タイプ5について徹底解説します。
エニアグラムにおけるタイプ5は、「調べる人」と呼ばれています。
タイプ5は、典型的な学者タイプや研究者タイプです。典型的な思考型で好奇心が強く、観察力が優れています。一見ドライかつクールに見えて、自分の好きなことになると子供のように無邪気に打ち込むのがタイプ5の特徴ですね。アイディアや論理性に優れているのですが、アウトサイダー気質なところがあり、自分の知識や考えをアウトプットしようとはせずに、自分の中にため込む傾向があります。
この記事では、タイプ5「調べるな人」について徹底解説をしていきます。まずは、タイプ5の性格構造を見て、それからサブタイプであるウィングを2つや生得本能(自己保存、セクシャル、ソーシャル)についても解説していきますね。
もくじ
タイプ5「調べる人」の全体像
チェックリスト
- 典型的な思考型で研究者気質。いつも何かを調べている。カバンを開けると書籍やスマートフォンに埋め尽くされている
- できれば何事も自分の世界で完結させたい。他者と関わるのはできるだけ避けたい。
- じっくりと考える時間が必要。暇なときでも頭だけは働いている。物静かなほうだけれど、脳内は120%稼働していると思う
- 政治、経済、教育、人間関係などの問題を合理的に解決する方法ならたくさん知っている。しかし、実際に行うかはまた別の話だ。
- 極力、現実の渦には巻きこまれたくない。外から観察して冷静に分析する立場でありたい。求められたときに的確な判断を下せればいいと思う。しゃしゃり出たくはない。
孤独を好むタイプ5ですが、頭の中には膨大な知識と世界観が詰め込まれています。それはまるでスナフキンのように世から一歩退いて、完全に自分の世界で生きているうな感じかもしれません。みんながワイワイと楽しんでいるときも、その光景を外から見て、そのグループを観察したりもします。特に目的はありません。何かを観察して、調べて、考えて、革新的なアイディアを生み出すのが好きなだけなのです。そして、自分の知識を現実的に役立てたいとはあまり考えていません。
知識を求めて探求する人
タイプ5は、「何かに成熟したら上手くいく」という暗黙のルールを持っています。タイプ5の中には、この世はとてつもなく広大であり、自分はちっぽけな存在であるという思い込みがあります。だから、自分が生き残るためには、専門的な知識や技術を身につけて専門家になるしかないと思っています。
そのため、前線からは一歩引き、アウトサイダーのポジションを得ることで自分を守ろうとしています。
タイプ5の性格のメカニズム
潜在意識:世の中で心地よくいるのはよくない
- 根源的恐れ:役立たずで無能であることを恐れる
- 根源的欲求:有能でありたい(無用な専門家に陥る)
- 傾向・行動:洞察力が鋭い、革新的、秘密主義、孤立を好む
タイプ5は、子供の頃から、親から放置されていたり、あまり期待されなかったと感じているケースが多いです。そのため、ひとりで何かに没頭して長い時間を過ごしてました。そのため、他者とあまり深い関係を築かず、自分にあまり何かを求めないでほしいと思っています。代わりに、自分も人にあまり求めていません。他者に依存せず知識に依存する結果になりました。
3つのセンターから考察
エニアグラムの性格を構成するときの3つのグループとは?
