クレーム-主張、ワラント-論拠」のことですね。ディベートは、この3つの論理を使って議論を組み立てます。

ディベートの論理-3角ロジック「根拠」「主張」「論拠」

やや、この記事がディベーター向けだったので、こちらで紹介するトゥールミンロジックは、ディベートを経験したことがない人でも解るように書いてみました。20%くらいディベートのネタが入っていますが、ご了承ください。

2.論証のパーツ:根拠、主張、論拠、裏付、反駁、強度

トゥールミンモデル

トゥールミンロジックは、以下6つの【根拠】【主張】【論拠】【裏付】【反証】【強度】の論理で構成されています。

トゥールミンロジック-6つの論理

  • 【根拠】:Grounds:主張を支える理由・根拠
  • 【主張】:Claim:根拠から展開されるひとつの主張
  • 【論拠】:Warrant:根拠が主張を支えている理由
  • 【裏付】:Backing:論拠や根拠に対して裏付けをする
  • 【反証】:Rebuttal:反証可能性
  • 【強度】:Qualifier:論理の強さ、定性的な正しさ

まず、基本論理である【根拠】【主張】【論拠】について解説をして、その次に、

  • 根拠・論拠に対する裏付け【B論理】
  • 反証可能性としての反駁【R論理】
  • 論理の強度を測る【Q論理】

の3つについて解説をしていきます。後半の3つの論理はトゥールミンモデルを理解する上で凄く重要な部分になってくるので、しっかりと理解して下さいね。

後半のBRQ論理です。このBRQ論理は、前半のDCW論理を分析するための行う論理です。論理学の世界で有名な福沢さんは、後半のBRQ論理を「トゥールミンロジックの名わき役」と称しました。

2-1 データ-

データとは、何か主張をしたときにそれを裏付ける根拠のことです。「なんでその主張が正しいと言えるの?」という質問に対しての答えと言い換えても構いません。

一般的には、「事実」を述べることですかね。まずは、事実とは何か?ということについてお話をさせてもらいます。

2-1-1 事実とは何か?

実際に起こった事柄。現実に存在する事柄。「意外な事実が判明する」「供述を事実に照らす」「事実に反する」「事実を曲げて話す」「歴史的事実」
哲学で、ある時、ある所に経験的所与として見いだされる存在または出来事。論理的必然性をもたず、他のあり方にもなりうるものとして規定される。

ことバンクより

つまり、「誰もが納得をすること」と言い換えることができます。

例えば、あなたが最近働きづめで「働き過ぎでもうヘトヘトです!」と上司に訴えたとします。

さて、今のあなたの状態です。

仕事が忙しく、朝から晩まで働きづめの毎日で、全身から悲鳴を上げている。このままだと、ヤバいと思ったので、何とかしてもらおうと、上司に相談をしました。

ところが、上司からは、こんなツッコミが。

「なぜ働き過ぎだと言える!」

「それは本当なのか?」

「証拠を見せてみろ!」

チーンですよね?

どんなに訴えても、それを裏付ける根拠が用意できなければ、何を言っても信じてもらえません。

なら、根拠を見せましょう。

  • 【例】タイムカード/メール送付日時/ドキュメントの保管日時

等が手元にあれば、「働き過ぎでヘトヘトです~」と訴えているだけよりは、説得力が高いはずです。

ポイント:いかなる主張にも根拠がある

  1. キチンと根拠を示すこと
  2. 誰もが認める事実であること
  3. 事実がいちばん説得力がある

 

 

2-1-2 事実≠100%正しいこと

「事実」と聴くと、「100%正しい」「誰もが納得すること」と思うかもしれませんが、違います。100%正しくなくても構いません。

100%正しい、絶対に正しい、に囚われる人は、議論に弱い人です。そもそも、世の中に「絶対」はありません。もしもあなたが「絶対に正しくなければならない」「100%正しい事柄であるべき」とお考えなら、三段論法による洗脳です。

相対的に、説得力が高ければよいわけです。

例えば、先ほどの「タイムカード」「メールの送付日時」「ドキュメントの保管日時」だって、その気になればねつ造することもできます。ですが、ねつ造だというなら、それは相手が証明だといいたければ、あなたではなく相手が証明するのがルールです。(疑わしくは被告の利益の法則)

ちょっと面白い概念を紹介します。

 

2-1-3 事実の蓋然性(ガイゼンセイ)

