大学生からディベートを始めた人が夏ごろに知るのが、2立形式です。タイミングが良かったので、書きました。
2立制でのディベートを最後に行ったのが、アカデミックは25歳のとき。即興は、30歳のときに一度やりました。
みんなから難しい!とクレームを受けたので封印しました。たぶん、一生やらないと思います。
そんな一生やらない2立形式の開設をします。
もくじ
1.はじめに、【2立形式】とは何か?
その名の通り、立論がひとつではなく、立論がふたつある形式のディベートです。巷のディベート本やディベート系のサイトで紹介されているディベートの多くが一立形式のものなのに対して、2立形式は大学の公式戦で行われている経験者向けの形式だといえますね。
中高生や社会人向けに行われている立論がひとつだけのディベートではなく、立論が2つある形式のディベートのことですね。苫米地英人さんが教えているディベートも2立形式です。
さて、そんな2立形式の特徴について、立論、質疑、反駁の3つがどのように変わるのかを解説します。
1-1 立論が2つある
そのまんまです。「立論」という言葉も、第一立論、第二立論に切り替わります。
詳しくは、後述しますね。
1-2 質疑も2つある
立論が増えれば、質疑の数も増えます。
1-3 反駁は2つのまま
反駁の数は、1立形式と同じ2つです。今まで通りです。また、反駁の手順ややり方も変わりません。
ですが、立論が2つあるため、既に1立形式の立論より議論全体が荒れています。覚悟してください。
2.そもそも1立形式とは?
1立形式が普通のディベートで、2立は上級者向け!とお考えの方が多いようですが、間違いです。
2立形式こそが本式のディベートで、1立形式は、中学生や高校生に向けて簡易版としてアレンジされたものです。
「さすがに中学生と高校生に2立形式でディベートをさせたら大変だろ!」ってことで、立論をひとつにした1立形式を採用することになりました。
大学のディベートでも1立形式を採用しているのは、新人大会くらいなもので、新人大会が終わったら、2立形式でディベートの扉を開けることになります。
3.2立形式の基本構成
二立形式の各パート
- 肯定側第一立論(6分)-テーマを肯定するための議論を提示する(5題争点で構成されたケースを出す)
- 否定側第一質疑質疑(3分)-
- 否定側側第一立論(6分)-DM、ケースアタック、カウンタープラン、トピカリティーを打つ
- 肯定側第一質疑質疑(3分)
- 肯定側第二立論(6分)-否定側第一立論に対して反駁をしながら、ケースサポートを行う
- 否定側第二質疑質疑(3分)
- 否定側側第二立論(6分)-基本は、否定側第一立論と同じ。第一立論をバックアップできれば優秀
- 肯定側第二質疑質疑(3分)
- 否定側第一反駁(4分)-肯定側第二立論に対してのみ反駁を行う。議論全体の比較やNAやLRの提示も可能
- 肯定側第一反駁(4分)-否定側第二立論と否定側第一反駁の両方に対して反駁をする
- 否定側第二反駁(4分)-これまでの議論をまとめて、ジャッジに勝ち筋をアピールする
- 肯定側第二反駁(4分)-これまでの議論をまとめて、ジャッジに勝ち筋をアピールする
※準備時間:各チームにフレックスで8分
準備時間は、各チームに8分程度与えられ、フレキシブルに使うことができる。なお、前半で準備時間を全部使いきったら、後半がきつくなるので、時間管理の必要性も増す。
4.【第二立論】について詳しく解説
4-1 2立形式における第一立論とは?
1立形式の立論では、肯定側はメリットを論じて、否定側はデメリットを論じるだけでしたよね。実は、このメリット・デメリット方式は、1立形式に特化したスタイルです。
2立形式の場合、肯定側が最初にメリットこそ論じますが、次の否定側のデメリットは、デメリットを唱えようと、肯定側のメリットに対して、反論をしようが自由です。
他にも、カウンタープランやトピカリティーなど打つことができます。
4-2 肯定側第二立論の仕事
否定側の議論に対して全部返さないといけません。肯定側第二反駁で、反論し忘れがあれば、この時点で相手の議論を認めたことになり、後半戦がドンドンときつくなります。
なお、原則立論は自由に議論が述べられるため、新しいメリットを作ることも可能ですが、残念なくらいそんな時間がないのが現実です。
とにかく、ひとつまえの立論に対して反論を行う。
4-3 否定側第二立論の仕事
基本は、第一立論と同じです。ただ、否定側第二立論の場合、先ほどの否定側立論で出し忘れた議論を再度提出することができます。
肯定側の第二立論によって、柔軟に自分たちの議論を変えることができるんですね。
4-4 【余談】エモリースイッチと2コン
2立制ディベートの専門用語です。否定側には大きく分けて戦い方が2つあります。
- エモリースイッチ-否定側第一立論でデメリットを述べて、否定側第二立論では肯定側第1立論への反駁に徹する
- 2コン-その場の判断で、デメリットの提示と肯定側第一立論への反駁をごちゃまぜで行う
エモリースイッチの名前の由来は、ディベートの大手・エモリー大学の学生が採用した戦略として有名になり、後世に引き継がれました。
5.その他2立形式の用語集
5-1 ケース-肯定側立論
2立制では、肯定側第一立論のことを「ケース」と呼びます。ケースとは、「私たちが提示する議論」という意味で、肯定側はテーマを肯定する理由を5大争点の観点から立証していくという意味です。
【5大争点】哲学、内因性、重要性、プラン、解決性
5-2 ケースアタック
肯定側第一立論に対して行われる否定側からの反駁です。ケースアタックが有効なのは、否定側第一立論と否定側第二立論のみです。否定側第一反駁では、肯定側第二立論にのみ反駁が有効で、肯定側のケースに反駁をすることができません。ニューアーギュメントですね。
5-3 ネガティブブロック
否定側立論直後に肯定側質疑が終わったら、否定側第一反駁担当者が時間をとらずに反駁を仕掛ける一連の動作のことをネガティブブロックと呼びます。
肯定側第二立論が終わったタイミングで、否定側第二立論担当者と否定側第一反駁担当者が事前にどんな反駁をするかを決めておくのがポイントです。
ネガティブブロックをされると、肯定側第一反駁担当者は、10分の議論を4分で返さなければならず、凄くプレッシャーを感じてしまうのです。
なお、ネガティブブロックは、否定側の戦略という人もいますが、基本中の基本です。
5-4 1Stスピーカー/2ndスピーカー
- 1stスピーカー:第一立論、第一反駁を担当する人
- 2ndスピーカー:第二立論、第二反駁を担当する人
質疑の決め方は自由です。