マネジメントの父ともいわれ、ビジネスパーソンたちから神格化されたピータードラッカーについて紹介をします。ちょっと違った切り口で。
普通に「ドラッカーって素晴らしいお人なんだよ」と紹介をしても、面白くないですね。
あえてドラッカーさんを異なった切り口から見ていきたいと思います。
それこそが、タイトルのドラッカーは教祖であり、マネジメントは経典いう考え方です。
不都合な真実をたくさん書きます。本当にドラッカーを敬愛している人たちは、気を悪くすると思います。
但し、今回のドラッカーは教祖!マネジメントは経典!を理解することで、昨今のビジネスを教えるビジネスモデルがまるで宗教のような性質を持っていることに気付くかもしれません。ドラッカーはいわば、その象徴です。
はじめに
前提:ビジネスは宗教なのか?
ビジネス=宗教というと言いすぎではありません。例えば、Appleです。
Appleが新製品を出せばAppleの製品が好き、という理由だけで必要ではないものを購入する人達がいます。こういう人達を、Apple信者と呼びます。
スティーブジョブズの伝記は聖書のような威圧感があります。このように教祖と信者の関係によって成立をしているビジネスモデルは世の中にはたくさんあります。
ドラッカーが教祖である理由4つ
さて、ここではドラッカーについてです。なぜドラッカーが教祖なのか?そもそも自身で事業を経験したことがないドラッカーがなぜ経営者にアドバイスをできるような大物になったのか?
その理由も理解できるはずです。
教祖の仕事が何かはよく解りませんが、おそらくこの4つでしょう。
- 神を創造する
- 経典を世に広める
- 信者を獲得する
- お金儲けをする
ゼロから身体ひとつでこの4つをやり遂げたドラッカーは本当にお見事でした。
ドラッカーの行動を分析すればするほど、なんだか新興宗教を仕掛ける教祖に思えてならないのは私だけでしょうか?
1.神を創造した
ドラッカーは、「マネジメント」という神様を創造しました。さて、マネジメントとは何でしょうか?マネジメントについてよく理解していない人は「ピーター・ドラッカーとは?マネジメントとは?本当の意味」が参考になるかもしれません。
話を戻しましょう
さて、「神」とは信者が信じる対象のことです。キリスト教でいえば創造主であるヤハウェですかね。
とにかく何でもいいので、神様を用意しなければなりません。もちろん、自身が神になることもできます。ドラッカーの場合は、「マネジメント」という神様を創りました。
1-1 神様と預言者の違い
預言者と神様の違いについて説明します。
例えばキリスト教です。キリスト教では、創造主であり唯一絶対の神「ヤハウェ」です。イエスは紙ではありません。ヤハウェの言葉をために伝える預言者です。時々、イェス=神様と勘違いしている人を見ますが、全知全能の神ではありません。
※注意:私はキリスト教ではありません。
1-2 神に実態は不要
無宗教論者の戯言に聞こえるかもしれませんが、神様が人を創るのではありません。人々が勝手に自分の中で神様を創っているのです。
ドラッカーが上手だったのは、人々の頭の中に、この神様を創ったことです。その神様というのが、『ビジネス』や『マネジメント』という概念です。先ほどもお伝えしたように、神様は信者が信じる対象のことです。
言いかえるなら、ビジネスやマネジメントを学べば自分たちは救われるんだ、と思わせることで、いつの間にか「ビジネス」や「マネジメント」という言葉が信者の中で神になったのでしょう。
1-3 人は神を求める
やっぱり人は不安になれば何かに縋りたくなります。
経営者もそれは同じです。そんな経営者たちにとっての神こそがドラッカーだったのでしょう。
2.経典を世に広めた
経典とは、宗教の教えを文章にまとめたものです。しるしたものです。キリスト教であれば聖書。仏教であれば仏法の経典ですね。ドラッカーは、マネジメントを体系化しました。そして、今度は自らそのマネジメントを一人でも多くの人に広める活動をしました。
さて、ここでの仕事は2つです。
- 経典(マネジメント)を創ること
- 経典(マネジメント)を普及すること
これは商品開発とマーケティングに近いかもしれません。
2-1 経典(マネジメント)を創ること
とりあえず、本を書きました。ドラッカーが上手だったのは、経営についての具体的なノウハウは一切書かなかったことです。
現代の経営でも、「これからはこんな企業社会になるんだろうなー。経営者の皆さん、未来がどうなるかを考えて経営をしなきゃダメだぜ」とひたすら経営についての問題を提示します。
では、どういう提案をしたかというと・・・
- 「大事なのは顧客だ!事業の目的は顧客の創造だ」
- 「人材の強みを活かせ!それこそがマネジメントだ!」
- 「事業を通じて社会に貢献しろ!社会から必要とされる事業を目指せ」
- 「これらの時代は何があるか解らない!予期せぬ出来事に備えよ」
という具合です。具体的なアドバイスを一切せずに経営者たちが「そう、それだよ。それオレが言いたかったんだよ!」という言葉を見事なくらい代弁しました。ドラッカーの本は、なぜ抽象的な言葉が多いのか?よくよく考えてみると、経営者たちがそのような抽象論を好むからでしょう。
2-3 経典(マネジメント)を普及すること
もともとドラッカーは新聞記者であり文章を書くことは得意でした。英米の新聞や雑誌に経済記事を寄稿していましたからね。それからフリーランスとして活動をしました。文才を活かして、とにかく本を量産しました。
ブロガーノ教祖的存在であるイケダハヤト氏もビックリするくらいのスピードで。
イチライターの時から直接経営者にも会い、マネジメントの話をする日々を続けていました。自身の思想を売り込む活動にも精を出していました。オフラインでの営業力があったのでしょう。時には、講演会やセミナーを開いて、経営者たちを引き込みました。
最もいちばん大きかったのはGMをボロクソに批判したことでしょう。ドラッカーとGMの間に何があったのか?「ドラッカー伝説!GMを批判し、フォードを味方につけた物語」を参照してください。
3.信者(ドラッカリアン)を獲得した
経典を広めたところで、次は信者の獲得です。信者を獲得できなければ教祖にはなれません。やっぱり信者があっての教祖です。
信者1 経営者・起業家
ドラッカーが宗教家として異才ぷりを発揮できた背景には米国の大物経営者たちを取り込んだ点でしょう。大物経営者たちがドラッカーってスゲー人物だぜーということを下々の人たちに伝えてくれます。ジャックウェルチもその一人です。すると、ジャックウェルチを崇高している経営者のたまごもドラッカーの信者になります。
こうやってドラッカーは、GMからフォード、IBMとGE、そして日本のトヨタ自動車までありとあらゆる経営層を虜にすることに成功しました。
さて、もしもあなたがドラッカーを敬愛しているのなら質問します。
誰に影響されてドラッカーの本を手に取りましたか?
