最近になってディベートを勉強したい、なんて人によく会います。目的は違えど、即興ディベートワークショップに参加をする人たちは、ディベートそのものに興味がある人がすごく多い。
だから、お得意の即興力をフル活用して、ひとりひとりのニーズを満たすようなディベート講座を提供していきたい!というのが、私のスタイルです。
ですが!
それでもやっぱり不満を持つ人もいる。
全員に合ったディベート講座なんてこの世には存在しませんからね。
なので、この記事では、どんなジャンルのディベート講座が日本にあるのか?についてお伝えしていきます。
はじめに
1.ディベートを学ぶ目的から考えよう。
ディベートを学ぶ前に考えるべきこと。
ディベートを通じて何を得たいのか?です。
つまり、目的ですね。
ディベートをする目的
- 会話上手になりたいのか?
- 議論に強くなりたいのか?
- スピーチが上手になりたいのか?
- 情報戦に強くなりたいのか?
- 傾聴力を身につけたいのか?
- ロジックに強くなりたいのか?
- 特定のテーマで議論をしたいのか?
英語を勉強するときと同じです。
- 英語が話せるようになりたいだけか?
- 留学をしたり、海外で働きたいのか?
前者は、英語を学ぶことそのものが目的になっています。それは、英語を話すことに最大限の価値を置いているからです。対して、後者は、英語はあくまで手段です。留学をしたり、海外で働くことが目的です。
どっちが英語を早く覚えるか?早く英語の勉強から抜け出せるか?と言ったら間違いなく後者です。(そこから先は解りませんが・・・)
ディベートの話に戻すと、ディベート業界に多いのは前者です。つまり、ディベートをすることそのものに価値を置いている人たちです。ディベートってハマる人は凄くハマるんです。私もかつてはそんな感じですからね。
ですが、おそらくこの記事を読んでいるあなたは後者だと思います。
仕事が終わったら、頭の中がディベートのことでいっぱいでなければ後者の人間かと思います。前者の人間は、ディベートが人生の一部になっていますから。そして、ディベートを学びに行く!ということは、そんなLife is DEBATEな人たちと同じ時間を共有することなんですね。
絶対に温度差は発生するかと思います。
Life is DEBATEのお話は、この後にするとして、まずはディベート団体を4つに分けてみたので、下図をご覧ください。
2.ディベート団体の概要-大きく分けて4種類
マトリックスを作って、ディベート団体を4つに分けてみました。まずは、このマトリックスの中身について説明していきます。
2-1 内向的vs外向的
内向的か外向的化の違いは、主催者の興味・関心です。
- 内向的-ディベートの中身・内容に関心を寄せている
- 外向的-ディベートに参加者する人関心を寄せている
内向的な主催者は、自分が教えているディベートそのものに関心を寄せています。あまり、お客さんのほうを見ていません。「本物のディベートを教えてやるぜ!」って態度です。先生文化なんですよね。それでも人が集まります。その理由は、後述します。
対して、外交的な主催者は、ディベートそのものよりもお客さんのほうに意識を向けています。集客をしなければなりませんからね。自分たちはどんなことが求められているんだろう?と考えながら、ディベートの勉強会を企画運営します。
2-2 保守的vs革新的
保守的と革新的とは、ディベートの中身です。
- 保守的-既に出来上がったディベートをそのまま行う
- 革新的-自ら手を加えて、オリジナリティーを加える
既に出来上がったディベート=アカデミックディベートのことですね。アメリカの大学生が行っているディベートをそのまま行っているのであれば保守的な団体です。対して、既存のディベートにアレンジを加えて、オリジナリティーを加えているのであれば、革新的な団体です。
さて、この内向的×外向的と保守的×革新的のマトリックスができたところで、次はちょっとしたネーミングをつけてみました。
3.教室エリア、セミナーエリア、宗教エリア、サークルエリアについて解説
教室、セミナー、宗教、サークルの4つにジャンルを分けをしました。ネーミングについては、【教える人】と参加を検討している【あなた】との関係になりますね。
ひとつひとつ説明していきますね。
3-1 教室エリア-内向的&保守的-先生と生徒
内向的かつ保守的。あたかも大学の教授っぽい人が、ディベートを学生に教えているような感じですね。高校や大学の授業のような雰囲気です。
3-1-1 メリット-ゼロからしっかりとディベートを学べる
教室エリアのメリットは、何といってもディベートの基礎の基礎から学べるところですかね。4つの中でインフラが最も整っています。
アカデミックディベートを学びたい!という人なら教室エリアを目指すことをお勧めします。
3-1-2 デメリット-ディベートのために物凄く手間暇時間を費やす
いうまでもなく、とにかく大変です。最初の1年は、ディベート漬けになります。試合に備えて情報収集や資料作成をしなければなりません。
仕事で忙しい方!お試しでディベートをしたい方にはお勧めできません。
他にも、教室エリアでは、ディベートのみならずディベート関連のイベントのお手伝いへ参加することも要請されます。大会を運営するために、スタッフやジャッジとして派遣されます。
3-1-3 教室エリアを選ぶ基準-そのディベート団体が好きかどうか?
