ディベートの真実-情報収集(プレパ)と資料作成(ブリーフ)の真実?

投稿日:2017年3月1日 更新日:


※この記事は、アカデミックディベートについての内容です。即興ディベートワークショップとは関係ありません。

アカデミックディベートを始めると、とにかく「情報収集」が大事だと教わります。ディベートは、準備が9割で、試合前にどれだけキチンと準備を下かが勝負の決め手になるんだ、と教わります。

「そっか、準備すればいいのか。」
「シッカリと準備をすれば、初心者でもディベートができるんだな」

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と、みんなは安心するわけですね。

ところが、この事前準備…口では簡単に言うけれど、いざやってみるとメチャクチャ泥臭い作業の連続です。

今回は、そんなアカデミックディベートの裏側でもある情報収集資料作成について自身の経験を交えてお話をしたいと思います。

「ディベート」と聴くと、華々しい舞台でカッコよくスピーチをしている姿だけがクローズアップされていますが、それは全体の中の10%であり、舞台に立つ前にどんな譲歩集や資料作成をするのかにスポットを当ててみますね。

 

はじめに

質問1事前準備とは何だ?

即興ディベートはスピーチ!アカデミックディベートはリサーチとお伝えしていますが、この言葉にリアリティーを持てない方がたくさんいるのではないかと思っています。

事前にテーマが告知されて、選手は2~3か月の期間、証拠資料集めや立論・反駁カードを作成して試合の準備を行う。試合前にどれだけリサーチをしてきたかが勝負の決め手になる。これこそがアカデミックディベートです。

「いや、私が興味があるのはディベートで、準備とかではなくて・・・まずはディベートの試合をしたいだけなんだけれど…」と思いますよね?はい、残念!

情報収集(プレパ)と資料作成(ブリーフ)=アカデミックディベートです。

というように、実際に試合をするのは、全体の10%以下です。ディベーターのほとんどが、ディベートの試合ではなく、試合前の準備にエネルギーを注いでいます。

ディベートにおいて準備をしないというのは、「私がやりたい仕事は、お客さんの前でプレゼンをしたり、商品を販売することであって、プレゼン資料を作ったり見積もりを作成することではない!」と言っているようなものです。

ツイッター民のツイートが参考になるかと思います。ご覧ください。

ディベートの教科書では、そんなに詳しく書かれていませんが、中学生・高校生・大学生・社会人のディベーターたちは、プレパをすることにエネルギーと青春を注いでいます。

野球部の高校生が甲子園を目指して、毎日野球の練習に明け暮れるのと同じ感覚かもしれません。

アカデミックディベーターからしたら、「プレパをしない=素振りやノックもせずに野球の試合に出たい」と言っている高校球児と変わりません。

2.プレパとはいったいどんなことをするのか?

プレパ=事前準備で行うこと

  • 1.情報収集-テーマに関する知識を仕入れるために、書籍・新聞・雑誌を集める作業 ※プレパ
  • 2.資料編集-集めた資料を編集して、資料集としてファイリングをしておく ※ ブリーフ
  • 3.立論作成-肯定側・否定側立論と反駁カードを作成する ※ ケース・DM・カード作成
  • 4.練習試合-試合前にサークル内で練習試合を何度も行う ※スピーチ練習

【追記1】この一連の動作を「プレパ」と呼ぶ場合もあります。
【追記2】即興ディベートは、その名の通り、即興での試合です。
1~4は行いません。

では、早速、プレパの手順について解説をしていきます。

2-1 情報収集-テーマに関する知識を仕入れる

テーマが発表されてから、そのテーマでディベートをするとなったら、あなたはそのテーマの専門家にならなければなりません。ある程度の専門知識をもって、そこからはじめてディベートのステージに立てるのです。

