因果関係の法則|必要条件、十分条件、寄与条件の使い分け

2016年1月30日

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ディベートは口げんかなの?

「どうしてこんなところに立って派手に手を振り回して叫んでいるんですか?」

「モンスターを追い払っているからだよ!」

「でも、モンスターなんていないじゃないですか?」

「その通り!わしがここに立っているからじゃ」

因果関係の考え方について学んでいきましょう。

即興ディベートワークショップ2019

はじめに

因果関係は複雑

因果関係の研究は複雑なところがありますね。ディベートよりも数倍難しいと思ってください。

さて、ここでは、ディベートの試合や日常のコミュニケーションで使えそうな、間違った因果関係の推測からくる、あるある混乱をいくつかとりあえげてみました。

3種類の原因、または条件について理解しましょう

  • 1.必須条件
  • 2.十分条件
  • 3.寄与条件

の3つについてです。

1.必須条件

「Xが満たされない限り、Yが起きない場合」が必須条件になります。

  • システム系の仕事に就きたければ、パソコンの操作ができること
  • 電源ボタンを押さなければ、パソコンの電源が入らない
  • 人間が生きるためには酸素が必要だ

など、絶対!と言いきれるものは全て必須条件になります。

2.十分条件

「Xが生じるときにYが生じる」、が成立すれば十分条件になります。

例えば、HTMLとCSSでコードを組めれば、ホームページは作れる

これは十分条件になります。ところが、必須条件にはなりえません。

HTMLやCSSを知らなくても、ホームページを作る方法が他にもあるからです。

  • WORDPRESS
  • ホームページ作成ソフト

などがいい例ですね。

足が速くなりたければ、陸上部に入るべき・・・確かにその通りですけれど、サッカー部でも足が速くなれそうですよね?そもそも部活に入るよりも、一人でトレーニングをしていた方が足が速くなれるかもしれません。

必須条件との違いは、X以外にもV、W・・・と他の条件も存在していることです。

甲子園に行きたければ、高校の野球部に入ることが必須条件になります。ところが、プロ野球選手になりたければ、高校の野球部に入る以外の選択肢もあります。

上原選手も高校時代はラグビー部でしたからね。

3.寄与条件

「XがYを生じさせるためのいくつかの原因のひとつになる」なら、XはYの寄与条件になります。

ここ数日間、23:00まで仕事をしていたから、毎日4時間ぐらいしか眠れない。よって、睡眠不足である。

さて、これはどうでしょうか?

もちろん、23:00まで働いていれば寝る時間は少なくなりますが、帰宅してからスグに寝れば、最低6時間は睡眠時間を確保できます。

実は仕事が終わってから残りの時間を趣味に費やしていて、それが原因で睡眠不足なら必須条件ではなくなります。そして、全員が全員睡眠不足でなければ、十分条件にはなりません。

23:00まで働いていたことは原因の一つにはなりますが、全てではありません。

(なんだかブラック企業の論理に聞こえますが・・・)

まとめると以下のようになります。

  • 必須条件:Xが起きなければ、Yも起きない
  • 十分条件:Xが起きたら、Yも起きる(Zでも起きる)
  • 寄与条件:Xが起きたら、Yも起きることもある

とりあえず、因果関係を考えるときは、この3つを混在して考えないようにして下さい。

さて、次はディベートの試合をケースにお伝えしていきましょう。

ディベートの試合の試合に置き換えて考える

ディベートの試合では、必要条件、十分条件、寄与条件が全て混在して登場します。例えば、このような議論ですね。

例えば、「日本人は中高6年間英語を学んだのに大人になっても外国人と英会話でコミュニケーションができない!その原因は、小学校のころから英会話を勉強していないからだ

  • 主張:日本人は大人になっても英語が苦手である
  • 根拠:小学校のころから英語を勉強していないからだ

この場合、根拠は寄与条件になります。バレバレですね。

ところが、この寄与条件を、あたかも必要条件や十分条件のように主張してくるとんでもない選手がたくさんいます。

もちろん、その選手はディベート経験者です。ハイ!私です。(笑)

理由は簡単です。

必要条件、十分条件、寄与条件の違いを混在させるような議論をしたところで

  • 対戦相手のみならずジャッジからもばれない
  • 仮にばれても相手から対処の仕方を知っているから

です。

97%のジャッジは、この3つの違いについて気付いていません。仮に気づいていても、言葉で表現できる人はそう多くはありません。

(マニュアルディベーターは特にその傾向が強い)

