ポジティブ心理カウンセラーと従来の心理カウンセラーの違いとは?

2018年11月5日

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ポジティブ心理学ポジティブ心理カウンセリングって何?とよく質問されるこの頃です。

ポジティブ心理カウンセラーとは、ポジティブ心理学を元に作られたカウンセリング手法で、人間の「肯定的な側面」にも焦点を当てたカウンセリングの手法です。

ポジティブ心理カウンセリングについては一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会の代表者様から教わりました。

一般社団法人ポジティブ心理カウンセラー協会

 

即興ディベートワークショップ2019

目次

前提知識:ポジティブ心理学とは?

本題に入る前に知ってもらいたいのが、このポジティブ心理学です。ポジティブ心理学とは、アメリカの心理学者・マーティン・セリングマンが提唱した新しい心理学とも言われています。なぜ新しい心理学かというと、これまでの心理学とは異なった立場から提唱しているからです。

病理モデルから幸福追求モデルへ

これまでの心理学はどちらかというと、病気などの問題を持った人々を回復させるモデルの心理学でした。

従来の心理学を用いたセラピーが発展した背景には、病理モデルと呼ばれる「問題を見つけて改善する」手法がありました。そして多くのコーチ、セラピスト、カウンセラー、コンサルタント、ティーチャーなど、人を困難から救う役割を持った方々は、その病理モデルを用いて、今でもたくさんの問題解決を扱っています。

もしかしたら、あなたもその一人かもしれません。

しかし「ネガティブ感情があったとしても、人は幸せになれる。苦難や不幸を取り除くことと、幸せを築くことの区別は非常に大切です」と語った人物がいました。

マーティン.E.P.セリグマン博士

対して、セリングマンは、既存の心理学の前提である苦痛や不幸を取り除くことと幸せになること主張して、従来の心理学と新しい心理学の線引きをしました。

こんな感じです。

従来の心理学とポジティブ心理学

 

従来の心理学のモデルとは異なり、人間の負の側面-心の病気(鬱や精神疾患など・・・)-を解消した後に幸せになるための道筋を作ったわけです。

Wikipediaよりそのまま引用

ポジティブ心理学(ポジティブしんりがく、英語: positive psychology)とは個人や社会を繁栄させるような強みや長所を研究する心理学の一分野である。精神疾患を治すことよりも、通常の人生をより充実したものにするための研究がなされている。

出典:wikipedia

既存の心理学の補完するための位置づけではありましたが、クラシックな心理学者からはそこら辺の理解は得られませんでした。

コーチング心理学概論によると、ポジティブ心理学は、人間のネガティブな側面を軽視しすぎているのではないか、という批判がありました。

以下、本書より引用します。

2014年委は、ポジティブ心理学が、ネガティブな側面を軽視することに対して疑問や批評を投げかけている。(Held,2004)。このように、両心理学の対立ついては近年も続いており、存在論、認識論、実践哲学という観点から対比され議論が展開されている。(Waterman, 2013)

コーチング心理学概論

ここら辺の論争については深く言及されていませんでしたが、簡単にまとめると、「おい!お前ら!俺たちの作ってきた土俵で相撲取るんじゃんねぇよ!」といいたいのでしょう。新しい理論を構築するためには、古い理論をボコボコにするのは、セオリーといえばセオリーなのですが、セリングマン達はそれをしませんでした。

しかし、その結果、クラシック心理学者からフルボッコにされるわけですから、ちょっと痛いですね。

 

 

 

 

 

 

即興ディベートワークショップ2019

元祖心理学とは?

あえて、「元祖心理学」という言葉を使いました。これはフロイト、ユング、アドラーなど初代心理学者の人たちが開発したモデルです。

意外と知られていないかもしれませんが、大学などで学ぶ心理学の多くはキラキラしていません。

心理学の始まりが、「なぜ我々は悩み、苦しむのだろうか?」という発想から始まり、その苦しみを解消させるための研究として発展してきた歴史があるからです。

心理学のビッグブラザーことフロイトが始まり

フロイト先生は、「なぜ人間はやむのか?」「なぜ私たちは悩み、苦しむのか?」と研究をする日々に明け暮れていました。そんなフロイトの問いかけから心理学が発達して、ユングやアドラーがフロイトとバトルをしていたわけです。