つまり、プレパをするとは、短期間でそのテーマの専門家になるくらいの勢いで情報集と資料を作成することだと思っていただければわかりやすいかもしれませんね。

では、情報集の方法について紹介していきます。

2-1-1 図書館・書店に足を運んでテーマに関連する情報を集める

地域でいちばん大きな図書館に足を運んで、テーマに関連する情報をたくさん集めるところからスタートです。都内であれば、広尾の中央図書館がよいでしょう。

「インターネットから資料を集めることもできますか?」という質問については、「できます」とお答えします。是非ともインターネットから資料を集められるだけ集めてください。ただ、これはみんなが既に行っていることです。

一歩抜きんでるためには、自分の足を使って資料を集める必要があります。他の人が絶対に手に入れることができないようなレアな資料を自力で集めるくらいの気持ちで取り組むのがちょうどよいですね。

プレパの手間暇を惜しんでいたらディベートはできませんよ。

2-1-2 ページの一部を抜粋してコピーをとる

テーマに関連する本を手に取り、パラパラと読み、「この一文使えるな!」と思ったら、コピーをとって控えてください。ページの切れ端をひとつでもたくさん集めておくことがアカデミックディベートの一歩です。

情報収集に慣れていないと、どのページが本当の重要だかわからないので、「もしかしたら使えるかも・・・」と思ったら、コピーをとることをお勧めします。

一冊の本で、100ページのコピーをとること珍しくありません。

「それだったら、AMAZONで買った方が早いのでは?」と思ったら、そうすることをお勧めします。(※私がディベートをしていたころは、AMAZONがまだ存在していない時代でした)

テーマにもよりますが、最低でも50の本や雑誌に目を通します。いちばん多いときで200を超えるケースもありました。信じられないかもしれませんが、これを楽しんで行うのがディベーターです。そして、いちどハマると病みつきになります。

2-2 資料編集-集めた資料のファイリング(ブリーフ作成)

資料を集めたら、PCを立上げて文字入力を行います。卒業論文を書くようなイメージかもしれませんね。引用できる箇所は全部入力をします。どこからどこまで引用すればよいのか判断がつかない場合は、とりあえず全部タイピングをすることもおススメします。

2-2-1 資料集(ブリーフ)を作成する

さっきから「ブリーフ!」という言葉を使っていますが、カバンのBriefを意味していますよ。資料集のことです。証拠資料をひとまとめにしたものをブリーフと呼んでいます。変な勘違いはしないでくださいね(笑)

資料集(ブリーフ)を作成したので、参考にしてください。

テーマ:日本政府はペットの売買を禁止するべきである

このような本・雑誌・新聞・ネットからの一文を正確にそのまま入力をして、引用文集のようなものを作成します。

2-2-2 資料集(ブリーフ)を作成してどうするか?

アカデミックディベートの試合では、何からの主張をするときに、その主張を裏付ける情報として、その場でブリーフに書いてある一部を「証拠資料」として読み上げます。これを「引用」といいます。

証拠資料と引用は、アカデミックディベートをでは絶対に覚えておくべき言葉のひとつですね。日常会話レベルで使います。日常会話では絶対に使いませんけれど(苦笑)

 

人間がペットを飼うことは本来自由です。しかし、ビジネスでペット売買をするのであれば、一定のルールが必要になります。もし!できないのであれば、法律の力を使って禁止する必要があります。

メリット:生命の保護

論点1 内因性

A まず、事実です。年間25万頭近くの犬猫が殺処分されています。

 excitenews HP201110より引用します。

引用開始「環境省が公表している『犬猫調査のまとめ』によると、年約15万頭の犬や猫が業者によって生産され、そのうち生きて消費者に販売されるのは6万頭。残りは死産や売れ残りという理由で処分されています。トレーサビリティ(流通履歴)の確保もされていません。年間約24万頭の犬猫が保健所で殺処分されているニュースは目にすることはありますが、流通ルートで10万頭近くが処分されている事実を国民は知るべきです。こんな国は先進国では日本だけです」」引用終了

