20代の頃にシステム会社で働いていた時のこと。上司からこのようなアドバイスを受けました。
「営業成績を上げたければ、お客さんのところに頻繁に足を運びなさい」と。
社内の研修では、優れた提案の仕方やお客さんを説得するような話し方をしていたのにです。
営業や説得のポイントは、
- お客さんの期待を上回る提案をすることではない
- お客さんの利益を第一に考えることではない
ビジネス書を読んだりすると、「説得術」や「プレゼンの技術」が紹介されていますが、その人はあまり指示していませんでした。
「あんなのは、本を書いたやつが儲かるためだけに作っているんだ!」と一言で片づける始末。
ん・・・決めつけすぎじゃないか?と思ったりもしました。
ただ、一緒にコーヒーを飲んでいるときに、こんなことをいっていました。
「あ・・・でも、あれは正解かな。ザイオンス効果。やっぱりお客さんとコンタクトをとる頻度が高ければ、お互いに信頼関係が生まれるから。テクニックとは、その後で十分。。。」と。
マメにコンタクトをとること-「影響力の武器」2つ目の「好意」-でも紹介されていますね。
ディベートでは、説得術を学びますが、初対面の相手を強引に説得しようとすればするほど、逆に不信感を持たれ逃げられます。テレアポの仕事でも、いきなり営業はかけませんよね?(かけていましたけれど・・・)
やっぱりセールスで実績をあげたければ、相手から好かれることを第一に考えなくてはと思った瞬間でした。
そこらへんは、アカデミックディベートから即興ディベートに転身して本当に良かったと思います。(その説明については、ここでは割愛します)
結局、人は好きな人からしか商品を買わない、と思うくらいがちょうどよいかもしれませんね。
では、どうすれば相手から好かれるのか?って大事ですよね。
それが先ほど冒頭でちょろっとだしたザイオンス効果です。
はじめに
1.ザイオンス効果とは?
わかりやすいのが、「テレビCM」や「芸能人」ですね。
- 毎日見ているテレビCMには好感を覚える(やがて購買につながる)
- テレビに出演している頻度が多い芸能人のほうがそうでない芸能人より人気が高い
例えば、AUのCMですね。毎日見ているうちに、みんなあのCMが好きになりました。(ソフトバンクのCMとの放送頻度は調べています。今しばらくお待ちください。)
2.影響力の武器で考察
以下の3つが働きます。
- 人は好意を好意でお返ししたい【返報性の原理】
- 自分の言動を一貫させたくなる【一貫性の原理】
- 集団の空気(同町圧力)が強く働く【社会的証明】
マメに人とコンタクトをとることにはこれほどの効果があります。
2-1 人は好意を好意でお返ししたい【返報性の原理】
自分から、挨拶をしたり、話しかけたりすると、必ず相手も何らかのリアクションをしてくれます。
もちろん、はじめのうちは、「何だか馴れ馴れしいな」と思われたりもするかもしれません。ただ...「いつも声かけてくれるのに、何だかいつも素っ気ない対応で申し訳ないな」と心のどこかで思います。
自分から挨拶ができる!というだけで実は相手よりも優位な立場に立つことができるのです。
その理由は次のコミットメントの一貫性で説明しますね。
2-2 自分の言動を一貫させたくなる【コミットメントの一貫性】
自分から挨拶をすることで、必ず相手も挨拶はしてくれます。ここがポイントです。
挨拶をしたら挨拶をした理由を相手は自分の中に求めます。やっぱり、嫌いな人には、挨拶はできませんからね。
つまり、挨拶をしたということは、その相手(つまりあなた)のことを仲間とみなすと思い込ませる効果があります。
●下心がバレバレ
●そもそも最初から恋愛対象でも何でもない
●第一印象が最悪が激しく悪かった
気をつけよう!男子諸君
3.集団の空気(同町圧力)が強く働く【社会的証明】
色々な人とマメにコンタクトをとり続けることで色々な人と会話をする機会が増えるでしょう。もちろん中には、あなたに対して好意的を示さない人もいるかもしれませんし、批判する人も出てくるでしょう。
ですが、その時点であなたはその他大勢を抜け出したのです。
ザイオンス効果の目的が影響力をゲットすることなので、この時点で目的は達成しました。
よい噂もあれば、悪いうわさも広まるかもしれません。でも、気にしないでください。
影響力を得るってそんなものです。
より多くの人にあなたという存在を知ってもらえればオッケーなのです。
と、このようにザイオンス効果は、「好意」のみでなく、返報性、一貫性、社会的証明の効果が働き、結果、あなたの影響力を高めることになります。
でも、大変ではないか?
ハッキリ言って大変です。毎日、丁寧に挨拶をしなければなりませんし、相手から冷たい対応されても、自ら行動をしなければなりません。
ただ、できる人は間違いなくこういった地味なことを積み重ねて、より多くの人からの信頼をゲットしています。本当に当たり前に聞こえるかもしれませんが、社交的な人は何だかんで頼られますし、モテます。異性とお話をする機会もたくさんありますし、色々なことを知っていますし、何よりも明るいです。
ディベートをしている人、ディベートに興味を持つ人って、コミュニケーションは技術さえ学べば改善するのでは?と甘い幻想を抱いていますが、それは的確に物事を考えたり、上手に言葉を伝えるスキルであって、相手から信頼されたり、頼られたり、好かれることではないのです。
実際に、ビジネスで活躍している人、リアルが充実している人は、休日にディベートなんてしていませんからね。(笑)
大切な人やより大勢の人によい影響を与えようとして、休日も外を走りまわっていますよ。