蓋然性とは、「確からしさ」という意味になります。世の中の事実は100%正しいことではなく、単なる「確からしさ」で認識されています。

例えば、「信長は明智光秀に裏切られた」というのは事実でしょうか?恐らく、本当のことを知っている人はいないはず。

確かに歴史の教科書では、1582年に織田信長は本能寺の変で明智光秀に裏切られて自害をしたと書かれています。

ところが、この目で織田信長を見たことがある人は誰もいません。

織田信長が本当に存在したかどうかも本当はわからないけれど、歴史の教科書にそう書かれているから、反対の学説がない限り、とりあえず織田信長が明智光秀に裏切られて自害したことにしましょう、ってことで歴史の教科書は解説されています。

なお、事実認識について永遠と議論を続けているのが日本と韓国ですね。お互いが全く違う歴史認識をしているから、一生決着がつくことがありません。

話を戻すと、「私は働きすぎです」といいたければ、会社で長い間仕事をしていたことを裏付けるための証拠資料を示せばよいわけです。タイムカード、メールの送付日時、ドキュメントの保管時間などたくさんアリバイを作りましょう。

2-1 クレーム

事実と意見

事実(根拠)が固まったら、次からが勝負です。主張を創ります。さて、この主張ですが、凄く大事です。

主張の組み立て方を知っているか知らないかで、議論の進め方は大きく変わります。

2-1-1 主張-あなたがいちばん言いたいこと

先ほどの「働き過ぎでもうヘトヘトです!」と上司に訴えたら、上司はこういいました。

「そっか。とりあえず、頑張れよ。」

と言って、その場を去っていきました。

「え・・・あ、いや・・はい、わかりました」となり、あなたの訴えは上司に届きませんでした。

当然です。

何も主張をしていないからです。

 

2-2-1 主張-相手に何らかの「要求」をする

改めて主張について考えてみましょう。

主張とは、自分の気持ちを伝えることではありません。相手に何をして欲しいかをハッキリと要求指事命令することです。

  • 今日は帰宅させて下さい
  • 明日は休ませて下さい
  • 2時間休憩を下さい

自分の気持ちを伝えれば、相手は空気を読んでくれると思ったら大間違い!今回の場合でも、上司は、あなたが何をしてほしいのかを察してくれます。

しかし、「じゃあ、今日は帰っていいよ」「明日は休んでいいよ」「2時間だけ休んでこいや!」と言ってくれるとは限りません。

2-2-2 主張とは?-相手に要求をすること

繰り返しになりますが、「ねっ!私の言いたいことわかるでしょ!察してよ。」と訴えて、察してくれる人とそうでない人がいます。「あの人は鈍感だ!」「人の気持ちがわからない」と文句を言っても何も変わりません。

とにかく、主張をしましょう。

主張は、Claimと訳されていますが、文句を言うことではありません。

あなたの要求を伝えることです。

要求を伝えて、相手は改めてその要求を通そうか、否かを検討してくれるわけです。

ちょっと、話がずれますが、自分たちの要求を通すのが上手な国は、やっぱり中国や韓国だと思います。その要求が正しいか間違いかを議論する余地はありますが、やっぱり要求したものが勝てるのは外交を学ぶとよくわかりますよ。

2-2-3 備考-2つの主張

ディベートでも、相手に要求するシーンは多々あります。

  • 「認識」に対しての主張-この争点は●●であると、と考えて下さい
  • 「行動」に対しての主張-今回の試合は私たちに投票して下さい

この主張ができて、ジャッジや観客はどこがポイントで、自分たちは何をするべきなのかを理解してくれます。

ですから、もしも本気で議論をするときの話です。しっかりと自分の言葉で相手に何を考えてほしいのか?どんな行動を次にとってほしいのか、キチンと主張して下さい。

2-2-4 ディベートのテクニック-ジャッジに指示を出せ

私がディベートをしているときのテクニックについて紹介します。

最後のスピーチでは、必ずジャッジや観客に対して、どのように考えるべきか?のみではなく、何をしてほしいのかを指示しています。

 

ジャッジに指示を出す方法

  • 「論点Aは成立しました。まるで囲って下さい」
  • 「論点Bには反駁されていません。カウントしないでください」
  • 「論点Cは反論されていません。左から右に線を引いて下さい」

 

ジャッジは、絶対に自分と同じように考えていない、という前提に立ってスピーチをしています。指示をするなんていうと、何だか上から目線に思うかもしれませんが、逆です。指示を出してはじめて人は動きます。

