テイラーの生産性の最大化とメイヨーの人間的経営!あなたはどっちに投票する?

2015年5月4日

LINEで送る
このエントリーを Google ブックマーク に追加

フレデリックテイラー対エルトンメイヨー

フレデリックテイラーとエルトンメイヨー。二人とも経営学のレジェンドです。大学で経営学を学ぶといちばん最初に知ることになるお二人の論争。

>大学生の皆さんへ
大学のテスト期間(7月、1月)には、爆発的なアクセスが集まりサーバーダウンしてしまいます。
それなのでテスト勉強にご利用する際は計画的に。
この記事を通して、面白いレポートを作って、大学の教授をクスッと笑わせてみて下さい☆

さて、フレデリックテイラーとエルトンメイヨーの終わりなきディベートです。

今後の働き方を知るうえでも、この2人を知っておくと社会の構図が色々とわかります。

  • 生産性と効率を追求したフレデリックテイラー
  • 人間らしい働き方を訴えたエルトンメイヨー

あなたはどっちタイプでしょうか?

今回は楽しんで頂くために、教科書的な内容にはせず、面白おかしくちょっとおちょくって2人の世界観をコミカルに描いていきます。

 

即興ディベートワークショップ2019

はじめに

1.フレデリック・テイラーとは?

フレデリックテイラー

ラップ調でテイラーを表現してみました(笑)

テイラーは、科学的管理法の父と言われ、生産現場に近代化をもたらした人物と紹介されています。元祖コンサルタント、エンジニア、経営学の父と様々な伝説を作ったファンタスティックなレジェンドです。

1-1 テイラーとはどんな人物か?

プロフィールはざっとこんな感じ。

テイラーの略歴

  • ハーバード大学法学部に合格をしたものの、目に病気を抱え退学
  • 19歳で地元のポンプ工場に見習いとして働く
  • 22歳でミドベール・スチールの機械工として働く
  • やがて生産性の向上に努め、35歳で独立し、多くの工場を立て直す
  • 55歳で科学的管理法の原理を出版

色々と若いころに苦労をしていたみたいです。

ついでに、たたき上げ。

1-2 元祖コンサルタントしてのテイラー

テイラーの得意技は仕事をシステマチックにすること

カッコよく言うと、「見える化」です。

手作業・目分量など曖昧が大っ嫌い。

徹底的に数字にコミットしてきました。

勝間和代さんタイプかも。

そんなテイラーの得意技は、「科学的管理法」です。

即興ディベートワークショップ2019

2.科学的管理法」とは?

科学的管理法テイラー考案

  • タスク管理-一定の時間内にどれだけモノが作れるかを正確に測定記録にする
  • 作業研究-業務マニュアルや手順書を作成して誰でも特定の作業ができるようにする
  • 指図票制度-チェックシートや指標を作って作業を属人化から標準化させる
  • 段階的賃金制度-仕事・作業の中身(機能)に応じて適切な賃金を図る
  • 職能別組織-組織を「考える人」と「動く人」の機能に分ける

経営管理の基盤を作った人ですよ。

テイラーが科学的管理法を作ったから、私たちは会社から徹底的に管理されるようになりました。

上司があなたの仕事を管理するのも、テイラーのせいです。

そんな科学的管理法ですが、一瞬でできたわけではありません。

長い長い道のりを経て完成したテイラーメソッドです。

2-1 科学的管理法ができるまでの道のり

テイラーは若い時に超苦労しました。

ハーバード大学の法学部に入学をしたのですが、目の病気になり、勉強について行けず、退学。

早稲田大学は、卒業三流、留年2流、退学1理由と言われていますが、ハーバードは卒業しないと評価されません。

若くして路頭に迷いました。

でも、働かないとご飯が食べれないため、地元のポンプ工場で作業員として働くことになりました。

それから転職をして、ミッドベールスチール工場で機械工として働くことになりました。

リク●ビやDo●aもない時代に転職はさぞかし大変だったでしょう。

それでもやっちゃうのがこのテイラーさん。

2-1-1 現場作業員のテイラーが目にしたものは?

組織的怠業の蔓延(まんえん)です。当時の現場の様子を見ると、

  • 管理者-「仕事は気合と根性じゃ!死ぬ気で働け!俺達はいつもお前らを見はっているぞ」
  • 作業者-「へい、親方!(どうせ口だけだろ!今日もテキトーに働こう!どんなに頑張っても賃金が上がらないし・・・」

マジメに働いていたテイラーですが、周りからは「お前!空気読めよー」「まじめに働いたって給料なんて変わらねーし!」と冷たい視線を受ける日々でした。慈悲もありません。

マジメに仕事をすると嫌われるみたいですね。

2-1-2 そんなテイラーにもチャンスが!