もちろん、寄与条件だってワンノブゼムなので、原因の一つにはなるので有効なので、強引に押し通す戦略です。

ただし、先ほどの日本人英会話の話に戻ると、本来は以下のように言い直されるべきです。

日本人は中高6年間英語を学んだなのに大人になっても外国人と英会話でコミュニケーションができない原因の一つは、小学校のころから英会話を勉強していないことが考えられる

もちろん、これをすると面倒なので、多くの人は単純化をして考えてしまいます。

(シンプルに考えましょうのワナ)

即興ディベートワークショップ2019

単純化「シンプルに考えましょう」のワナ

人はなんだかんだ言って解りやすいものが好きです。ところが、あまりにも単純化されたものにすがるあまり、本来細かく考えるべきことを考えずにいると、ほとんどの場合騙されます。

今回のケースを例に紹介すると、必要条件、十分条件、寄与条件の3つの違いを理解できていない、また、一要因にすぎないものを、唯一の原因だとみなしてしまうは注意が必要です。

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実は、過去にこんなテイストで怪しい広告を作っていました(笑)もちろん、文体も整えたし、デザインにも気を使いましたよ。

悲しいことに集客だけはできた・・・
それでも興味を持ってもらえる人からは興味を持ってもらえる。トコトン論理口調で説得をするよりも、抽象語を連発して感情を煽りたてる方が集客は成功するんですね。もちろん、こんな売り文句だけで集まる人です。8割以上の人が挫折をしてしまいます。

さて、そんなことはどうでもいいですね。

今回の寄与条件を必要条件や十分条件と混同させている点でしょう。

  • アピールが下手くそだと出世できない(必須条件)
  • ディベートを学べばコミュニケーション能力があがる(十分条件)

という論法でした。もちろん、アピールが下手くそだと出世できない!という必要条件の根拠はありません。レターを読んでいる人が、「会社でうまくいかないのは、アピールが下手だからかなぁ」と思い込めば、客観的に正しいかどうかは別として、必要条件になってしまいます。

「ディベートを学べばコミュニケーション能力が上がる」を十分条件にしていますが・・・これも怪しい。ある部分は上がるのかもしれませんが、別の部分では、コミュニケーションがグンと低下してしまいます。

おまけに根拠もありません。

正しく表現するのなら、ディベートを学べば、

  • コミュニケーション能力が身につくかもしれない
  • アピールが上手になれば、皆から認められるかもしれない

の2つです。

まぁ、論理の「ろ」の字もない「見たいモノを見て、聴きたいことを聴く」人に向けて作った感情を煽りたてるだけのコピーですから。

とはいっても悲しいことに理詰めで説得をするよりも・・・

  • コミュニケーション能力が身につきます!
  • 最強の3つの力を身につけて人生を変えて下さい
  • 実戦で使えるロジカルシンキングを極めましょう

と叫んでいるだけのレターの方がウケがいいんですよね。(悲しいことに)

必要条件、十分条件を混同する

会話の中でよくあるのが、必要条件と十分条件の混同です。

  • ハローワーク職員
    「(企業が)一度の挫折でニートになってしまった若者にチャンスを上げるようになれば、雇用問題は解決するのになぁ」
  • 某ニート支援機関
    「何を言っているんですか!彼ら就労意欲はゼロだから、ニートなんです。家に引きこもってネットサーフィンをしている人よりも働きたい人を支援するべきです。」

なんて会話が過去にありました。

ハローワーク職員は、必要条件として企業が若年無業者の雇用機会を増やさないと、雇用問題は解決しないと主張しています。

対して、某ニート支援職員は、雇用の機会を広げても、ニート問題は解決しないと主張します。(そもそも働く気がない)

ところが、よく聞くとハローワーク職員は、企業が機会を与えれば全てが解決するとは言っていません。最初の一歩であると主張しているにすぎません。

別に二人とも対立しているわけではありません。単に目的が違っているだけです。

 

 

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運営者情報

フリーランスのウェブデザイナー。元ディベート好き。30代でニートになる。2015年に本サイト:インプロ部がヒットして、副業ディベート講師として活動。 ホームページをゼロから収益化した実績が認めれ、35歳からウェブデザイナーになる。ウェブ制作会社・デジタルマーケティング会社を渡り歩き、複数社で経験を積み、現在はフリーランスのウェブデザイナーとして活動中。セミナーやオンライン相談の実践者として、現在は個人事業主の方向けにディベートやWordPress制作×集客を教えている。事業者の専門性をカタチにしたいと考えて、屋号は木村専門研究所に変更

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