本能、感情、思考の3つで構成されています。もちろん、だれにも本能・感情・思考はありますが、どのグループをどのように使うかは個人差があり、その個人差によって性格が決められるとエニアグラムでは考えられています。
では、タイプ5についてみていきましょう。
- ガッツセンター:最も遠い。身体感覚を使いこなすのが苦手。身体と頭が離れている感じ
- ハートセンター:時間感覚を「過去」に置く形で隣のハートセンターを動かす
- ヘッドセンター:思考センターを内側で処理する。その結果、未来の不安に対して「考える」という形で対処する
タイプ5は、ヘッドセンターを内面で処理しています。そのため、他者と自分の間に壁を作り、自分の思考の世界に閉じこもる傾向があります。世の中、まずはやってみなければわからないことはたくさんあります。
しかし、身体感覚と思考感覚が離れているタイプ5にとって、まずは身体を動かす!のはかなりの恐怖。そんな恐怖に対処する方法が、知識や技術を身につけて専門家であり続けることなのです。
ホーナイとハーモニー
ホーナイ:遊離
タイプ4にとって、他人は他人、自分は自分です。グループやコミュニティーに対しては、完全に一歩引き、そのコミュニティーすらも観察の対象として見ています。他者から意見やアドバイスを求められて、自分の知見が役に立つのなら、それこそ喜んで提供をしてくれますが、自ら提案や発案をして周囲を動かそうとする様子はなさそうです。
ハーモニー:解決
問題に対しては非常に解決的です。悩み相談をされれば合理的な解決案(ソリューション)を提供しようとします。同じ解決でもタイプ1や3とは異なり、結果やあるべき姿よりも、問題が解決されるプロセスを想像して楽しんでいます。
タイプ5:お仕事と恋愛
お仕事・適職
- 先進的で斬新。色々なアイディアを試せるクリエイティブなお仕事
- 専門知識や技能が獲得できるところ。スペシャリストを求めている会社で働きたい
- 営業やマネジメントなど対人のお仕事は好まないさ。徹底としたパーテーションが欲しい
- 議論には積極的に参加をしたいが、人間関係を気にするのはイヤだ。あくまで論理だけに徹してほしい
- 「知っているならできるよね!」って言葉にイラつく。知っていることとできることは別だからだ
タイプ5は、研究者、学者気質な性格だといわれていますが、知識や好奇心を満たしてくれるお仕事ならそつなくこなします。但し、たくさんのタスクをこなす満遍なくこなすゼネラリストよりもスペシャリストを志す傾向があります。人間関係やコミュニケーションが求められる仕事は割ける傾向がありますね。
そのため、学者や研究者以外にも、エンジニアやデザイナーを志すタイプ5は本当に多いですね。あとは嬉しいくらいディベートに興味を持ってくださいます。
人間関係&恋愛・パートナー
自立しつつもお互いの距離を大切にします。燃えるような恋に走っても、適度な距離感があるほうがストレスが少ないです。一方で、相手から振り回されたり、感情を乱されることは好みません。ハッキリ言って、考えても答えが出ないような問題をいちばん嫌います。そこさえ押さえておけば、男女問わず安定したよきパートナーになってくれるでしょう。
あと、自分の趣味に付き合ってくれる人はトコトン好きになります。これはオタク故ですね。
成長の方向/ストレス時
成長時:タイプ8
成長時のタイプ5は、タイプ8のよきリーダーとして、決断力にあふれています。自分の中のリソースを適切に使って、問題に対しても即決・決断をして、みんなを引っ張ります。
タイプ5にとって、この瞬間は「考えても仕方ない!とりあえず行動のみだ!」と思えている状態です。同時に行動をすればするほど本にはない知識を得られて、満足度や幸福度があがります。
ストレス時:タイプ7
タイプ5は、不安定になると、タイプ7のように色々なことに手を出します。忙しそうに何かを打ち込んでいるように見えるのですが、これは自信を失っている状態です。
1日中ネットサーフィンをしてしながら、自分に役に立ちそうな情報を探しているような状態ですね。これに飽きると、本を買いあさりノウハウコレクターになり、さらにセミナージプシーになっている可能性もあります。
タイプ5にとって最も健全な状態
