競争戦略やブルーオーシャン戦略の目的は、結局のところ「寡占状態を作り上げる」の一言に集約されるのではないでしょうか?今回は、この寡占という言葉に特化して、お話をしていきたいと思います。
では、まず寡占(かせん)という言葉の意味についてご理解下さい。
はじめに
1.寡占市場とは?
※「独占」という言葉を使うと、法律の問題が絡んでくるため、経営学の世界では、この言葉は避けられていまう。
寡占(かせん)とは、市場の形態の一つで、ある商品やサービスに係る市場が少数の売り手(寡占者、寡占企業)に支配されている状態のこと。
少数が一社だけである場合は独占、二社ならば複占、という。なお、買手側が寡占の場合(買手寡占)も存在する。
このような市場では売り手側の参加者は事実上少数なので、寡占企業はそれぞれ、他の寡占企業の動向に影響を与えることができる。
「独占」とは1社が市場を牛耳っている状態なのに対して、寡占とは少数の売り手によって回っている市場を意味します。独占ではないけれど、ほぼ程独占している、そんな状態です。
ラーメンを食べたければ、お店は選び放題です。ビールやお茶も選択肢が無数にあります。パソコン・スマートフォン・タブレットを購入するとなれば話は別です。ある程度、選択肢が限られてきます。つまり、「寡占状態」が作られている証拠です。
OS産業、ドコモ、KDDI、ソフトバンクを例にして解説していきましょう。
2 マイクロソフトは寡占状態を作り出した
マイクロソフトがソフトウェア市場で圧倒的に強いのは、ご存じの通りです。「OSといえばマイクロソフト」は常識です。マイクロソフトには絶大な影響力があります。
かつては独占禁止法で提訴されたこともありました。
2-1 パソコン市場ではマイクロソフトが独占状態
ではどれくらい強いのか?既に独占をしているのでは?と思うかもしれませんが、完全に独占ではないにしろ、ほぼほぼ独占であることが下図からも読み取れます。
OS-Xとは、アップルのOSですね。Macのファン・信者はたくさんいますが、市場全体では11%しかありません。
不明(unknown)、その他(other)は、恐らくunixやlinuxを含めたWindows以外のOSですね。(Windowsサーバーも含まれているかもしれませんが・・・)
まとめると86%の市場が、Windowsによって牛耳られているわけです。
マイクロソフトがアップルを支援する理由|アップルがパソコン市場から撤退してしまえば、独占禁止法に引っかかる恐れがあるから。マイクロソフトにとって、アップルには頑張ってもらわないと困る。アップルユーザーが、officeソフトを買い続けてくれる状態が理想。
2-2 モバイル・タブレット市場では、マイクロソフトは圏外
さて、先ほどのデータはパソコン市場だけを示したものでした。では、同じ期間で、モバイル・タブレット端末のOSのシェアについて調べてみました。
アップル・アンドロイドOSの2社が、1位と2位を独占しています。WindowsRTが0.23%・・・プレイステーションポータブルといい勝負なのです。おまけに、WindowsPhoneが0.1%しかありません。Microsoftの社員・グループ会社の人しか買っていなさそうな数字ですよね。
モバイル・タブレット市場は、i.phoneかandroidが寡占状態であることが解ります。
もしも、Androidがコケたら、AppleのiOSは、完全独占状態が築けそうですね。
2-3 パソコン、モバイル・タブレットの総合で見たらどうか?
先ほどのデータは、パソコン市場とモバイル・タブレットのOS市場を別々比較したモノでした。露骨過ぎましたね。では、両方をセットにして見てみましょう。
先ほどの図よりもバランスが取れてきましたね。
Android端末よりも、windows8.1の方が上位にランクインしていますね。windowsは、苦手なタブレットのOS市場で競争をするよりも、得意なパソコン市場で勝負をした方が優位ということですね。
Surfaceはパソコン?タブレット?Proはパソコンであり、SurfaceRTはタブレット。
なお、Windows7が、今でも圧倒的なシェア率を誇るのは、個人向けではなく、法人向けにパソコンを販売しているからです。
パソコン、タブレット、モバイルの市場シェアについて解説をしたところで、次はDOCOMO、AU、ソフトバンクの競争についてみていきましょう。
3 競争のルール|市場には、必ず競合(ライバル)と顧客がいる
3Cモデルはご存知かと思います。
- 自社(company)
- 競合(competitor)
- 顧客(customer)
の3つの頭文字とって、自社、競合、顧客で市場をみる方法です。
ライバルが存在する市場は、必ず顧客も存在します。逆に考えると、ライバルがいる市場には必ず顧客が存在するため、その市場はホットマーケット、つまり、寡占市場。オイシイ市場だということです。
自社、顧客、ライバルの3つで市場を分析すると、どのような顧客が市場にいて、ライバルがどのように競争を仕掛けてくるかがわかりません。
もちろん、一時的にはライバルなしの独占状態は存在するのかもしれませんが、永遠ではありません。なので、ライバルがいない市場を探すよりも、あえてライバルのいる市場を選んで、そこで小さくてもいいので寡占状態を作り上げることが理想かもしれません。