様々な議論こそありましたが、スタート地点が「人間が病む原因」だったため、方法論やアプローチは違えど研究する対象は一緒なわけです。

どこまで行っても、元祖心理学心理学の人間モデルは、人はなぜ悩むか?なのです。

ポジティブな側面に「も」目を当てる時代

元祖心理学のネガティブな側面を認めつつも、ネガティブな側面を解消してポジティブになろうぜ!がポジティブ心理学が私たちに伝えたいことなのです。

よく誤解されがちですが、ポジティブ心理学は、ポジティブシンキングの押し売りではありません。

確かに、病気を治すことも大切だけれど、そこから発展をしてもっと幸福になれるか?肯定的な生き方を身につけるか?ネガティブな側面にばかり目を向けるのではなく、ポジティブな側面も見ようぜ!というムーブメントです。

カウンセリングとは?

まずは、カウンセリングの定義を明確にしましょう。

広辞苑によると次のように定義されています。

カウンセリング(counseling)
学業や生活、人間関係などで悩みや適応上の問題をもつ人に対して、心理学的な資料や経験に基づいて援助すること。
出典 小学館デジタル大辞泉について

コトバンク

カンタンにいうと、心の問題を取り除く職業ですかね。それは、心配、悩み、苦痛だったりと様々です。

心理相談のこと。健常なクライアント (来談者) がいだく心配,悩み,苦情などを,面接,手紙,日記などを通じて本人自身がそれを解決することを援助する方法。
精神医学では,しばしば精神療法と同義に用いられる。積極的に忠告や説得を与える指示的カウンセリングと,それを与えない非指示的カウンセリングとがある。
後者は C.R.ロジャーズが 1942年に提唱したもので,クライアント中心に話合いを進め,クライアントの発言に対する一切の評価判断を差し控え,カウンセラーとの間に受容的,許容的な雰囲気をつくり,クライアントが自己洞察を深め,
人格的に成長することにより精神的問題を克服していくのを援助する。アメリカでは,専門のカウンセラーの資格が規定されている。教育場面では,学校における児童生徒の基本的な活動単位である学級を,教育的な目的に即して組織化し,教育活動を充実させていく教師や専任のカウンセラーの仕事をいう。教師にとっては,法規の適用,諸事務の処理による学級管理とは異なり,主体的な意志に支えられた教育活動であるとされる。

医療系の人たちからしてみれば、心の病気を治すのがカウンセリングになるかもしれません。
教育系の人たちにとっては、自動・生徒たちの進学のサポートをすることがカウンセリングの役割かもしれません。
最近は、会社などでもストレスを抱えたり、鬱の兆候がありそうな人たちをケアすることがカウンセリングといわれるようにもなりました。

恋の悩みを抱えている人たちのカウンセリングもどこかにあるかもしれませんね。

カウンセリングのまとめ

カウンセリングの定義こそ様々ですが、共通して言えるのは、

  • 負の部分を解消すること
  • あるべき状態にもっていくこと

ポイントは、このあるべき!をどこに置くかですね。

世間一般の認識だとカウンセリングは、マイナスをゼロの状態にもっていくことだとされています。

言葉遊び

ネガティブな状態の反対はポジティブではない。
ネガティブではない!だ

よって、カウンセリングには、ネガティブな状態さえ取り除けば、私たちはひとりでに自立できる存在だという楽観的な側面もあります。

例えるなら、働きすぎで病んだけれど、カウンセリングを受ければ回復して、また仕事に戻れるぜ!ってノリです。

この考えは、先ほどの「従来の心理学」でもふれたように、カウンセリングは、あくまで負(不健全、病み)などを取り除くことを第一目標としているからです。

 

心の悩みを取り除いた後は?

もちろん、理想はクライアント自身が自身の問題や悩みを解消して、理想の人生を歩んでいくことなのかもしれません。ところが、たとえ回復をしても、そこからよい状態を維持できずに、また負の感情を抱えてしまい、カウンセリングに逆戻りするケースもあります。

これは知人のカウンセラーさんが言っていたこと。
アメリカではカウンセリングが浸透していて、歯医者に行くような感覚でカウンセラーを利用する人たちは多いよ。

ついでにちょっと興味深い記事

カウンセリングは、“うつ状態の人が受けるもの”って勘違いしてませんか? アメリカでは映画やドラマで観るように、敷居が低く、気軽に診察を受ける人が多いものの、まだまだ日本では一般に浸透していない模様。そこで、日本人がカウンセリングに対して抱きがちな誤解や疑問を、メンタルサイエンス研究所代表の枚田香さんにASK! うつになりやすいと言われている日本人女性こそ、エステやヘアサロンに行くような感覚で、心のケアもするべき!?