- アカデミックディベートそのものに興味があること
- 大学生と一緒にディベートができること(社会人限定)
- 休日にヘルプとして大会運営のお手伝いをできる人
3-2 セミナーエリア-外向的&保守的-講師とお客さん
セミナーエリアは、その名の通りディベートをセミナービジネスとして運営している団体です。
3-2-1 メリット-お金さえ払えばディベートが最短で学べる
セミナーエリアにとって、ディベートはビジネスであり、お金儲けです。教室エリアのようにボランティアではありません。
- 参加費:30,000~100,000円
「高!」と思いますが、主催者も商売でディベートの講座を開いていますから、文句は言えません。
インプロ部 | 団体A | 団体B | 団体C | |
---|---|---|---|---|
1.内容 | 即興 | アカデミック | アカデミック | アカデミック&即興 |
2.価格 | 無料~5,000円 | 40,000円+テキスト代 | 129,600円 | 8,000円 |
3.時間 | 4時間+フリートーク | 4時間講座×3セット | 3時間コース×20回 | 1回の講座4~6時間 |
前置きをしておきますが、価格と内容は必ずしも一致しません。高いお金を払ったけれど、教室エリア以下のレベルのディベート講座だったと文句を言う人が過去にいましたが、それは当たり前です。
教室エリアは、ディベート初心者もたくさんいますが、ディベートの専門家もいれば、現役にディベートチャンピョンもたくさんいます。どちらのほうがレベルが高いのかは明らかです。
それでも、セミナーエリアのディベートに価値を感じてしまうのは、以下の2つですかね。
- 集客やプロモーションが上手
- 短期間でディベートが身につく
高額なディベート講座に参加をしてあなたが本当に買うのは、ディベートの知識そのものではありません。独学でディベートの知識を得るための「時間」「労力」を買っているだけです。
教室エリアの場合は、大学生と一緒にダラダラとディベートと行いますが、セミナーエリアに参加をすると、要点だけをサクッと教えてもらえて、試合までさせてもらいます。もちろん、2-3回ディベートの試合をしたくらいで、知識・技術が身につくとレベルにはなりませんが、少なくともディベートをした雰囲気は味わえるでしょう。
ここら辺は、あなたが想像しているようなセミナービジネスと同じです。
3-2-2 デメリット-知識はゲットできても技術は身につかない
残念ですが、3日やそこらのディベートセミナーに参加をしても、ディベートができるようにはなりません。これは過去に運営していた社会人ディベート☆で判明したことです。主催者のT氏は、某団体で3日のディベート講座を受けたようなのですが、やっぱり(アカデミック)ディベートができるレベルとは言えませんでした。
ディベートの教科書を読んだ程度の知識はありましたが、実践はできません。血を吐くほどのリサーチとトレーニングが必要ですからね。結局、ゼロから教えたのですが、やっぱりアカデミックディベートは難しくて大変とのことで、即興ディベートに転向することにしました。
何が言いたいかというと、アカデミックディベートのセミナーに参加をしても、専門用語とディベートの試合の流れを覚えるだけで、アカデミックディベートができるレベルにはならない、ということです。これはアカデミックディベートが難しいというところから起因しているため、仕方ないと言えば仕方ないんですがね。
3-2-3 セミナーエリアを選ぶ基準-「ベネフィット」があるかどうか?