逆に、即興ディベートワークショップでは、参加者の人が自ら私に対して、「●●についてもっと教えて下さい」「この説明に具体例を交えてくれませんか?」とリクエストしてくれます。

だから、凄くやりやすいんです。

さて、次はトゥールミンモデルの王道とも言えるワラントです。

3-2.ワラント

ここまで根拠と主張について解説をしましたね。これを根拠、理由、主張に分けてみましょう。

  • 主張-明日はお休みを下さい
    • 理由-私は働きすぎです
      • 根拠1.タイムカード
      • 根拠2.メール送付日時
      • 根拠3.ドキュメントの保管日時

ついでに、タイムカードをチェックしたら、稼働時間が14日の時点で150時間を超えていて、メールの送付日時やドキュメントの保管日時が深夜すぎることもしばしば。論理武装は十分です。

ところが、その上司からとんでもない一言が・・・・。

働き過ぎなのはわかったけれど、何で明日は休ませないといけないの?まだ、今月のノルマ達成してないよね。みんな、達成していないときは、それくらい頑張っているよ。

・・・・え・・・マジですか?はい、この上司の考え方は、「働き過ぎ」という根拠と「休ませる」という主張がイコールではありません。

「働き過ぎな従業員を休ませる」というのはあなたの常識です。

もしかしたら、上司の上記は、「労働時間と成果は関係ない。成果が全てだ」「24時間、365日倒れるまで働け!」なのかもしれません。

2-3-1 論拠-根拠と主張の間にある理由

 

笑えない話かもしれませんが、こんな考えの上司も実際にいます。

上司でなくても、あなたがお客様先に常駐をしているとします。

企業から何らかの仕事を請け負っている立場であれば、あなたの「働き過ぎだから休ませてくれ」という論理は通用しません。

つまり、同じ事実を共有していても、あなたと上司では、その事実の解釈の仕方が異なるため、あなたの主張は受け入れられないのです。

その上司は、なぜ働き過ぎだから休ませなければならないの?と反論した理由です。

2-3-2 根拠が主張を支えている理由を説明する

もちろん、ここで諦めてはいけません。

「なぜ働き過ぎだから休ませるべきなのか?」という理由を示せばよいわけです。

幸い、日本には労働法というものがあります。会社は、従業員の健康を管理する義務を負っています。

  • 【主張×根拠】私は働き過ぎだから、明日は休ませて下さい。
  • 【論拠】このままだと労働基準法違反して、業務停止になります

という論理を組み立てなければなりません。

「え・・・?そこまで言うの?」と思うかもしれませんが、議論や討論をするのであればしっかりと説明しなければなりません。

今回は、極点な例かもしれませんが、根拠と主張がかなり飛躍している論理はこの世にたくさんあります。そもそも、15日の時点で150時間超えていれば、残り5日くらいしか出社できませんからね。

なぜ6日なのかというと、36協定を結んでいる企業であれば、残業の限界は45時間だからです。つまり、8時間+残業1時間なら、5日が限界なのです。これも論拠です。

2-4.バッキング

さて、今度はトゥールミンモデルの名わき役ともいえるバッキング(裏付け)に入ります。もちろん、先ほどの論理の続きです。

  • 【主張×根拠】私は働き過ぎだから、明日は休ませて下さい。
  • 【論拠】このままだと労働基準法違反して、業務停止になります

ここまで言えば完璧だ!と安心したのは束の間。上司は恐ろしい反論が返ってきました。

労働基準法違反したら業務停止になるのは本当か?確かに、そんな法律はあるけれど、そんな法律を守る企業なんてほとんどないよ。どこもいっしょ!いっしょ!さ、仕事に戻れ!

なんとも残酷な答えなのでしょうか?嗚呼。

ですが、ここで負けてはいけません。もしかしたら、上司のいうことはあながち間違っていないのかもしれませんからね。本当に企業が法律を全部完璧に守っていると思ったら大間違いです。霞が関や公務員でも長時間労働が問題になっていますからね。

ですが、ここで諦めてはいけません。こんなツッコミを受けたら、論理(論拠)を補強して、説得力をあげるしか方法はありません。これが裏付けです。

2-4-1 裏付け-論拠を実証する

今回の場合であれば、以下の証明が望ましいでしょう。

  • 実際に労働法違反して、国から注意・勧告を受けた
  • 業務停止になった企業はいくつか存在する
  • この現状だと、自分たちも同じような状況になりかねない

という更なる根拠を示すことです。論拠に対してもキチンと根拠を示せれば、次の論理が組み立てられます。

  • 【主張×根拠】私は働き過ぎだから、明日は休ませて下さい。
  • 【論拠】このままだと労働基準法違反して、業務停止になります
  • 【裏付け】実際に、過剰労働が問題で営業停止になった例があります

