メラビアンの法則を学んでもスピーチが下手になるだけ

投稿日:2016年1月26日 更新日:


メラビアンの法則

プレゼンテーションやスピーチの講座に参加をすると、必ず教わるこのメラビアンの法則です。ハローワークや大手の転職エージェントの転職講座も、講師の人はドヤ顔でメラビアンの法則を唱えますよね。

 

はじめに

1.メラビアンの法則とは?

1971年、アメリカの心理学者アルバート・メラビアンは、話し方が聞き手に対してどのように影響を与えるのかについて実験しました。

 

1-1 言葉7%、声38%、見た目55%の法則

メラビアンは、スピーチを「言語」「声」「見た目」の3つに分けて、以下のようなデータをまとめました。

ad

「3Vの法則」「7-38-55ルール」とも呼ばれる法則。

7% が ‘Verbal’ (言語情報:言葉そのものの意味・話の内容等)
38% が ‘Vocal’  (聴覚情報:声のトーン・速さ・大きさ・口調等)
55% が ‘Visual’ (視覚情報:見た目・表情・視線・しぐさ・ジェスチャー等)

http://netacon.net/neta/354613316.html

つまり、メラビアンの実験によると、聞き手が関心を持つのは、話している内容そのものではなく、声の大きさやトーンやテンポ、話し手の見た目や表情の方がウェイトが高いということです。

「人は見た目が9割」という本が有名になりましたが、その元ネタですね。

1-2 具体的にどんな実験をしたのか?

メラビアンは、ある語り手に対して「MAYBE(たぶん)」と言わせて、以下の2つの反応を試しました。

  • 自信がない様子でボソボソと話す
  • 自信たっぷりでハキハキ話す

前者よりも後者のほうが聞き手によい反応が良かったというアンケート結果が出ました。

以下、人材開発研究所さんの記事をそのまま引用

■メラビアンの実験
メラビアンの実験の目的は、聞き手が「言語情報」「聴覚情報」「視覚情報」の3つの手段で、それぞれ矛盾した情報を与えられたときに、どの情報を優先して受け止めるかということであった。
そして、その実験内容は次のようなものであった。

  1. まず、「好意」「嫌悪」「中立」をイメージする言葉を3つずつ設定する。(例えば、「好意」は、“honey”といったようなもの。)
  2. 次に、これら9つの言葉を、「好意」「嫌悪」「中立」の3つのイメージで、それぞれを録音する。
  3. さらに、「好意」「嫌悪」「中立」を表した表情の顔写真を1枚ずつ用意する。
  4. その上で、録音と写真をさまざまに矛盾した組み合わせをつくって被験者に示し、それぞれについて被験者が最終的に「好意」「嫌悪」「中立」のうちのどの印象を持ったかを質問する。

■メラビアンの結論
メラビアンが実験の結果として結論付けたのは、発信者が受信者に対して与える影響は、それらが矛盾していた場合には、視覚情報>聴覚情報>言語情報の順に優先されるということである。

人材開発研究所さん

たったこれだけの実験で、人は言語情報よりも聴覚情報や資格情報を優先する、と結論付けたわけです。厳密にいうと、メラビアンは、録音と写真の組合せばバラバラだったときのみに、聴覚情報や視覚情報から「好意」の項目に〇をつけただけだ、と言っているだけなんですね。

2.独り歩きしたメラビアンの法則

そこで登場したのが、胡散臭いコンサルタントやセミナー講師、研修の講師たちです。とにかくメラビアンの法則を引用する。

実験の背景を一切説明せずに、7-38-55の法則は有効だと言い切ります。

この内容が次第に一人歩きをし、この法則から「見た目が一番重要」あるいは「話の内容よりも喋り方のテクニックが重要」という結論が導き出されると言う解釈が有名になっている。就職活動の面接対策セミナー、営業セミナー、自己啓発書、話し方教室などでこの解釈がよく用いられる。

wikipedeia:メラビアンの法則

お気づきかと思いますが、メラビアンの法則は、物凄く使い勝手がよいです。

  • 【7-38-55】という数字の組み合わせ
  • メラビアンという覚えやすい「名前」
  • 海外で実験が行われているという事実

この数字の組み合わせって覚えやすいですよね。

 

7-38-55の覚え方

コレを読み上げれば一発です。

「ナナちゃん、サヤちゃん、GOGO!」

もう7-38-55は忘れませんよね?