でも見てくれる人は見てくれます。

ある日、テイラーは、社長に呼び出され、工場を変革してくれるよう依頼されます。

  • 社長-「キミは優秀だ!でだ・・・今の現場、何とかしてくれない」
  • テイラー-「はい!お任せ下さい(おい、無茶振り&丸投げだろ!」

その時、テイラーは人生を変える切符を手にいれたのです。

どんな職場でも腐らずにいれば、見てくれる人は見てくれるんですね。

これ大事!

2-1-3 管理の必要性に気付く

テイラーの取り組み

  • 作業現場にストップウォッチを持ち込む
  • 工員たちの後ろに突っ立っている
  • 一人ひとりの作業スピードを測っている一日
  • 工員達から「メンドクせえのがいやがるな」とイヤな目で見られる
  • 勿論、「そんなの関係ねー」でお構いなく続ける

テイラーが拘ったのは2つ。

  • 【目的】現場の生産性を向上させること
  • 【手段】仕事を標準化すること

その手段として、現場で以下に属人労働を排除して、組織的に管理することを目指しました。

この時、現場の労働者たちはこう思ったでしょう。

テイラースウィフトだったら最高だったのに。

 

2-1-4 テイラーの提案-ショベルの最適化

「8種類のショベルを用意しろ!」がテイラーの結論でした。

今までは作業員が自分の手に合ったショベルを選んでいました。

ところが、これだと作業が属人化してしまいます。

すると、作業のスピードが正確に測れません。

お前らの働きやすさよりも作業の標準化が優先だ!といわらんばかりに、みんなに同じシャベルを使わせました。

ウィンドウズユーザーにマックを使わせるようなものですかね。(その逆もしかり)

2-1-5 組織管理・人事制度にも提言をする

作業の標準化が実現されることで、「見える化」が実現されます。今でいうなら、業務フローが書けるようになれる状態です。

ここら辺からテイラー節が炸裂します。テイラーは、現場の生産性向上のみならず、工場の管理体系も構築するべきだと訴えて、数々の改革を経営者に持ちかけます。

2-2 コンサルタントして独立

たたき上げの実力者であるテイラーは見事独立。

1911年にコンサルタントとして科学的管理法の原理を書き上げます。

チャラチャラ―チャチャチャーーーーーーー♪(ファイナルファンタジー風)

2-2-1 科学的管理法の原理で説かれていること

  1. 配置する人材の選別を厳密に実施(タスク管理)
  2. 訓練、熟練、業務の標準化・マニュアル化(作業研究)
  3. マニュアルに従わない従業員は容赦なく解雇(指図票精度)
  4. 管理者の仕事は、仕事と生産性の管理と作業員の評価(段階的賃金制度)
  5. 管理者と作業者の仕事と職務を明確に線引きを徹底(職能別組織)

 

今ではパソコンでできる作業かもしれませんが、100年前は自分のスキルをマニュアル化する発想もなければ、コンサルタントというビジネスモデルもありませんでした。

テイラーはコンサルタントの分野の第一人者になるのです。

二宮金次郎は経営コンサルタントといわれていましたが、とりあえずそれは忘れましょう。

テイラーの影響力は全米に広まりコンサルタント界のビックスターにまで名をとどかせました。

2-2-2 テイラーはMr.win-win

  • 「生産性向上による恩恵を労使で享受」
  • 「労使の相互不信の対立から相互信頼・協調への転換」

テイラーにとって、科学的管理法はツールでありゴールではありません。

そもそもテイラーはお金に興味はありません。ラスベガスで豪遊するような人ではありません。

テイラーが本当に実現したかったこと・・・それは仕事を効率化して、労働者たちの負担を減らすこと。

そして、管理者と現場作業者の双方がハッピーになる社会を実現することでした。

「今までは3日かかっていた仕事が1日で終わり!ラッキー!ハッピー!」な世界を作りたかったのです。

どうでしょうか?

仕事は減るし、2日だけ働けば6日分の生産ができるから、経営者も労働者もハッピーですよね。

胸が踊る話ではありませんか?