という論理を強くしましょう。

2-4-2 ポイント!論理を2つの軸で見る

ディベートに限らずあらゆる議論にも応用が可能なので紹介します。それは論理を横軸と縦軸の両方で見ることです。

【横軸】

  • 主張-明日はお休みを下さい
  • 理由-私は働きすぎです
    • 根拠1.タイムカード
    • 根拠2.メール送付日時
    • 根拠3.ドキュメントの保管日時

横軸では、「長時間労働だから休ませるべき」という議論が行われていました。ですが、後半に入ってから、別の議論になっています。

【縦軸】

  • 【主張】私は働き過ぎだから、明日は休ませて下さい。(主張×根拠)
    • 【理由】このままだと労働基準法違反して、業務停止になります。(論拠)
      • 【根拠】実際に、過剰労働が問題で営業停止になった例があります(裏付)

このような議論は私たちの身の回りによくあります。特に、相手と前提の認識が違っていれば、その点についても議論をしなければなりません。

相手と考えが食い違ったt気に、「考え方が違うよね。」「人それぞれだよね」で済ますクセがついている人は要注意です。

考え方が違うから、人それぞれだから、今の状況でどちらの考え・それぞれを採用するべきかを議論するべきであり、それができないと損します。

では、次。そんな考えが違う上司から猛反論を受けることになります。リバイタル(反駁)についてみていきましょう。

そろそろトゥールミンモデルも後半を迎えますね。ここまでお読み頂きありがとうございます。

2-5 リバイタル

さて、これまでごまかしていた上司がやっと本気になってくれました。あなたのこれまでの議論に反駁を行います。反駁とは、あなたの反論に対しての更なる反論をするという意味です。

2-5-1 上司からの反駁

  • VS根拠-まず労働時間が140時間を超えたという件だ。タイムカードを誤魔化していないか?今が10日だとして、1日4時間も働けるわけないだろ。
  • VS論拠-次、労働基準法に違反して、業務停止になる---そんなのは国へ報告次第でクリアできる問題だ。そもそも36協定にも例外がある。
  • VS裏付-営業停止になった企業よりも営業停止になっていない企業の方が多いことは知っているぜ。そんなのは一部の企業だけだよ。

御見事な反駁です。しっかりと、あなたの「根拠」「論拠」「裏付」に対してポイントを絞って論じ返していますね。また、反論に対して、キチンとかは別として理由を示せています。おそらく、この上司はディベート経験者なのでしょうか?

2-5-2 どんな議論も反駁される

先ほど、あらゆる物事に完璧はない!とお伝えしたとおり、どんな議論に対してもつけいるスキはあります。

例えば、タイムカードの件ですね。根拠の部分では、「より確からしい事実を述べて、その事実を元に主張をすればよい」とお伝えしました。ところが、相手が提示した事実の方が、あなたの事実よりも「より確からしい」と判断されれば、あなたの議論は崩れます。

2-5-3 上司の反駁に更に再反駁

  • VS根拠-まず労働時間が140時間を超えたという件だ。タイムカードを誤魔化していないか?今が10日だとして、1日4時間も働けるわけないだろ。

と反論をしていますよね。

ですが、タイムカードに記録が残されていれば、上司が、「9:00-25:00、26:00くらいまで働けるわけない」と反論しても、説得力という点ではあなたが勝つでしょう。

  • VS根拠に対する反駁に対しての反駁
    「実際に、タイムカードには記録されていますよね。もしも私がタイムカードを改ざんしている、というのなら証明して下さい」

と強気な態度で、情事に反駁に反駁をすることもできます。

他の2つも同じですね。

  • VS論拠に対する反駁に対しての反駁
    「36協定にも例外がある」といっても例外が何かを示さなくてはならない。
  • VS裏付に対する反駁に対しての反駁
    「営業停止になったのは一部の企業であって、ウチはなんとななる」は、一般化の論理。なんとかなるシナリオを上司が示す必要がある