名前も覚えやすい

はい、こんな感じ。

  • メラ=ドラクエの魔法
  • ビアン=ご想像にお任せします

スグに覚えます。

日本人は海外の法則が大好き

日本の研究者が実験しても信じないどころか、興味を示さないのが私たち日本人です。一方で、これが海外で行われた実験だと解れば、中身を確かめずに信じてしまう国民性です。

例えばこれが日本の学者さんで「木村の法則」と紹介されていたら、誰も信じないわけです。「木村!お前、いい加減なことをいってんじゃねー!」と批判の嵐になります。(笑)

別にこれはあなたが悪いわけではありません。海外の実験が正しいと思わされるように、小学校の頃から先生を含めて私たちは教育されています。(洗脳かもね・・・)

まとめると、メラビアンの法則は、「覚えやすい」「解りやすい」「海外ブランドがある」「みんなが使っている」という理由から使い勝手がよい法則として普及しているわけです。

 

3.メラビアンの法則が正しいと仮定して・・・

では、今度は7%の内容よりも、93%の声のトーンや見かけのほうが約13倍大事だということを仮定して質問します。

この93%はいきなり伸ばせるものですか?

もしもこの質問にYESと答えられるのなら、今すぐに残りの93%を伸ばしてください。

 

たった「7%」を軽視したツケ

それでも、メラビアンの法則を信じる人はアホ!だと主張している理由は、「内容より雰囲気(声・見た目)の方が大事なんでしょ!」と勘違いしてしまう人が多いからです。

内容:7%を無視したら、全てがグダグダになる

断言します。逆にこう提案します。

内容:7%に全力投球してください!

更に、こういいます。

他の93%はいったん忘れてください!

人前に立ったときに頭の中が真っ白になってしまったらアウトです。メチャクチャ自信がないように見えてしまいます。もちろん、声や見た目にも影響をしてします。結果として全てダメになってしまいます。

スピーチで失敗する人によく見られる傾向です。

7%の内容=自信

これが真実です。人前に立って話すのは誰だって緊張はするものです。これは誰だって同じです。ディベーターだろうと、話のプロであろうと人前に立って話すと緊張するのが当たり前。

では、緊張しても上手に話せる人とそうでない人は何が違うのか、頭の中で伝えることが整理されていて、次に何をしゃべればよいのかが頭の中で解っているからです。

すると、声の大きさや身振り手振りに気を使う余裕ができるため、結果としてスピーチの精度が高まります。

スピーチの講師も内容第一に考える
たとえ、「内容よりも見た目だよ!」と口では言いますが、講師自身、そんなことを信じていません。
実際に私がそうだからです。過去にスピーチのセミナーで参加者の人にメラビアンの法則を教えていましたが、私が最も力を入れたのは、7%の内容でした。声とか見た目は、その後です。
心の中で、「え・・・声と見た目?アホじゃない!」と思っているでしょう。

 

ディベートのスピーチは完全に7%の世界

ディベートの試合では、選手の渇舌が悪くても、見た目の印象が最悪でも、内容が全てです。内容さえしっかりとしていれば、よいスピーチと見なされます。少なくともジャッジはそう判断するでしょう。

「キミ、スピーチの内容はよかったけれど、印象が悪いからダメだね!」と批判するジャッジはいません。(そんなことをしたらジャッジが批判される)

選手のスピーチを見ていてよく思うこと

3つのスピーチがあります。

  • A 原稿が頭の中に全てインプットされている状態
  • B 手元にスピーチ原稿があっていつでも見れる状態
  • C 原稿が用意されていなくて、思いつきで喋る状態

原稿とは内容のことですよね。さて、3者の中で誰がいちばんよいスピーチができるかというと、やっぱりAの人です。

ディベートの試合でもメラビアンの法則は重要か?
スピーチコンテストではありませんが、自信を持って堂々と大声で発言できる人の方がそうでない人よりも試合に勝ちやすいのは経験上知っています。※もちろん最低限の論理があってのことですが。
ジャッジは論理で判断をしているのか?
ある程度トレーニングされたジャッジであれば声の大きさや見た目の要素は試合には一切持ち込まないのでご安心ください。また、いくらスピーチが上手でも論理が破たんしていたり、それを誤魔化すかのようにスピーチで勝負をしようとしても通用しません。一方で、ジャッジもたくさんいるということです。

sponsored link



sponsored link



こちらの記事もどうぞ

-心理学・影響力の武器

Copyright© インプロ部 , 2017 AllRights Reserved Powered by AFFINGER4.