のび太、スネ夫、ジャイアンで学ぶディスカッションの弊害

2016年5月22日

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インプロディベートとディスカッションの決定的な違いは、ディスカッションは、「何を言ったか」ではなく、誰が発言したかのほうが圧倒的に大きな影響力を持ちます。

「みんなを説得する」という点では、ディスカッションもディベートも同じですが、ディスカッションや会議では、必ずしも論理的で筋の通った答えが正しいわけではありません。人間関係やグループの利害関係をくみ取らないといけません。ある意味、政治なのです。

今回はそれをドラえもんをネタに話しましょう。

即興ディベートワークショップ2019

はじめに

のび太、スネ夫、ジャイアンのお昼決め

 

ある日、のび太、スネオ、ジャイアンの3人が久々に集まりました。

これからお昼だから何を食べるかーと3人で盛り上がっています。

はい、ここで本音では、

  • のび太は、オムライスが食べたい
  • ジャイアンは、かつ丼が食べたい
  • スネ夫は、ビーフステーキが食べたい

とします。

最初に、のび太は、「今日はオムライスを食べたい」といいました。

すると、ジャイアンが、「いや~やっぱり昼飯はやっぱりかつ丼だろ!」と真っ向からのび太のオムライス案を無視してかつ丼が食べたいと要求しました。

さて、ステーキを食べたいはずのスネ夫はどうしたでしょうか?

あえて、ステーキを食べたい!とは意見を出しません

「そうだよねー、ジャイアンの言うとおりだよー。やっぱりお昼はかつ丼だよね!」とジャイアンに迎合します。

本当は、ステーキを食べたいのですが、ジャイアンと対立をするのはやっぱり嫌です。

そこで、のび太は、そんなステーキを食べたいスネ夫にも気を利かして、オムライスでも、ステーキでも、かつ丼でも食べられるお店を提案しようとしました。

「そっかー、ジャイアンとスネ夫はかつ丼が食べたいんだねー。それなら待って、いまかつ丼とオムライスが食べられるお店を探すからー。」

とスマートフォンを手に取ってステーキ、かつ丼、オムライスが食べられる店を探そうとしています。

 

ところが、スネ夫はそんなのび太の気持ちを無視して、
なんだよ!
のび太。僕たちはかつ丼が食べたいんだよ!
2人が食べたいって言っているんだから従えよ
と言い放ちます。

のび太はスネ夫がなんでムキになっているのかが理解できません。

むしろ、スネ夫はきっとステーキを食べたいのかなーという心情を察しているのに・・・。

だから、みんなが好きなものを食べられるファミリーレストランを探しています。本当にいいやつです。

すると、スネ夫はそんなのび太の心遣いを無視して、
「ねージャイアン!のび太のくせに、オムライスが食べたいなんて生意気じゃない!」
と、ジャイアンを煽ります。

ジャイアンは、
かつ丼が食べられるならどこでもよかったのですが、スネ夫の勢いに押されてしまい
「お、おう。そうだな!のび太のくせに生意気だぞー」とのび太の胸ぐらをつかみます。

安定ののび太のくせに生意気だぞーが発動します。

こうしてのび太は、2人のかつ丼案に従わざるを得ませんでした。

即興ディベートワークショップ2019

2.質問が4つ

何も考えずに見れば、のび太、スネ夫、ジャイアンのやり取りなのですが、この3人のやり取りの中に性格が前面に出ていることが解ります。

【質問1】なぜスネ夫は、ジャイアンに迎合したのか?

ジャイアンの異見をしてまで、自分のステーキを食べたいという要求を通したくなかったからです。もちろん、ステーキは食べたかったのですが、ジャイアンに逆らってまで、ステーキを食べたいとは言いません。ここら辺がずるいです。

ディスカッションや会議の場でもこのような人はたくさんいます。議論に持ち込むのが面倒だから、あえて自分の意見を言わず、その場で一番影響力や発言権がある誰かの異見に迎合する態度の人。典型的なYESマンタイプですね。

【質問2】なぜスネ夫は、のび太の案を批判したのか?

のび太は、3人がそれぞれ食べたいものを食べられるように提案をしようとしました。3人の中でもっと建設的なのがのび太です。ところがスネ夫は、それを受け入れようとしませんでした。

理由は3つあります

  1. 自分は我慢をすることを選んだのに、覆されるのが悔しかった
  2. カツ丼で決まりそうだったのに、主導権をのび太に取られたくなかった
  3. これ以上、あーでもない、こーでもない、と議論をしたくなかった

ですかね。

【1】や【2】については、スネ夫がのび太のことをどこかで認めていないから出る発言です。これが出木杉くんだったらオーケーになるかもしれません。人によって態度を変えるのはディスカッションや会議では往々にしてあります。

【質問3】なぜジャイアンはスネ夫に煽られたか?