そんな社会が実現させるビジョンを持ち、テイラーは身を粉にして人々に科学的管理法を伝えていました。

そのかいあって、科学的管理法はバズり、テイラーは何人もの弟子たちを育て上げました。

本をたくさん出版して、コンサルタント界のレジェンドになりました。

2-3 ところが、人に夢とかいて儚(はかな)い

  • 仕事が効率化され、工場の生産性が向上する
  • たくさんの商品が世の中に送り出されるようになる
  • 毎日、製品はたくさん売れ、工場も儲かるようになる
  • ところが、従業員に利益は還元されなかった

生産性は三倍になったのですが、美味しいところは全部経営者が持っていっちゃいました。

  • 経営者-「いやー、儲かったー。ありがとうテイラー先生。本当に感謝しています。」
  • テイラー-「いやいや、お礼なんて結構です。利益は従業員に還元して下さいね♪」
  • 経営者-「え・・・従業員に還元しろだって?どこの会社もそんなことしとらんぜよ!」
  • テイラー-「えっ・・・・・・・」

まさに想定外。経営者たちは、儲けを従業員に還元しませんでした。

それどころか・・・効率化と利益の追求を求めて、従業員たちをこき使うようになりました

2-3-1 科学的管理法の欠点

科学的管理法は、労働生産性の向上に貢献こそしましたが、その逆の社会を豊かにしたか?

生活は豊かになったけれど、なんか違うぞ?がたくさん生まれた時期でもありました。

フランチャイズ店が増えて、仕事は増えたけれど、なんだか救われない従業員たち。

売上からコスト、仕事の仕方から、財務的なところまで管理!管理!管理です。

ところが、現場から本社は管理できません。

ここら辺から、情報格差が生まれます。

「うちは時給900円だから。イヤなら辞めてもいいよ。他に人を探すから。」と横暴な経営者たち。

自分たち側にお金が入ってくるように科学的管理法を悪用するだけの結果になりました。

2-3-2 当然批判はテイラーに

  • 「計画・管理と現場を分離させて労使対立を激化された」
  • 「人間性が欠如した科学というものの労働強化だ」

科学的管理法は、使い方を誤れば悪にもなります。
こんな感じで。

  • タスク管理→過剰なノルマを達成を付きつける
  • 作業管理→生産性をひたすら要求するだけの状態
  • 指図票制度→人の入れ替えがカンタンになる
  • 段階的賃金制度→公平な仕事量の基準を上げる
  • 職能別組織→経営者側だけにお金が流れ込む構造

ブラック企業の経営者ほどこのように知恵を働かせて、科学的管理法を自分たちが儲かるように設計するでしょう。良くも悪くも科学的管理法は使い方次第です。

  • 「きっと、いつか人々は私の夢見た世界は実現する」
  • 「管理者と労働者がお互いに解り合えず世界になるはず」

と夢見て、テイラーは59歳で亡くなりました。

2.ヘンリーフォードの登場

テイラーがこの世を去ってもテイラーの意思は生きています。テイラーの科学的管理法を本当に社会の役に立てようと立ち上がった男がいました。

20世紀初頭にアメリカでは車界のドン!
ヘンリーフォード!

 

フォードさんの無茶ブリ計画

かの有名なフォードモデルですね。大量生産大量販売の歴史はこのフォードから始まりました。

自動車はお金持ちの高級品

アメリカのド田舎では、高校生が自分の自動車で学校に行きますが、昔はそんな時代ではありません。自動車は、一般人が価格を見たら鼻血を吹きだすくらいの価格でした。

イメージとしてはこんな感じです。

  • 一般人→歩く、馬に乗る
  • 裕福な人→馬車に乗る
  • 超多金持ち→車に乗れる

消費者金融はあるかもしれないけれど自動車ローンは存在しない時代でしたからね。当然一般の人たちには手が届くような価格ではありません。

フォードは宣言をした

まるで蛇口をひねれば水が出るように、
車をひとりでも多くの人に提供したい

松下電器の創業者・松下幸之助もビックリ。1900年代初頭から水道哲学はあったのです。しかし、そんなことを言いながらも、フォードは結構悩んだようです。そして、決心しました。

いつやるの?
今でしょ!

林先生もビックリ。2014年の流行語は、1920年代から存在していました。

誰がやるの?
おいらでしょ!

と、叫び、フォードは早速テイラーの科学的管理法を取り入れました。改良に改良を重ねて、車の大量生産に取り組みました。

歩かせる時間すら勿体ない!