・・・

・・・・・・

下線部が証拠資料を引用した部分です。今回は、年間で25万頭以上の犬・猫が保健所で●処分されているということを示したかったので、その事実を裏付ける資料として、Excitenewsさんのホームページから、上記の一文を抜粋して、引用しました。

年間引用するときは、「引用開始」と口述し、引用が終われば引用終了といいます。

即興ディベートであれば、「年間たくさんのペットが処罰されているとニュースで報じられていますよね?その中には、必ずペットショップで売れ残った動物も含まれているわけです。」と述べてもよいですが、アカデミックディベートでは通用しません。

必ず自分の主張を立証するときに権威ある機関が発行したデータや社会的地位の高い人・もしくは専門家の意見を口頭で引用していきます

だから、そのためにひとつでも多くの「引用」する必要があります。

証拠資料を引用する方法

  • 「20xx年に●●大学の●●教授の証言を引用します xxxxxxxxxx 引用終了」
  • 「1990年に●●●研究所で次のデータが発表されました。 xxxxxxxxxx 引用終了」
  • 「2008年の日経新聞で、以下の記事がありました。引用します xxxxxxxx 引用終了」

【注意】xxxxxxxxxxxxxxの部分は本文に書かれているこをそのまま述べます。省略して伝えると歪曲したとみなされ、減点・無効になります。

このように立論は、自分の言葉で伝えるのではなく、すでに紙に書かれたことを読み上げるだけです。

今回はWordで8ページくらいの資料集(ブリーフ)を作成してみました。

2013年11月に、都内で活動しているディベート団体にお邪魔をしたときに、日本政府は、ペット売買禁止するべきである、というテーマでディベートをすることになり、その時に資料をいくつか集めて、4分程度でスピーチができる肯定側立論を作成しました。立論の解説に入るまえに一度まとめます。

ちなみに、死刑論題でアカデミックディベートをしていたころは、これくらい。

アカデミックディベート-エビデンス

ワードで文字カウントをしたら、ワードに書き起こして22ページ。単語数は、37324です。本当は、これの10倍くらいのボリュームがあったのですが、いざ試合をしてみると全く使わない証拠資料もあったので、バサバサと削除してこんな感じです。

ブリーフのまとめと補足

試合で引用をするために記事の一部を抜粋してタイピング

ディベートの試合では、自分の主張+資料の引用する。

引用するときは、「引用開始~引用終了」といって引用個所を明記する

たくさん読み上げること求められる。超早口にならざるを得ない。

学会発表や講演会のように、書かれていることを省略したり、端的に要点のみを伝えても、それは無効とされます。最初から最後まで全部読み上げるもの、と覚えていください。

2-3 立論と反駁カード作成

文字数は1800文字。1分450文字として、4分で何とか読める感じですね。当時は、スピーチ時間が3分だったと知り、その場で文字削減をしました。

立論の構成については割愛しますが、先ほどのブリーフから自分が主張したいことを立証してくれる引用文を見つけ出しながら作成します。本当に欲しい資料が見つからなければまた情報収集を始める。基本は、この繰り返しです。

ディベートを始めたばかりのときは、どんな立論を作っていいか、どんな反駁カードを作っていいかが解らず戸惑いますが、ここばかりは耐え時です。当たって砕けろ精神が試されます。

当たって砕けるのが嫌な人はやめます。「完璧な立論を作るまで試合はしたくありません」という人は一生ディベートの試合ができず見学で終り、だんだんと足が遠のきます。

立論や反駁カード作成ができて、はじめて練習試合に参加をすることができます。

2-4 練習試合-立論と反駁カードを運用する

立論と反駁カードができたら、練習試合をします。練習試合を行う目的は、ディベートのスキルを高めるためではありません。3つの目的があります。

2-4-1 目的1 ディベートの試合を実際にすること

これは説明するまでもありませんね。実際に自分たちの議論を運用してみて、PDCAサイクルを回していきます。

  • Plan-ブリーフ、立論・反駁カードをキチンと準備した状態で臨む
  • D0-実際に試合をする。計画通りに立論と反駁カードを使ってみる
  • Check-ジャッジからレビューを受けて、改善個所を見つける
  • Action-必要な証拠資料集め、立論・反駁カードの再作成に取りかかる