上司の反論も狙いだけはお見事でしたが、理由付け・根拠付けがイマイチでした。トゥールミンモデルを例にするのなら、議論の強度という点では、あなたの方が上司よりも説得力があったと、この場合、【私は】判断できます。

(あくまで私は・・・です。あなたがどう判断するかは解りません)

2-5-4 反駁=保留要件

このように、トゥールミンモデルの世界では、どんな議論にも必ず反論・反証の可能性があるということです。なお、苫米地氏は、この反論のことを【保留要件】と解釈しました。

  • タイムカードを誤魔化していない「限り」
  • 労働基準法が正常に機能している「限り」

と、この「限り」が今回の保留要件になります。

トゥールミンモデルは、論理の正しさをチェックするのはなく、ひとつの議論がどれだけ論証されているかをチェックします。

つまり、反論がひとつでもあれば、「この論理は成立しません」ではなく、その反論で一端保留して、改めて議論をするべき、と言っています。相手からあなたと同等のレベルの立証(反証)がなされれば、相手の方が説得力が高いと判定されます。

2-6 クオリファイアー

聞き慣れない言葉かも知れませんが、これまでの論理の強さを確かめる部分の論理です。本来は、お互いの論理をぶつけてどちらの方がより確かかを比べるのですが、今回はあなたの方が説得力があったと仮定して考えていきましょう。

いきなりですが、今回の論理がどれほど確か、と点数をつけてみて下さい。

2-6-1 チェックのつけ方-ヒントは英語

英語の副詞における程度感をまとめてみました。私たちは、日本語を使うときに、「ほぼ」「確実に」「もしかすると」とという言葉を何となく使っているかもしれませんが、英語だとしっかりとした序列があります。

英語の副詞

  1. definitely(絶対)
  2. surely(確実に)
  3. probably(恐らく)
  4. sometime(場合によって)
  5. maybe(たぶんねー)
  6. possibly(もしかすると)
  7. never(絶対にない)

冒頭でお伝えしたように、トゥールミンモデルは、「絶対的な正解」ではなく「より確からしさ」を元にひとつひとつを論証していきます。なので、今回のあなたの主張は100%正しくなくてよいので、上記の7つからどの程度正しいのかを見ていきましょう。

いや、一緒に考えていきましょう。

2-6-2 実際にチェックをつけてみよう

答えは、私と同じでなくても構いません。大切なのは、答えそのものではなく、なぜそのように考えたか理由をキチンと説明できているかですから。

今回は縦軸からみていきましょう。縦軸が固まることで、上司との論理が固まり横軸の判断がしやすくなるからです。

□縦軸の論理

  • 【主張】長時間労働の放置はやめるべきである
    • 【理由】このままだと労働基準法違反して、業務停止になります。(論拠)
      • 【根拠】実際に、過剰労働が問題で営業停止になった例があります(裏付)

【答え】probably(恐らく)

お国から営業停止の処分を受けるかはまでは微妙ですが、長時間労働を放置していれば何らかの問題にはなると判断ができます。それ以前に、コンプライアンス違反です。

一昔前だったらOKだったのかもしれませんが、今は時代が時代です。やっぱり守るべき、という判断が妥当でしょう。

従って、今回は絶対に恐らく長時間労働の放置はストップするべき、という前提で次の論理について考えていきます。

□横軸の論理

  • 主張-明日はお休みを下さい
  • 理由-私は働きすぎです
    • 根拠1.タイムカード
    • 根拠2.メール送付日時
    • 根拠3.ドキュメントの保管日時

【答え】definitely(絶対)

タイムカードやメールの送付日時など、証拠がそろっていると証明できましたね。そして、先ほどの「長時間労働の放置はやめるべきである」という論拠で物事を考えるため、何らかの対処は必要だと判断ができます。

その判断が、「明日は休ませること」になります。

絶対証拠が全部残っているのなら、この論理は絶対ですね。

 

3.議論の完成形-プリマファシエの法則

プリマファシエとは、トゥールミンモデルの6つの論理が全てそろっている状態です。言ってみれば、議論の完成形ですね。

相手の議論を聞いたときは、どんな情報もこの6つで整理するようにしています。

選手をしているとき、ジャッジをしているときも例外ではありません。

アカデミックディベートの頃は、3角ロジックだけで十分でしたが、即興ディベートをするようになってからは、完全にトゥールミンモデルに移行しましたね。

もちろん、はじめからできていたわけではありません。即興ディベートをしているうちに自然と身につきましたよ。

本当に実践力だなーと思うわけです。

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