さて、フォードの工場の実態です。

「足を動かすな!手を動かせ!」

フォードの管理は徹底的。

歩く時間すら無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!無駄!と言い切るほどです。

そこで生まれたのがベルトコンベアです。

工場におけるオートフォーメーション化を推進しました

工員たちは、猛スピードで手を動かし、部品を組み立てます。休んでいるヒマはありません。ひたすら同じ作業を繰り返します。

完成したのがT型フォードでした。
T型フォード初代
出典:www.samurai-chopshop.com

  • 1908年に発売。1927年までモデルチェンジのないまま、1,500万7,033台
  • 驚きの安さ(平均年収の1/8)から、アメリカをはじめとする世界各国に広く普及
  • 大衆車として十分な実用性を備えた完成度の高い自動車

フォードのインパクトは絶大なものでした。標準化された商品を大量生産する・・・伝家の宝刀ベルトコンベアは、車の普及とともにバズりました。

フォードは世界を変えた

フォードの世界

爆発的にヒットしたT型フォード

自動車を見て拳を握りあげるのではなく、ハンドルを握っていみませんか?を切り口に自動車をバンバン売りました。

今の時代に置き換えるなら、「一家に一台自家用ジェット」並みのインパクトだったのかもしれません。

大量生産して全く売れなかったら在庫が爆発しますからね・・・死ぬ気で売ったことは容易に想像ができます。

そんな甲斐もあって、T型フォードは、i.phone並みにヒット。

19年間モデルチェンジをすることなく、ロングテール商品になりました。

T型フォードの功績は、自動車を大量生産・大量消費を実現させて、破格の安さで自動車を世間に提供できたことです。

当然、フォードモーターも儲かりました。

フォードは、従業員達に利益を還元した

フォードは、儲けたお金を一人占めしませんでした。

豪遊もしませんでした。利益を従業員たちにしっかりと還元しました。

エライ!

やがて、社会は豊かになり、「フォードで働けば車が買える!」と夢見た人々は、フォードの工場で働くようになります。

フォード社で働いて、たくさんお給料をもらって、そのお給料で自分たちもフォードの車を購入する。

結果、フォード車のイメージアップにもつながる。

フォードは、車だけではなく新たな雇用も創出できます。

フォードはパラダイスを作った

フォードモーターが作ったのは、大衆車だけではありません。

  • 誰もが車に乗れるライフスタイル
  • 多様な雇用の創出と幸せな働き方
  • オートフォーメーションした経営

スティーブジョブズが、i.Phoneを世に送り出して世界を変えたように、フォードモーターは大衆車を世に送り出し、人々のライフスタイルを豊かにしました。

世界を変えたのです。

めでたしめでたし

・・・・ところが、ここで問題が勃発

豊かな大衆は単純労働に耐えられない!

https---www.pakutaso.com-assets_c-2015-06-OOK3S0420140125180412-thumb-1000xauto-18264

「もう嫌だ・・・こんな仕事したくない・・・やめたい・・・助けて」。。。。

そんな、フォードの工場からは、悲鳴が聞こえるようになりました。

そして、多くの人達がフォード工場を去っていきました。

フォードは今までのやり方を変えたわけではありません。しかし、世界一幸せに働けるはずの工場が・・・世界一悲鳴の多い工場に一転しました

フォードからしたら「なんでやねん!?」です。

なぜでしょうか?

答は時代の変化なのです。

効率化の弊害

その時は、「給料40万払う。1日にネジを1万本巻け。1時間に1000本巻け!」という世界になりました。

勝間和代さんが提唱する効率化の弊害が発生した瞬間です。

効率化経営は不思議なもので、みんなで効率化を目指しているときは凄く楽しいです。

ところが、その効率化がエスカレートしたとき、行きつく果てはロボットのような働き方です。

そこに人間らしさは要求されません。

いくら賃金や待遇がよくても、人々は満足しません。

豊かになった人たちはフォードの工場でひたすら同じ作業を繰り返したいとは思いません。

モダンタイムスの世界

アメリカの風刺画として有名なチャップリンのモダンタイムスはご存知でしょうか?

コチラの動画をご覧ください。

さて、どうでしょうか?コメディーとして見るとクスッと笑えてきますが、全然笑えません。

この工場では、スピードだけを求められて休む暇もありません。

淡々と目の前の仕事が毎日続くとなるとゾッとしますね?

