こんにちは。人生お先真っ暗の木村です。この記事を書き始めた2015年12月は職業訓練校を卒業して就職活動をしていました。ワークポートにお世話になっていた時期ですね。
ITやWeb系の職種を目指す以上、今のうちから考えておかなければならないことが、年功序列・終身雇用は、終わりを告げて、これからは自律的キャリアを形成する時代だ!と聞きました。
世界でも類を見ない日本的な働き方!年功序列・終身雇用ですね。
もくじ
1.年功序列・終身雇用とは?
入社してから定年まで一つの会社に勤めて、勤続年数に合わせて役職や給料が上がっていく日本企業独特の制度ですかね。
元々は戦争を遂行するために、国家が効率的に人材を集めて束ねるシステムだったわけです。「国家総動員法」とも言われています。1943年(昭和18年)のお話ですね。システムとして確立したのは、戦後のお話です。米国も終身雇用・年功序列のシステムを造るのに貢献したと言われています。
1950年代~1990年代までは、日本の雇用システムとして、終身雇用・年功序列は確固たるものでした。特にモノ造り産業とは、非常に相性が良かったのです。
2000年から転職はブームになりましたが、90年代まではまだ定年まで一つの会社に勤めるのが当たり前でした。
マメ知識|年功序列、終身雇用、そして「企業内労働組合」の3つは3種の神器といわれ、日本が世界の誇るシステムでした。「企業内労働組合」とは、経営陣と労働者の利害調整を図る制度のことです。これが企業内にあることが世界を驚かせました。
さて、そんな年功序列・終身雇用について、今の時代はどうなのか?考えてきましょう。
モノ造り産業にとって年功序列は相性がよい
かつての日本はものづくり産業でした。高品質な製品を製造して、世に送り出し、80年代後半は海外を圧倒させて世界No1になりました。この時の日本にとって年功序列と終身雇用は非常に相性が良かったのです。
その製品を作る人材を企業はいちから育てていき、無形資産を社内に蓄積させていかなければなりません。ポイントは、その企業にしか存在しない「無形資産」をどう育てていくかです。
例えば、トヨタ自動車で学んだ技術を日産やホンダに持っていって応用できるか、といわれたらフィフティーフィフティーです。
設計書は持っていけても、それを活かせるインフラが企業ごとによって異なるため、同じ製品を同じように生産をすることは不可能と考えられます。ゼロから新しい組織を作らなければなりません。
ルノーが赤字を抱えた日産を買収したのも、日産の中に眠っているノウハウやスキルが欲しかったからです。
IT・WEB・人材業界であれば、人材を引き抜けばよいので、このような問題はありません。(顧客とのネットワークは無形資産になりますが)
内側から企業のノウハウやスキルを運用できる人材を育てていかなければなりません。
この影響は今でも残っています。日本の製造業は、いまでも年功序列を採用しているのは、一目瞭然かと思います。ソニーは既にやめましたが。
60代まで心配なく働ける企業の方がそうでない企業よりも人気がありますからね。
終身雇用・年功序列の問題点
終身雇用・年功序列の欠点は、年齢が上がれば上がるほど、年長者の人達に高い給料を払わなければならない点です。
年齢×10000円で考えてみると解りやすいかもしれません。
20代前半の新卒の月給が22万だとします。そして、年齢を重ねるごとに1万円昇給していくと考えると、55歳になる頃は55万円です。こんなイメージですね。
では、何が問題かというと、売上をガンガンあげて、会社をドンドンと大きくして、若手を採用していかなければ、年功序列・終身雇用は維持できないという点です。
コンスタントに右肩上がりの成長を続けないと成り立たないシステムなのです。
バブル崩壊後に年功序列・終身雇用は崩壊したのか?
1993年代、バブルが崩壊したときに、これ以上右肩上がりの成長はムリだと日本の産業界は判断したのでしょう。資産額が1億円の土地が値下がりをして、3000万を下回り、損切りをするために赤字で売った人達もいました。銀行はドンドンとお金を貸していたのに、回収ができないと解った途端、融資をストップさせて、今度は今まで融資していたお金を取り立てるようになりました。
大手メーカーは、下請け会社に対して過度なまでの値下げを要求するようになりました。
モノを作れば売れる!時代が一気に終焉を迎えたのです。
よい製品を作れば売れるという前提のもと、日本では質の高い製品作りにモットーと考えていたのですが、その価値感すら根底から覆されました。
よい製品を造るよりも、如何にして人件費を削るか、社内の無駄を削減するか、などより効率的かつスピーディーな経営が求められてきました。
終身雇用・年功序列で得した人・損した人
企業として、真っ先にメスを入れたのは人件費でした。リストラ・クビ切りなんて言葉が叫ばれるようになったのは、この頃からです。リストラのターゲットになったのは、中高年層の人達です。
高い給料を払わなければなりませんからね。一昔前であれば、長年その会社で積み重ねてきた知識や人脈を活かして、年齢が上がれば管理職に就けたのですが、今の時代は管理職の仕事もマニュアル化されており、管理そのものが属人的なモノではなくなりました。
「若いうちの苦労は年齢を重ねれば報われる」とかたくなに信じてきたのに、40代を過ぎて50代に向かってこれから「甘い汁を吸うぞ」と思っている矢先にリストラです。裏切りと言っちゃ裏切り。
リストラされて何よりもつらいのは、中々仕事が見つからないことかもしれません。「若年者の長期育成のため」という理由で、34歳を過ぎるころいは年齢制限に引っ掛かります。
ゼロからやり切る気持があれば年齢なんてものは関係がないのですが、それが通用しないのが昨今の産業界なのかもしれません。
シャープ・ソニーのリストラ騒動について
今でも終身雇用・年功序列を採用している企業は確かにあります。公務員、日系の製造業は、日本経団連に所属している企業は、今の時代になっても年功序列・終身雇用を続けています。
シャープやソニーがリストラをしたニュースが世間を騒がせたのはご存知かと思います。
ですが、これは一時的に利益がダウンして、事業を存続させるには人員削減が必要だったためです。仕方のないことでした。本音としては、終身雇用・年功序列を善とした日本型経営を維持していきたいと思っていますよ。本音としては。