タイプ5にとって最も健全な状態は、知識や技術を自分の中にため込まず、アウトプットができている状態です。タイプ5にとって耳が痛いことかもしれませんが、本や他人の知識はほぼ役に立ちません。結局、手足を動かして、心に汗をかいて、五感を通じて自分の中で学び取ったことでしか、タイプ5が本当に求めている知識は得られないのです。
そのため、健全なタイプ5は、内側にこもるよりも外に出て、人に会って話すことを好みます。自然を研究している人であれば、ひとりで登山グッツを買って山に出かけます。経営や心理学に関心を持てば、まずは人に会って徹底的にインタビューをします。
好奇心が恐怖を上回れば、「待ち」から「攻め」へ転じたりもしますね。
ウィング-サブタイプ
ウィングとは、エニアグラムにおけるサブタイプです。タイプ4のウィングを持つと、独自性が強くなりよりオタク気質へ。逆にタイプ6のウィングを持つと、知識を現実社会で活かそうとするインセンティブが生まれます。
タイプ4のウィング-因習を打破する人
タイプ5がタイプ4のウィングを持つと、古い伝統に疑問を持ち、それを壊すように新しいものを創り出そうします。ボヘミアンがマイペースなクリエーターなら、因習を打破する人は、イノベーターであり、破壊と創造をする人になります。
まさに、スティーブ・ジョブズは、IBMが支配するデジタル社会に身を置きながらも、世捨て人のように振る舞い、新しい価値観や世界観を切り開いたイノベーターだといえるでしょう。
タイプ6のウィング-ボヘミアン
逆に、タイプ6をもつと、ウィング6が強くなると、関心の対象が机上から現実へ問題へと移り変わります。そのため、積極的に問題解決を試みるようになります。
但し、現実的に問題を解決したいのではなく、どのように問題が解決されるのかを達観しながら楽しんでいる節はあります。コンサルタント向きな性格ですかね。
生得本能
自己保存:城持ちポジション
自己保存型のタイプ5は、絶対的に安全で、高みの見物ができるポジションを欲しがります。つまり、「自分のお城」です。
自分の専門性を体系化します。データーベースを作るイメージでしょうか?この領域には誰も入ってこれない!と言わんばかりのポジションを確立するのです。
コツコツ何かを創っていくことに長けていますね。エンジニアやブロガーで活躍している人は、このタイプが多いでしょう。
セクシャル:自信家・秘密主義
セクシャルタイプ5は、3つの本能タイプの中で強い知的好奇心に支配されています。そして、自分と気が合う人にだけ、自分の知っていることをシェアします。内緒話が好きなんですね。
秘密を共有できる相手を常に見つけています。そして、「この人だ!」と思える相手がいれば、二人だけの強固な空間を作り、自分の知識や見識を共有します。
タイプ5の中で最も見分けがつきにくいかもしれませんね。
ソーシャル:ナレッジワーカー
タイプ5ソーシャルは、社会全体に関心を持ちます。より良い知識を求めて、知識交流や知識の最適化を好みます。そのため、様々な知識人や専門家と交流を持とうとして、会合や集まりにも積極的に参加をしますね。
タイプ5が根源的に抱える「恐れ」を好奇心で解消しようとする表れかもしれません。タイプ5の中では最も外向的に見えるでしょう。
タイプ5が成長するために
タイプ5にとっての成長は、知識や技術を自分の中でため込まないことですかね。タイプ5に多いのが、何かに成熟するまでは何もできずに、ずっと準備だけをしている状態。その準備も、インターネットでほしい情報を検索している場合が多いです。他のタイプからしたら信じられないかもしれませんが、タイプ5の中には、「自分は無力で無能なのでは?」という恐れがあり、そこから逃げながら戦っていること。それが過度な知識習得に走るのですが、その中で得られるものは本当に求めているものではなかったりします。
この状態が長く続くと、ニヒリズムに陥り、何に関しても無気力になり、思考が鈍化してしまいます。
だからこそ、タイプ5にとって最も良い状態とは、周囲の人と積極的に関り、本の中には「発見」をたくさん仕入れること。この習慣が続くと、タイプ5は心身と思考がともに安定します。
筋トレを続けているうちに、筋肉のメカニズムが解ってくる状態ですね。論理的演繹法よりも体験的帰納法で物事を考える機会を増やすことですかね。