さて、ここからは本格的にディベートのスピーチ講座について解説をしましょう。
ディベートの試合は、時間との戦いです。説得力の高いスピーチは、どれだけたくさんの情報がスピーチの中に含まれているか、です。
極論をいうなら、【1000文字/4分】と【1800文字/4分】であれば、後者の方が有利です。
それではいきましょう。
はじめに
1.「早口」ってどれくらいのスピード?
立論なら、1分間に400文字話せるようにして下さい。ちょうど原稿用紙1枚で400文字です。
1.初心者・未経験者:100~200文字/1分間
過去に初心者・未経験者のスピーチを録音して、原稿に落としてみたところ、1分間に100~250文字ぐらいですね。かなりバラつきがありますね。
「えー」「あー」「あのー」「そのー」「つまりー」など、無意識に言う言葉は省いています。それを抜かしても、1分間で100~250文字でした。
100文字/1分間
スピーチ中に迷っていて、口が動いていません。原因は、自分たちの立論の主張の核となる部分について理解していないからです。言いたいことが事前に整理されていないと、途中で考えながらスピーチをしざるをえなくなります。
ただ、残念なことにスピーチ中は考えているヒマはありません。
200文字/1分間
1分間に200文字程度のスピーチができれば、一定のレベルに達したと思っています。ただ、できることなら300文字は目指してほしいです。200文字の壁を超えられない方には以下の共通点があることに気付きました。
要点を端的にまとめて、必要な部分だけを的確に伝える
例えば、こんな感じです。
→適切に対策を打てば、否定側が主張するような問題は起きない!
確かに、要点だけはキレイにまとめています。プレゼンテーションなら理想なのかもしれませんが、ディベートの試合だとNG。なぜなら、ディベートの試合では要点をまとめるのではなく、まとめた要点をどれだけ深掘りできるか、だからです。
ですから、「理由」や「事例」を含めて情報は多ければ多いほどよい!と考えて下さい。
もちろん、この点に関しては知っている・知らないの問題なので、気付けばすぐに解決ができます。
経験者なら300文字/1分はできる
テーマの慣れ不慣れにもよりますが、経験者であれば、300文字/1分は超えるべき一つの壁です。ですから、あなたが、1分間に300文字話せるのであれば、即興ディベートでは優秀です。
※アカデミックディベートのように、事前に書かれた原稿を読み上げるわけではありませんからね。
300文字/1分間
さて、300文字/1分間の世界ですがアナウンサーを意識してみて下さい。アナウンサーの平均スピードは、1分間に350文字です。決して簡単とは言いませんが、トレーニングを受ければ誰でもできますから、苦手意識は持たないように。
どうせなら、朝のテレビ番組のアナウンサーの口調を研究してみることをお勧めします。
400文字/1分間
はじめからビッシリ原稿が書かれているレベルですね。性格には勝ったことはありませんが、肯定側立論で1分間で400文字を話せた人は見たことがありません。もちろん、即興ディベートですが。
ですから、もしもあなたが1分間に400文字を発信できるのなら、ほぼ達人の域でしょう。
アカデミックディベートの平均スピード
さて、参考材料として、アカデミックディベートのお話もしましょう。アカデミックディベートの場合は、1分間に450~600文字が平均スピードです。
6分間で3600文字の世界
実際に公式戦では、3000~3600文字の原稿を渡されて6分間ほぼノンストップで読みあげないといけません。残念ですが、こればかりは練習をするしか方法はありません。
もちろん、練習しなくてできる人もいますが、元々の話し方が早口の場合が多いです。音声・音域ともにバツグンな人。肺活量が高い人など、先天的な要素もあります。
男性よりも女性の方が立論は得意
その証拠に、立論を読み上げるのは、男性よりも女性の方が得意です。原因はわかりませんが、恐らく普段からの会話をしている量かと。
以前に話を聞かない男、地図を読めない女という男脳と女脳の違いを説いた本が流行りました。あの本では、女性の方が男性よりも3倍話すというデータがありました。
私が1分間に読める量は、500文字ちょっとです。過去の試合では、2900~3200文字の立論を読み上げていました。もちろん、
日常会話でも1分間に350-360文字は発しています。10秒で60文字ですかね。(ザックリですが・・・)
トレーニングすれば誰でもできます。
なので、立論スピーチは、なるべく早口で話すことを意識して下さい。
「早口」の方が圧倒的によい理由
ディベートの試合では早口の方が有利な理由は解りますよね?限られた時間の中で、どれだけ多くの情報をジャッジに与えるかが、勝負の決め手になります。
どう考えても、早口の方が断然有利になります。
さて、日常面ではどうかというと・・・ビジネスでは、トップを走っている人は話すスピードが圧倒的に速いです。無駄もありません。付け加えると、「解りやすい」「テンポがよい」「明るい」といった特徴があります。
お笑い番組のホストやバライティ―のゲストをみると、驚くほどみんな早口で言葉を発します。逆にゆっくりと話している方が不自然なんです。
もちろん、「恋愛」「カウンセリング(悩み相談)」「マンツーマンの指導」など、ゆっくり話す場合が重要なシーンもありますよ。
ただ、これは2人でじっくりと「感情的な空間を大切」にすることが目的です。
ビジネスは、あくまで情報戦、情報交換、意見交換です。スピーディーにテキパキと話す方が好まれます。もしも「早すぎる!」と指摘されたら、速度を落とせばよいのです。
まとめると、最大限、早口で話せるようになって、状況に応じて話す速度をコントロールできるようになって下さい。
そういうトレーニングの場としてディベートを利用してくれれば何よりもうれしいですしね。
「早口」で話すときのメンタル
恥ずかしがったり、怖がったりしないようにして下さい。立論で大事なのは、限られた時間の中でどれだけ多くの情報をジャッジに伝えるかです。キレイなスピーチをするところではありません。心に響く話し方をする場でもありません。
もしも好きな球技があるなら、それに例えて考えて下さい。サッカーでも、バスケでも、野球でも、バレーボールでも構いません。きれいなフォームで球を投げたり、蹴ったり、打つことではありません。狙ったところにボールを入れるだけです。
立論もそれと同じです。フォーム(表現)に拘るよりも、限られた時間の中でどれだけのボール(情報)を与えるかを本来考えるべきです。逆に、子の目的さえ失わなければ、キレイなスピーチは後からできるようになります。
そういう時間も儲けていますからね。
最後に
これまで「1分間500文字」「早口で話すのはよい」「早くても聞き取れる話し方」と非常識なことばかりお伝えしてきましたが、初心者・未経験者の方にとって、いきなり早口で話されても聞き取れなく、混乱するかと思います。
この点はご安心ください。
初心者・未経験者を対象にしたワークショップでは、要点をまとめる時間をとりますから。
ディベートの試合なんて、いきなり全部完璧にできなくて当たり前です。リラックスして取り組んで下さい。