詳しくは後述しますが、効率化そのものが悪いわけではありません。

社会が豊かになり、人々の生活が文化的になればなるほど、お金や待遇などが働く動機付けにはなりにくくなります。

そんな時代の変化に目を付けたのが、この次に紹介するエルトンメイヨーです。

即興ディベートワークショップ2019

4.ドクターメイヨー!登場

エルトンメイヨーとは?
EltonMayo1950

  • ジョージ・エルトン・メイヨー教授(1880―1949年)生まれの産業心理学者
  • ウェスタンエレクトリック社のホーソン工場においてホーソン実験を実施
  • 仕事の満足度は、労働環境ではなく組織の人間関係と訴えた人

wikipediaより引用

時代が豊かになるにつれて、これまでに信仰されていたテイラー主義とフォーディズムはフルボッコされるようになりました。

その発端となったのが、エルトン・メイヨー先生。

勝利・友情・努力をモットーです。松岡修三ですかね。

オーストラリアの大地に育まれ、スクスクと育ったメイヨー先生。

テイラー主義に対して、「我々はロボットじゃない!血が通った、感情を持った人間なんだ。」と言い放ち、「科学的管理法世神話になれ!」と純粋な悪魔のアンチテーゼを唱えます。

離職率が異常に高いアメリカ社会

当時の問題は、現場の製造部門の離職率だけが異常に高かったことです。もちろん、ブラック企業ではありません。お金も休みもちゃんと与えています。

  • 「高い給料払っているのになんで?」
  • 「休みも休日もちゃんと与えているでしょ?」

経営者たちからしたら、「最近の若い者は仕事がきついとスグにやめてしまう。働く気がないのか?たるんでいる!」という思っていたのでしょうね。

アンタが現場に立ってやってみなよ、が正直なところかと思います。(笑)

アルバイトが次々と辞めていくチェーン店と同じですね。もしくは、トヨタやホンダの期間工労働。正社員ではないとはいえ、月給が30万近く貰えて、寮まで用意してくれます。待遇だけ見れば、凄く優遇されていますが、それでも人が集まりません。仕事がきついから。

当時のアメリカには人材派遣ビジネスは存在しませんでしたから、突然人が辞められると致命的です。工場が稼働しても人がいなければ仕事になりませんからね。

事業継続は夢のまた夢です。

そんな光景を目のあたりにして、問題の根源はテイラー主義だと判断し、そんなテイラーに影響されているフォーディズムを何とか食い止めようと思っていたメイヨー。

純粋なメイヨーのアンチテーゼ

人間関係は仕事でも大事

労働者は人である。人には感情がある。労働者には感情がある、と考えていたメイヨーさん!

この問題を解決するのはカンタンです。メイヨーサンからしたら、「なんで皆、こんな単純な解らないのかな~」と思っていたでしょう。

そして、メイヨーは悩める経営者たちに、人間経営を説きました。

  • 「もっと労働者の気持ちや感情を大事にしようよ。」
  • 「効率や生産性よりも人間関係の方が大事だよ。」

ところが、経営者たちはメイヨーの助言を真摯に受け止めてくれませんでした。

  • 「組織は、人間関係で回っているだと!何を言ってやがる!」
  • 「労働者は感情で働いているだと?アホか!意味が解らん。」
  • 「現場で働いたことがないカウンセラーが何を言ってやがる」

テイラー主義を信仰している経営者たちにとって、メイヨーの主張は、まさに豚の耳に念仏でした。

経営者たちは、数字に表れない人の感情に目を向けません。それよりも、数字に表れる工数・時間・お金のほうに目が行きがちです。まぁ、数字で考えるのが好きな人は、数字以外で表現することを嫌いますからね。仕方ないといえばしかない。

門前払いされたメイヨーは、とうとう本気になりました。人間経営が正しいということを立証しようとするのです。そう、伝家の宝刀ホーソン実験。

伝家の宝刀!ホーソン実験

メイヨー先生のホーソン実験

ホーソン実験です。ホーソン工場で行われたからホーソン実験!横浜の工場で行われていれば、ヨコハマ実験になっていたかもしれません。

  • 証明実験
  • 組み立てリレー
  • 面接実験
  • バンク配線作業実験

詳しくは、ホーソン実験で判明した4つのこと「脱経済人」から「社会人」が新生の記事で紹介しています。

メイヨー軍団は、ホーソン実験を通して人間関係は、お金や物理的な条件に勝ると立証することで、テイラー主義を批判しました。

  • 人は経済人であり合理的であり、損得勘定で物事を判断する
  • 人は経済人ではなく社会人であり、もっと感情的な生き物である

と、ここら辺から2人のディベートが始まったのです。

メイヨーの結論|非公式な組織の勧め

テイラー主義は、効率と生産性、そして人はお金やモノを得るために働くという考えでしたが、メイヨーはそんなものは大した影響は与えない。大事なのは人間関係だ!ということをホーソン実験で証明しました。

