いけんを述べることの意味を理解していないと、反論するつもりがなくても、結果として相手から反論だと受け取られて、トラbるになるよ!ってお話です。
私も、ディベートの講師として、みんなからいけんを求める方ですが、同時にひとりの人間がいけんを述べることがどれほど大変かを人一倍理解しているつもりです。
今回は、そんないけんについてお話をします。
はじめに
1.「意見」のつもりが「異見」を・・・
最近ちょっと気になった音楽を紹介します
セカイノオワリ-ドラゴンナイト「僕の嫌いな彼も彼なりの理由があると思うんだ!ドラゴンナイト!×3」。
凄く深い曲ですよね。
なぜ戦争が終わらないか?誰かが「戦争はダメだよ。終わらせようよ!」と意見を述べると、結果としてそれを異見だと捉えて、別の戦争が起きるからです。
1-1 意見と異見の違い
ネットで辞書検索をしたらこんな解釈が出てきました。
い‐けん【異見】
[名](スル)1 他の人とは違った考え。異議。異論。「―を唱える」「―を差し挟む」2 「意見2」に同じ。い‐けん【意見】[名](スル)
1 ある問題に対する主張・考え。心に思うところ。「―を述べる」「―が分かれる」「少数―」「賛成―」
2 自分の思うところを述べて、人の過ちをいさめること。異見。「同郷の先輩が―する」
意見とは、ある事柄に対して一人人間の率直な考えですかね。対して、「異見」とは、誰かの意見に対して異なった視点から別の意見を展開することですかね。
異見を伝える相手・対象が明確か、明確じゃないか、の違いですかね。
英語で考えると解りやすいかもしれません。
1-2 前置詞がポイントになる
意見・異見を英語にすると、両方とも、opinionですが、この後に置かれる前置詞に注目してみて下さい。
1-2-1 意見(opinion)-about(~について)
意見は、idiaという意味に近いかもしれません。
つまり、意見の場合、「考え」や「アイディア」を教えてくれ、という意味になります。
1-2-2 異見(opinion)-for、to、against(~に対して)
英語の話をすると、opinion for という表現は使いません。
この場合はmessageかrequestの方が適切です。
異見をいうときは、必ず自分の考えを伝える明確な対象が存在します。
つまり、to、for、againstが適切なんですね。
ある意見があるから、それに対しての別の意見・・・つまり異見があるわけです。
つまり、意見はあなたの考えであり、異見は誰か/何か別の対象に対しての異論、反論とも考えられるわけです。
但し、意見か異見を判断するのは相手
あなたにとって意見のつもりでも、相手が「異見」と取られたら、その人にとっては異見なのです。
例えば、会社で上司と飲みに行ったとします。
上司「すみません。ビール下さい」
あなた「すみません。ジントニックを下さい」
上司「おい!はじめのいっぱいはビールだろ」
あなた「・・・・」
さて、いかがでしょうか?
社会人であれば誰もが最初に教わることです。
私も教わりました。
「この人面倒・・・」と思いましたが、それ以来ビールにハマり、ビールの素晴らしさを知り、それ以降ははじめから最後までビールを頼むようになりました。
お店によっては、生ビールではなく大好物のハイネケンを注文しますが・・・。
どうでもいい話ですね。
何が言いたいかというと、あなたには「お酒の席だから好きなものを注文してよい!」があり、それに対して上司の「はじめはイヤでもビールを楽しんでみんなで乾杯をするべきだ!」という異見があるわけです。
2.意見が反論になる?
先ほどの応用です。
あなたにとって、意見であっても聴く側が異見と解釈をすれば、それは反論されたとみなされます。
場合によっては、あなたの異見に対して相手から反論・再反論を受けることになります。
意見は異見だ!by香西
香西秀信先生の「反論の技術」という本で異見とはこのように説明されています。引用します。
要するに、意見とは、本質的に先行する意見に対する「異見」として生まれ、たとえそれが具体的に明確な形では現れなくても、対立する意見に対する「反論」という性質をもっている。意見を述べるとは、反論することだ。反論という行為は、議論の一要素などというものではなく、議論の本質そのものなのである。
何が言いたいかというと、あなたが誰かの意見に対して、別の異見を唱えることで、結果としてその人に反論をしたことになります。つまり、何らかの意見を唱えることで、結果として誰かの異見に対して異見を述べているということです。
異見の方が安全
色々と経験をして解ったのですが、意見よりも異見を発信する方が安全です。聴いている人から攻撃されにくいです。
なぜなら異見の場合、その発信が特定の人にしか向けられないため、ほとんどの人が傍観者という立場になり、あなたの発言が一層受け入れてもらいやすくなります。
ひとつ面白い例をがあるので紹介します。
- 「ブラック企業は許せない!即刻改善するべきだ!」
- 「ワ●ミは、ブラック過ぎる。労働法を順守するべきだ!」
さて、2つの発言のうち、どちらの方がより多くの敵を作らず、平和に自分の意見を通せるでしょうか?
断然後者です。
その理由は伝えるまでもありませんね。
前者の場合、「もしかしたらうちの会社ブラックなんじゃないか?」と思っている経営者さんたちを敵に回してしまいます。そう思っている経営者さんはたくさんいますから。グレーな企業はたくさんあります。
だから、必然的に多くの経営者さんたちを敵に回しかねません。
対して、後者は、どうでしょうか?
ターゲットが特定しているため、経営者さんたちはたちは、「あ、これはウチのことじゃないな!ワ●ミだな」と解釈をします。
野次馬根性丸出しで楽しんでくれる人もいれば、味方になってくれる人もいます。(同調の原理)
下手に呆然とした意見を述べるよりも、ターゲットをしっかりと定めて異見を訴える方が安全なのです。
以上が、意見と意見の違いについてでした。
ディベートをするなら、絶対に逃げられないテーマのひとつ。
ディベートは、異見同士の戦いですかね。もちろん、別に誰も傷つくわけではないけれど。