1日~3日間のディベート講座にウン万円という払って買うのは、ディベートの知識とディベートをするという体験です。ディベートの知識は、ディベートの教科書か本を読めば身に付きますが、世の中には本を読めない人も沢山います。
ここら辺は、セールスや販売のセミナーに参加をする人と同じロジックです。1,000~3000円の本を読めば身につく程度の知識でも、ひとりで読むのが苦痛で苦痛で仕方ない人は、3~5万払って誰かから教えてもらえるのは決して高くはない買い物と言えます。
また、何よりも、ディベートを実践する、という体験を変えることですね。教室エリアの場合、ディベートの試合を実際にするまでにゼロから自分たちで資料を集めて立論を作ったりしなければなりませんが、セミナーエリアであれば講師達が全部用意してくれるかもしれません。
まとめると、お客さんという立場で至りつくせりのサービスを受けたい人は迷わずセミナーエリアに参加することをお勧めします。
3-3 宗教エリア-内向的&革新的-教祖と信者
『え・・・宗教って・・・』って思うかもしれませんが、ディベート=人生になっている団体です。主催者と参加者の関係は、教祖と信者に近いです。ディベートを通じて、人生論や生き方まで説かれます。
主催者にとって人生のよりどころがディベートになっていて、そんな主催者を崇拝した人たちが信者となり、いつの間にか教祖と信者のような関係になっています。
3-3-1 メリット-ディベートをするだけで幸せになれる
宗教エリアでは、ディベートは修行の場になっています。テーマが発表されてから、資料を集めて、試合を行い、教祖からフィードバックを頂く。この繰り返しです。もはや苦行です。
ですが、その信者にとってその苦行は幸せなのかも知れません。「え?洗脳でしょ!」と思うかもしれませんが、洗脳されている状態がいちばん幸せなのかもしれませんね。
3-2-2 デメリット-ディベート以外の世界では役に立たない
宗教エリアでは、主催者自身が世間の常識から外れて、ディベートそのものに人生論を見出していることが多く、そんな主催者(教祖)についていった信者も同じように世俗から離れていくことになります。
ディベートを学んでいるつもりが、ディベートは全く関係ない哲学や思想系にハマる人もいますが、まぁ、本人が幸せならOKです。
3-3-3 宗教エリアを選ぶ基準-主催者が好きかどうか?
主催者は神であり、ディベートの教科書は経典のようなものです。主催者の人柄やその団体でのディベートにおける教義が好きかどうかで判断をして下さい。
3-4 サークルエリア-お友達や仲間
最後にサークルエリアです。他の3団体と比べて、最もディベートらしくないのがこのサークルエリアです。団体というより、個人が趣味で運営しているこじんまりとしたディベートサークルです。
正しいディベートには一切興味がなく、楽しいディベート団体を創ることをモットーとしています。
主催者と参加者の関係は、先生/生徒、開催者/お客さん、教祖/信者の関係ではなく、お友達や仲間的な関係を好みます。
3-4-1 メリット-お手軽で楽しくディベートに取り組める
主催者は、みんなにディベートを楽しんでもらいたい、というところからスタートしているので、他の3団体と比べても、拘束や資金面の負担はかけません。とりあえずディベートをすることが前提ですが、体育会系的な雰囲気はなく、変な上下関係もありません。そもそも、ガッツリとディベートをやろうぜ!といった雰囲気すらもない。完全に楽しければいいじゃん♪的なノリです。
ディベートは一通り行いますが、ディベートが終わったら皆で飲んだり、カラオケに行ったり、花火を見ています。社会人のサークルのようなものです。
3-4-2 デメリット-インフラは3つの中で最も弱い
逆にいうと、そこまでディベートそのものに真剣に取り組んでいないため、スキルの高いディベート経験者が寄り付かないため、ディベートの指導体制は3つの中で最も低いかもしれません。『所詮、ディベートでしょ!』『議論するゲームでしょ!』『遊びなんだから楽しくやろうよ♪』みたない雰囲気だから、教室エリアや宗教エリアの人が寄り付きにくい雰囲気になります。
3-4-3 サークルエリアを選ぶ基準-企画と雰囲気が全て
サークルエリアは、運営者のスキルが全てです。オリジナルのディベートを作っていて、セミナーエリアと同じように自力で集客をしています。何が言いたいかというと、どういう人が来て、どんな形でディベートをしているか、何が得られるのかが、全く持って解らないのです。
ディベートをしているようで実はディベートではなかった、なんてことも多々あります。場合によっては、ディベート未経験者の人がディベートサークルを運営していることすら珍しくありません。(2回目以降お客さんが集まらず廃業するパターン)
ですから、サークルエリアかなーと思ったら、一般的に行われているであろうディベートとは思わず、どのような内容なのかを厳しくチェックする目をもって下さい。
4.さいごに
色々と書いてみましたが如何だったでしょうか?途中からディベートを運営する側の視点が増えてしまい混乱させたら申し訳ございません。とりあえず、ディベート団体には、教室エリア、セミナーエリア、宗教エリア、サークルエリアの4つがあるよ、ということでした。
是非とも自分に合ったディベート団体を選んで、楽しいディベートライフをエンジョイして下さい。