  • 経済的対価よりも社会的欲求を重視する
  • 人は合理的でなく感情によって左右される
  • 組織は公式ではなく、より非公式になるべきだ
  • 満足度は、客観的な環境よりも、職場での人間関係で決まる

非公式な組織とは、ルールにがんじがらめにな組織ではなく、より人間関係、仲良しグループや派閥などであるある意味人間臭い組織です。

会社のために定められた仕組みやルールの中では人は動きません。厳格な上司やお役所的な命令に従いたくありません。

変わったのは時代だった

それまでのテイラー主義はどうだったかというと、仕事は、

  • お金を稼ぐための手段である
  • 企業は利益の最大化をめざす
  • 効率化と追い求める

超合理主義の時代でした。会社を牛耳る一部の人がいて、残りの人たちは馬馬車のように、1分1秒無駄にすることなく、馬馬車のように働くことを強いられたきたのです。

待遇がよいといわれている大企業のような組織に限って、テイラー主義がアホみたいに浸透していて、一部の特権階級みたいな人たちが威張り散らして、その他大勢は「働け!働け!」と尻を叩かれるのです。「うわー、地獄だなー」と思うかも知れませんが、その通りです。

もちろん、何も考えずに命令に従って動くのは、人によっては楽で幸せなのかも知れません。

テイラーの考え方は、典型的な欧米思想です。対して、メイヨーが儒教文化的だったのかもしれませんね。

メイヨー先生にも批判が

さて、散々批判されたテイラー主義者も黙ってはいませんでした。テイラー主義者はメイヨーに対しても批判を加えます。

テイラー主義者からの反駁

  • 反駁1-人間系系の目的は、結果として企業の能率性や生産性を求めることでしょ?
  • 反駁2-能率性や生産性を高めるために、人の感情をコントロールしているだけはないか?
  • 反駁3-人間経営が科学的管理法よりも優れているといっているが、科学的管理法の土台の上にあるものではないか?

 

結果として、働く人たちハッピーにしたメイヨーですが、その先にある目的は経営者たちの利益追求です。その手段として、労働者を人間として扱うことが表に出ていますが、利益追求ができなければ、人間経営は不要だということです。

そして、その基盤は、既にテイラーが築き上げた能率化のシステムの上で成り立つものであり、単に人間関係を訴えたければ、企業でなくサークルでもよいわけです。

経営をする以上、生産性の最大化や能率は大前提であり、その土台となるのがテイラーシステムです。メイヨーの人間関係は、テイラーシステムの足りない部分を補うものとして位置づけられました。メイヨーも、この反駁には反駁できず、素直に認めました。

5.2人の議論は北風と太陽

テイラーのアプローチは北風です。徹底的に管理をして、従業員を働かせる。対して、メイヨーのアプローチは、太陽です。少し遠回りをしてアプローチを変えて、従業員に主体的に働いてもらう。

おとぎ話だと、太陽の方に分があるのかもしれませんが、北風も太陽も旅人の服を脱がすという点では同じですよね。

確かに、北風と太陽では、北風は旅人の服を脱がせず、太陽は脱がすことができましたが、あくまで物語のお話です。

何が言いたいかというと、旅人が吹くさえ脱げば、アプローチは北風でも太陽でもどちらでもよいわけです。

 

関連記事と広告

運営者情報

フリーランスのウェブデザイナー。元ディベート好き。30代でニートになる。2015年に本サイト:インプロ部がヒットして、副業ディベート講師として活動。 ホームページをゼロから収益化した実績が認めれ、35歳からウェブデザイナーになる。ウェブ制作会社・デジタルマーケティング会社を渡り歩き、複数社で経験を積み、現在はフリーランスのウェブデザイナーとして活動中。セミナーやオンライン相談の実践者として、現在は個人事業主の方向けにディベートやWordPress制作×集客を教えている。事業者の専門性をカタチにしたいと考えて、屋号は木村専門研究所に変更

-戦略論・企業分析
-,

Copyright© インプロ部 , 2024 All Rights Reserved.