ディベートの本などを読むと、海外ではディベートが盛んに行われていて、小学校の授業にディベートが取り入れられている、なんて綴りがありますが、それ本当ですか?実際に見たんですか?と突っ込みたくなります。
私は、父の仕事の都合で中高時代はアメリカにいました。もちろん、現地校です。だから、自身の経験からハッキリ言えます。
誰もディベートなんてやっていないからね!
はじめに
1.米国追従論者へ
「アメリカの授業では小学校のころからディベートが取り入れられていてね、子供の頃から、自分で考えて、人前でプレゼンするトレーニングをしているんだよ」と平然と言う人がいます。
ホントかよ?って突っ込みたくなります。そこに便乗して、こんな話をする人もいますね。
「あー、そうなんだ。やっぱり日本も同じようにしないとねー。このままだと世界から取り残されるよー」
イメージとうわさが独り歩きしていますね。
アメリカの小学生がディベートを学んでいる、はウソ
私は、中高時代は米国に滞在をしていてアメリカ人と同じ環境で授業を受けていたから、米国の中高教育については経験を通じて解ります。また説明できます。
だから、こう言います。
中高でディベートのクラスはなかった
ディベートの授業はありませんでした。高校にディベート部はありましたが、やっぱり人がなかなか集まらず廃部寸前だったみたいです。
もちろん、中高のディベート部は日本にも存在するので、その点は同じでしょう。
「え・・・それはあなただけじゃないの?」と思われるのもイヤなので、補足説明をしましょう。
ディベートらしいものはあったかもしれない
私と同じような境遇で育った帰国子女の友人に、「ディベートの授業って小学校から高校の間にやったことある」と質問をしました。
「まー、それっぽいのはやったかな」という答えが返ってきました。
海外では授業の中にディベートのカルキュラムが用意されていて子供たちはディベートに取り組んでいるのか、と言われたら、NOです。
過去にOBとして母校の生徒にディベートを教えに行ったときも一緒でした。10人に1人くらいは帰国子女で、私と同じような狂牛です。ところが、ディベートの経験に関しては初心者でしたし、ディベートのやり方は解っていませんでした。ゼロから教えてましたよ。
「ディベートの基礎知識-4つの特徴-」の記事でお伝えしていることは何ひとつ実践していないでしょう。
※本格的なディベートをした方がよいか?といわれたら、それもそれで微妙ですが・・・。
討論形式の授業はある・・・中途半端
米国の中学、高校の授業を見る限りでは、先生が黒板に書いたことをノートにうつしてテストに備えるだけのインプット中心の授業よりも、生徒が自分の異見を発信するアウトプット中心の科目の方が日本よりは多いのかな、と思います。
期末試験や受験戦争が日本ほど過激ではないですからね。
社会の授業の一環の中で、ある問題に対して先生が生徒たちに意見を求めたり、討論形式の授業はありました。ですが、このような授業は日本でも既に行われています。クラスの問題について皆で話し合う学級会もその一つです。
勝敗を決めるシステムもなければルールやフォーマットも用意されていないあくまでディベートっぽいディスカッションのレベルです。
アメリカの大学ではディベートの授業があるのか?
もしからしたら、アメリカの大学の授業ではディベートが行われているのは本当のことだと思います。ただ、それ以上は実際に目で見ていないので何も言えません。
日本語版のディベートの教科書は、全部アメリカのアカデミックディベートをパクったものですから。(ほとんどの学術書がアメリカのパクリだが・・・)
少なくとも日本よりはアメリカの方がディベートは普及はしているのだと判断ができます。
ですが、日本と同様、アメリカでディベートがメジャーであり普及しているといわれると、これは真っ赤な大ウソです。そこまで多くのアメリカ人がディベートを知っているわけでもありませんし、経験者であるわけでもないのです。
少なくとも、アメリカ人が小学校~高校までディベートの教育を受けているというのはウソです。
ディベートをしているのは一部
この点は、日本でも海外でも同じです。結局、ディベートをする人はしますが、しない人はしません。ところが、どういうわけか、「海外ではみんながディベートをやっている!」と本気で信じている人が多いので、本当に驚きます。
一部のディベート論者が、海外ではディベートが盛んにおこなわれている!と言っていたら、「その情報はどこで知ったんですか?」と質問をしてみて下さい。