大会前の1か月は、本当にこのPDCAの連続です。学生時代は、テスト期間にディベートの大会はなく比較的時間があったため、毎日できましたが、社会人になり仕事と並行ができなくなり、アカデミックディベートはやめました(負け犬論)

とにかく大変だということ。そして、この活動を心の底から楽しいと思えないと、やっぱりアカデミックディベートは続けられません。

2-4-2 目的2 高速スピーチで話すトレーニングをする

ディベートの試合をすると、エミネムのラップがスローに感じるくらいみんな高速でスピーチをしていきます。カラオケでテンポ7倍の速さで歌っても難なくこなせるレベルです。

アナウンサーは、1分間に250~300文字と言われていますよね。ディベーターは、450文字/1分が平均です。

ディベートの試合には時間制限の中で、どれだけの論点を出せるかが求められますから、スピーチは早ければ早いほど有利なのです。活舌が悪くても構いません。一般の人が聞き取れないレベルでOKです。

私の場合でいうと、元々超早口な方なので、高速スピーチは得意だと思っていましたが、400文字が限界でしたね。トレーニングをして1分間に500文字の壁はクリアできるようになりました。それでもトッププレーヤーには敵いませんでしたね。

トッププレーヤーになると、1分間に600文字以上を超える人もいます。今まで聞いた中での最高記録は、6分間で4000文字ですね。

■ディベートの教科書には書いていないこと
相手が聞き取れないくらいの猛スピードで話して、パニックにさせて、勝ちに行くのはディベートの試合では王道です。
ジャッジが聞き取れないスピードで話しても構いません。もしもジャッジが「速すぎて聞き取ることができませんでした」と言ったら、ディベーターからは、「あんたジャッジ失格ね」と言われます。

私もアカデミックディベートの公式戦でジャッジをしたことがあるからわかりますが、「聞き取れませんでした」とは口が裂けても言えません。

そして、選手がどんなに早口で話してきても、問題なく聞き取れます。
その理由については次で紹介します。

2-4-3 目的3 試合中に考える作業を減らすため

ディベートは考える力を高めるトレーニングとして最適と言われていますが、ディベートの試合に限って言えば考えていたら負けます。脊髄反射のごとく、相手の議論に対して事前に用意したカードを読み上げるだけです。もしくは、事前に考えてきた議論を発信するだけですね。

  • プレパは歩け!試合は走れ!
  • 今、考えるな!考えてから来い!

だからこそ、練習試合をたくさん行い、自分たちのブリーフ、立論、反駁カードをブラッシュアップさせて行きます。そして、議論の強化上に大事なのが、今回のテーマで感覚的にディベートができる状態を作り上げることです。

どういうことかというと?と思うかもしれませんが、同じテーマで何度も何度もディベートをしていると、いちいち考えなくても、そのテーマにおける議論のパターンや法則が五感で理解できるようになってきます。

3.アカデミックディベートに向いている人

 

こんな人ならアカデミックディベートはおススメ

  • 情報収集と資料作成をする時間がある人
  • エネルギーを持てあましている人
  • 情報収集と資料作成を楽しめる人

 

ネックになるのは、情報収集や資料作成かもしれませんが、アカデミックディベートの世界で情報収集や資料作成をしないのはディベートをしていないのと一緒だと、現役時代に後輩のディベーターから散々言われて、本当にその通りだと思いました。

やっぱり、アカデミックディベートで実績がある人は、心底この情報収集と資料作成を楽しんでいますね。

以上、最後までお読み頂きありがとうございました。

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