出典 どうして日本人は行かないの? カウンセリングに関する誤解5

この記事を通して伝えたいことは、

  • そんなにカウンセリングを受けることに敷居を高く感じる必要はないのでは?
  • もっと気軽に受けてよいのでは?

確かに一理あると思います。なんでもひとりで抱え込んで悩んでしまうのなら、いっそのことカウンセリングを受けてスッキリするのもありかもしれません。必要ならドンドンと受けてください。それがあなたのためですから。

但し、カウンセラー依存の危険性もある

一方で、この状態はカウンセラーにどっぷり依存の危険性もあり、必ずしも良いとは思えません。

こんな状態ですから。

息子 お母さん。受験で病んだから、カウンセリングを受けてくるね。10,000円頂戴。
母 歯医者かよ。

部下 上司!仕事で疲れたので明日は有休を頂いてカウンセラーのところに行ってきます。
上司 ・・・(コイツ、異動させようかな・・・)

彼氏 最近はちょっと疲れたよ。来週もカウンセラーに相談してくるね。
彼女 そうね。私は今週2回目よ!
彼氏 ・・・・・・

極論かもしれませんが、こんな状態です。

何が言いたいかというと、日本でもカウンセラーは絶対に必要なビジネスです。一方で、本当に理想なのはカウンセリングを受けなくても自分で何とかなる状態です。

身体の病気に例えるなら、病院に行かなくてもよい体質・・・つまり、健康な状態です。

この状態に焦点を当てたのが、ポジティブ心理カウンセラーであり、従来のカウンセリングとポジティブ心理学を混ぜた理想の状態です。

即興ディベートワークショップ2019

従来のカウンセラーとポジティブ心理カウンセラーの違い-3点

カウンセラー自身が先ほどご紹介したポジティブ心理学の文脈を持っているか?だと思います。

国内には、どのようなカウンセリング手法や理論があるのかはわかりません。

また、この記事を読んでいるあなたがカウンセラーならどの団体の認定資格を取ったのか?私にはわかりません。

なので、この質問だけさせてください。

  • もしもあなたのクライアントがあなたのセッションを受けたら、その後は自力でよい状態に自分を持っていき、維持できるでしょうか?
  • もしくは、あなたがクライアントなら、いちどカウンセリングを受けたら、その後は依存せずに自力で自分を健康な状態にもっていくことができるでしょうか?

もしも、この質問にNOなら、カウンセリングを受けた後のことまでフォローできるカウンセリングを知っておいて損はないはずです。

それができるのがポジティブ心理カウンセラーというお仕事です。

従来のカウンセリングでは無理なのか?

決して無理とは思っていません。カウンセラー、クライアント自身がその従来のカウンセリングに足りない部分を何らかの方法で補うことができれば、カウンセラーに依存をしてしまうリスクは最小限に抑えられます。

しかし、従来のカウンセリングが、マイナスの状態をゼロにするための手法や理論で構築されている以上、その理論で物事を考えてしまうでしょう。お医者さんや薬局は、治療こそしてくれますが、あなたが健康であり続けるところまではサポートしてくれません。それと同じです。

こればかりは、そういう伝統があるからが結論であり、それ自体は仕方がないことなのです。

ポジティブ心理カウンセリングの位置づけ

従来の心理学にはない、私たちの肯定的な側面にも焦点を当てたカウンセリング手法です。

ポジティブ心理学をベースに構成されており、人間の肯定的な部分に焦点が置かれています。

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運営者情報

フリーランスのウェブデザイナー。元ディベート好き。30代でニートになる。2015年に本サイト:インプロ部がヒットして、副業ディベート講師として活動。 ホームページをゼロから収益化した実績が認めれ、35歳からウェブデザイナーになる。ウェブ制作会社・デジタルマーケティング会社を渡り歩き、複数社で経験を積み、現在はフリーランスのウェブデザイナーとして活動中。セミナーやオンライン相談の実践者として、現在は個人事業主の方向けにディベートやWordPress制作×集客を教えている。事業者の専門性をカタチにしたいと考えて、屋号は木村専門研究所に変更

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