何も考えていないだけです。その場の雰囲気でお馴染みの「のび太のくせに生意気な~」が発動しました。

それ以上でもそれ以下でもありません。

もちろん、かつ丼が食べたかったのは確か。でも、のび太がオムライスを食べたいといえば、すんなりオーケーでした。そもそも、何を食べようがどうでもいいのです。今日、かつ丼が食べれなくても、翌日一人で食べに行けば済むわけですし。

ところが、スネ夫がジャイアンを煽るから、昔のノリに戻ってしまっただけです。

あまり深く物事を考えず普段のパターンで物事を決めています。感覚と力技で物事を決めます。発言権があるのですが、気付かず誰かに動かされています。

【質問4】のび太は、本当に被害者か?

一見、のび太は、被害者にも見えるのですが、自己責任な部分もあります。お昼をどこで食べようかーというテーマは真剣になって決めることではありません。

これまでの文章を読んでいて、「お昼にどこに行くかでしょ。なんでそんなに頑張るの?」と思っていたのなら、正解です。お腹が空いているんだから、さっさと決めて店に入って、食べられればいいんです。どの店にするかで真剣になって待たせている時点でスネ夫やジャイアンをイライラさせるはずです。

ディスカッションや会議の場では、どうでもいい議題・テーマはたくさんあります。今回の「お昼は何にしようか」に近い。ひとつひとつを真剣になって考え出すと、頑張り損、嫌われ損で終わります。

3.あなたは、「のび太」「スネ夫」「ジャイアン」のうちどのタイプ?

のび太、ジャイアン、スネ夫タイプの3者は必ず会議やディスカッションの場にいます。

  • のび太タイプ
    頑張っていい案を出そうと色々とみんなのために考えるけれど、必死になればなるほど周囲から反感を買いやすくなる。いわゆる、空気が読めていない
  • ジャイアンタイプ
    ぶっちゃけ決めたくない。面倒なことを考えたくない。自分の意見を押し通したい。決定権が強ければ楽だが、そうでなければ我慢をする日々。
  • スネ夫タイプ
    自分の意見や全体の利益よりも、自分の利害を最も大事にする。クレーバーでありたい。何を言うかではなく、誰の意見に乗るかを第一に考える

この3者は一長一短です。

さて、のび太、ジャイアン、スネ夫タイプの課題についてみていきましょう。

3-1 のび太タイプの課題

状況を見極めることですね。みんなのためにコミットする心がけは大事ですが、あなたがコミットすることが本当にみんなのためになっているのかを自問自答しましょう。

一人で頑張って場にコミットしようとしても、迷惑がられたり空気が読めないやつ!と思われるだけです。

3-2 ジャイアンタイプの課題

意見が通るか通らないかは、ポジション次第です。上の立場なら鶴の一声でオーケーです。上じゃなかったら苦労はするかもしれませんが、意見だけは言っておきましょう。万が一採用されればラッキーです。

のび太やスネ夫を味方につけることも忘れずにしてください。

3-3 スネ夫タイプの課題

クレーバーで上手くまとめたい。なおかつ場をコントロールしたいという願望がありますね。自分の意見には拘っていません。一方で、意見は通さずとも、自分が主体となってまとめていきたいというリーダー願望はあります。

3人の中では最もクレーバーな行動を心がけます。欠点は自分よりディスカッションや会議の進行が上手な人がいたら、活躍の場が一気になくなります


ちなみに、私はのび太タイプです。どうでもいいことから本当に決めなければならないことまで全部考え込んで、意見や提案を出すのですが、逆にこれが周囲をイライラさせるのでしょう。これで失敗をたくさんしましたからね。

社会人ディベートCafe☆時代も、1人1人に合わせた教え方をするべきだ!と訴えていましたからね。一緒に組んでいた人は、ジャイアンとスネ夫の混合タイプでしたね。どちらが出るかは状況次第でした(その意味だとスネ夫タイプかも)

なお、会社では、会議は報告の場なので、徹底的にスネ夫&ジャイアンタイプを演じています。のび太タイプはやっぱり煙たがられますからね。

 

 

 

 

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運営者情報

フリーランスのウェブデザイナー。元ディベート好き。30代でニートになる。2015年に本サイト:インプロ部がヒットして、副業ディベート講師として活動。 ホームページをゼロから収益化した実績が認めれ、35歳からウェブデザイナーになる。ウェブ制作会社・デジタルマーケティング会社を渡り歩き、複数社で経験を積み、現在はフリーランスのウェブデザイナーとして活動中。セミナーやオンライン相談の実践者として、現在は個人事業主の方向けにディベートやWordPress制作×集客を教えている。事業者の専門性をカタチにしたいと考えて、屋号は木村専門研究所に変更

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