言葉のキャッチボールとドッチボールの違いです。
ディベート講師11年目を迎えようとしています。即興ディベートワークショップを始めてからは、2年目ですけれどね。
最近、コミュニケーションのトレーニングをしたくて、ディベートを学びたい方から申し込みを頂きます。
「コミュニケーション能力じゃなくて、即興力を教えたいんだけれどなー」と思っていましたが、もしも私のディベートがお役に立てるのならコミュニケーションでもなんでも教えます。
そんなわけで、今回のお話は言葉のキャッチボールとドッチボールです。
目次
1.言葉のキャッチボールとは?
相手の話を聞いて、その言葉に対して、的確に相手のところに言葉を投げる
この繰り返しです。
キャッチボールのように球を受け取ってキチンと相手の胸元に投げられている状態から言葉のキャッチボールといいますよね。
1-1 【コツ】聴くが大事
言葉のキャッチボールを成立させるためには、相手の話をとにかく”聴く”ことです。
上手に話すことじゃないんですよね。
逆に、上手に話そうと意識するのは逆効果だったりします。
- 真理ちゃん:人材業界でキャリアカウンセラー&営業の仕事をしている
- 力也くん10人規模のブラック企業でWEBデザイナーとして働く力也くん
が悪いお手本を見せてくれます。
・・・という状態になります。
話すことばかりに夢中になると、意識が相手ではなく自分に向いてしまい、相手の言葉をキャッチできなくなります。
次は、もっとヤバいケースです。
1-2 途中で遮るのはアウト
言葉のキャッチボールで一番やってはいけないことは、相手が話している途中で相手の話を中断させて、自分の話をすることです。
再び、力也君と真理ちゃんに。
これは最悪です。けれど、結構やっちゃうんですよね。(笑)
年配の人はよくやりますね。
1-3 言葉のキャッチボールが失敗する原因
会社でお客さんや上司と問題なく言葉のキャッチボールができて、プライベートだと全然ダメって人がいますよね。
これは技術があるとかないとの問題ではなく、お互いが言葉のキャッチボールを意識しているかどうかの違いです。
2人が言葉のキャッチボールをすることを意識できていれば、案外とスムーズに進みます。
ですが、もしもあなたと話をしている相手が言葉のキャッチボールを意識せずに、言葉のドッチボールになっていたらどうでしょうか?
2.言葉のドッチボール
言葉のドッチボールとは、とにかく一方的に自分の意見をたくさん話して、相手の意見は聴きたくない人たちです。
ドッチボールと聴くと、相手にボールを当てるところばかりを想像する人が多いかと思います。
実は違います。
2-1 とにかくボールをキャッチしない
相手の言葉をキャッチせず避ける人たちです。
そして、スグさま自分の要求を押し付ける面倒な人たちがたくさんいます。
ドッチボールのコツは、避けて、拾って、当てるですよ。(笑)
キャッチなんてしないんです。
では、力也くんと真理ちゃんにもう一度協力してもらいましょう。
力也くんも大変なのは知っているのですが、一緒に飲みに行きたいという気持ちのほうが強いです。
相手の「大変」という言葉を交わして、スグさま自分の主張を通そうとします。
今回の例は極端ですが、私たちの周りでは似たようなことがたくさんあります。
組織なんて利害と感情の塊ですからね。いかに相手の要求を交わして、自分の要求を通すかもひとつのコミュニケーションスキルだったりするわけです。
ちなみに、会話のキャッチボールばかり意識していると、一方的に球を受け取るだけの便利屋さんになってしまいます。
その点では、会話のドッチボールは有効なテクニックなんですよね。
では、もうひとつ!
会話のドッチボールが上手くいちばんタチが悪い人を紹介します。
2-2 キャッチしているふりをする
力也くんの会社の取引先相手が真理ちゃんの会社だと想定して、この先を読んでみて下さい。
はい、こんな感じですかね。力也くんが悲惨ですね。
ポイントは、真理ちゃんは力也くんの話を聞いているようで全く聞いていない、ということです。
聞いたふりをして、すぐさま話をすり替えて、そそくさと逃げています。
面倒な人を交わすテクニックとしては凄く有効ですが、相手は一度受け止めてもらったと思ってスグに流されるので、余計印象が悪くなったりします。
特に、この手の言葉のドッチボールは、本人が悪気ないに問題があります。
「相手の話は一度受け止めてから、自分の言いたいことを言うんだよ!(YES、BUT話法)」を使っている人がよくやってしまうミスですね。
YESとBUTのギャップがあまりにも離れていると、一瞬相手に期待させておいて、スグに落とすような会話になってしまいます。
結果、相手の印象を物凄く下げるだけではなく、「この人、会話が教科書みたい」と思われるリスクもあります。
YES、BUT話法は、凄く高度で、失敗したら危険な会話方法であることもセットで覚えておいてくださいね。
3.まとめ
言葉のキャッチボールをしているふりをして、完全に言葉のドッチボールになっている人が結構います。
もしかしたら、あなたがそうなっているかもしれません(笑)
もしもあなたが誰かと言葉のキャッチボールをしていて、相手のボールが上手く自分の方に飛んでこなかったら、キチンとキャッチして相手の胸元に投げればよいだけです。それで解決します。
ですが、相手が言葉のドッチボールの使い手だったら、ボールをキャッチして、投げ返しても、交わされるだけです。
そして、次のボールを飛ばしてきます。
言葉のドッチボールが上手な人は、物凄く人当たりがよくて計算高いから。
この点も気を付けてください。
場合によっては、「お気づきではないと思いますが、会話が完全にドッチボールになっています!」と指摘するのもよいでしょう。
ドッチボーラーは、ダイレクトな直球に弱いですからね。