私は、峰岸南です。(笑)
信者2 大衆・一般人
大物たちを口説いてコンサルティング報酬を頂ければビジネスパーソンとしては優秀でしょう。ですが、ご存知の通り、ドラッカーが目指していたのは、経営者として大金を稼ぐことではありません。宗教家としての自己実現です。
そこで次は、大衆や一般人にも手を出します。自身の言葉を書籍にして書店でばらまくのです。とにかく凄い勢いで本を書きました。継続は力なりです。
ある時期までは経営者達をターゲットにして本を書いていたのですが、ここら辺からチームマネジメント、リーダーシップ、時間管理の考え方など現場のマネージャーをターゲットにした本を書くようになります。
ところでドラッカリアンという存在をご存知でしょうか?物凄くドラッカーを崇高・崇拝する人物です。ドラッカーの読書会を開いたりして、みんなで「ドラッカーってスゲーんだぜ」とドラッカーの本についてシェアします。ドラッカリアンは日本にもたくさんいますよ。ただ残念なことに・・・・・・・ドラッカーの本はたくさん読んでいると思うのですが理解が浅いです。
このようにドラッカーは大物経営者から一般大衆にまで自身の言葉を伝え、絶大なる影響力を持てた一人です。
4.お金儲けをする
いくら信者が集まってもお金が集まらなければ、執筆活動もビジネス活動も続けられません。コンサルティング報酬だけで何とかやっていけそうな気もしますが。というわけで、ドラッカーはお金儲けをします。
その手順をひとつひとつ私なりにかみ砕いて説明していきます。
4-1 「顧客を創造」をする
ドラッカーは事業の目的は、お金儲けではなく「顧客の創造」だと言いました。「顧客の創造」解釈は人それぞれなのですが、私は、「顧客」とは価値を認めてお金を払ってくれる人、だと解釈をしています。いうまでもなく、ドラッカーにとっての顧客は「信者」達です。
信者と書いて「儲」・・・です。信者たちがドラッカーの本を買うからドラッカーは潤います。このように顧客の創造は儲かるのです。
4-2 教育事業の組織化を図る
ドラッカーは教祖と叫びましたが、教会をたてているわけでも、お寺を運営しているわけでもありません。代わりに、財団を設立して、トップになりました。
はい、こんな感じに。
まぁ、この点に関してはドラッカーが特別頑張ったわけではありません。おそらく、ドラッカーの弟子やドラッカーのネームバリューを使ってお金儲けしたい人たちが動いたのでしょう。
試しに、「ドラッカー セミナー」とググってみて下さい。自称ドラッカーの弟子の人たちが運営しているドラッカースクールのページに訪問すると思います。「意識の高い仲間とドラッカーを学びませんか?」「ドラッカーの教えを実践してみませんか?」を売り文句に参加費は、6ケタを超えます。
それでもドラッカーを敬愛する信者たちは、6ケタのお金を迷わず払います。そして、怖いのは、お金を支払う理由です。
「ドラッカーを学ぶと会社が儲かるから。」といった損得勘定ではなく、「ドラッカーが好きで好きで仕方ないから」「ドラッカー好きの人たちと時間を共有いしたいから」といったまるでアイドルのファンクラブの勢いです。
別にこれが悪いことではありません。ビジネスモデルそのものが宗教に近い凄みを帯びているということです。
儲けの一部はドラッカーの名前を借りているということで、いくらかはドラッカー財団に寄付されるか、ピンはねはされるのでしょう。
最後に 文章が書ける人は最強?
みんな文章を書くのは嫌がりますけれど、より効率的に情報を多くの人に伝えるには、やっぱり文章を書くことです。
文章をかける人が最強なのです。私自身、ドラッカーから最も学んだのは、マネジメントやイノベーションではなく、地道に文章を書くことの重要性でした。
コンテンツマーケティングの基本はとにかく文章を書くことです。