ディベートのルール-その7.フィアットとは?テーマがShould形式である理由


ディベートのルール・禁止行為
政策ディベートに特化したマニアックなルールかもしれませんが、ディベートの講師をするのなら必ず知っておいた方がよい概念・ルールなので覚えておいて下さい。

はじめに

1.フィアットとは?

ディベートの試合における「縛り」のようなもので、テーマの主人公がテーマ・プランを絶対に実施すると仮定して、「仮にそのテーマ・プランを実施したらどうなるだろう?」ということを前提条件にして議論を進めるお約束事です。

これをフィアットがかかっている状態と言います。

1-1 有効な反論と無効な反論

日本政府は、消費税を10%にするべきだ、で考えてみましょう。

通常、ディベートはテーマを実行して、そこから発生するメリットとデメリットを戦わせます。例えば、消費税を10%に引き上げて、国家の財源が潤えば、国家にとってはメリットです。一方で、国民にとってはどうでしょうか?

明らかに、お財布からお金が2%引き上げ分余計に出ていくのだからデメリットでしょう。当然、消費税を10%に賛成なんてしないわけです。現実はそうですよね。

ですが、ディベートでは、国民が納得しないから消費税を10%にできない、という議論を否定側は出すことができません。

 

1-2 ディベート的に考えてみる

もしも、国民が納得しなければ、議会で反対派を抑えられない限り、テーマを実行することができないのであれば、ほとんどのテーマが実行できません。まるで日本の国会です。

そして、肯定側は、国民や他の議員たちから賛同を得られるという証明をする責任まで負うことになります。それがどんなに大変か・・・というより、4分やそこらの時間でそれを説明するのは不可能。

だから、ディベートの試合では、とりあえず、テーマを実行したと仮定して、そこからどんなメリットとデメリットが起こりうるかを考えてみて、望ましい方を選ぼうね、というところからスタートしています。

このような状態をフィアットと呼びます。

ざっと説明をしたので、もう少し詳しく見ていきましょう。

2.「べき論」になっている理由

ほとんどの、ディベートのテーマはべき論で作られています。Shouldの形式です。

●●が××をするべきである、という作りですよね。

これには深意味があって、実際に実行可能(Can)かどうかで議論をするのではなく、実際にそのテーマを実行したと仮定して、その後の世界について議論をしましょう、という作りだからです。全ては仮定の話です。

現実的にできるできない、で議論をすると議論にならないことが多いからです。

2-1 もしも「強引」にテーマを実行したら?

先ほどの消費税10%に戻って考えてみて下さい。

国民が納得しないから今回はテーマを実行しないが成立するでしょう。ただ、ディベートの場合だと、それでも強引にテーマを実行したらどうなるだろう、とテーマを実行した後の世界を仮定します。

全ては仮定の話です。そもそもなぜ議論をするかというと、現時点でどちらの答えが望ましいのか判断できないからです。例えば、消費税を10%にすればよいことが起きるかもしれません。

ところが、日本では、消費税を10%まで引き上げたことがないため、私たちは判断できません。

ただ、言えることが、確実に消費税2%引き上げ分のお財布にダメージは受ける、ということです。そこだけ解っているから反対するわけです。

2-2 どんな悪いことが起きるか?

これまでは肯定側よりでしたが、ここからは否定側の視点に立ってみて下さい。

否定側はできない議論

  • 「国民が納得しないからこのテーマは実行するべきない」
  • 「みんなが納得して、このテーマが実際にできることを述べろ」

という議論を否定側は回せません。これは、先ほどお伝えしたフィアットがかかるからです。

否定側が自ら、「国民が納得しないこと」を証明して、そこから「納得しなければどんな問題が起きるのか?」を証明しなければなりません。

例えば、「年金を減額したら、国民が悲しみます」ではなく、「年金を減額したら、高齢者たちがデモ活動を起こして、国会に乗り込んできます。学生運動のような状態になります。」など新しい問題が発生するシナリオをしっかりと作りこまないといけません。

暴動になるのか?戦争になるのか?犯罪が増えるのか?など具体的なデメリットを提示して、その上でメリットとデメリットを比べます。

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3.主人公の実行可能範囲?

続いて凄くマニアックなネタ。テーマの主人公についても簡単にお伝えしていきます。ディベートのテーマを作りたい人は是非とも覚えておいて下さい。

3-1 政府と国家の違い

テーマの主人公が、「日本」「日本政府」の場合があります。国家と政府の場合ですね。さて、この2つは何が違うのでしょうか?

  • 国家王様-どんな政策・法案も自由に設定することができる。行政や司法もコントロールすることができる
  • 政府立法-立法機関であり、法案・制度を作ることはできますが、行政や司法に働きかけることはできない

と、以前誰かから教わりました・・・・・。

別にディベートの試合にそこまで大きく影響したことがなかったので、あまり深く考える必要はないですね。知っていて得をしたーと知識程度に抑えておいて下さい。

3-2 ユニクロとファーストリテーリングの違い

「株式会社ファーストリテーリングは、高級ブランド市場に進出するべきである」

社会人ディベートCafe☆時代に作ったテーマで、インプロ部の内輪試合でも時々このテーマで盛り上がります。

3-2-1 テーマの主人公がユニクロの場合

さて、もしもこのテーマが「株式会社ユニクロは、高級ブランド市場に進出するべきである」だったらどうでしょうか?

ユニクロは、ファーストリテーリンググループの傘下にある事業のひとつです。両者の力関係から考えると、このような図式になります。

ファーストリテーリングーユニクロやGUに働きかけることができる。圧力をかけることも可能
ユニクロ-ファーストリテーリングには働きかけることができない。GUにも働きかけることができない

ここから言えることは、ユニクロよりもファーストリテーリングを主人公にした方が議論の自由度はグンと広がるわけです。

3-2-2 株主企業と傘下企業の場合

さて、問題です。トヨタや京セラはKDDIに働きかけられるか?KDDIの株主がトヨタや京セラであることは有名ですね。両企業合わせて、50%に近い株式を保有しています。

参考記事なぜ京セラ・トヨタはKDDIの株主になったのか?

実際に、トヨタや京セラは、KDDIに対して圧力をかけているかどうかは解りません。それを踏まえて、もしも私がジャッジなら、一定の立証責任は生じるでしょう。国家→行政のように一定のフィアットはかかりません。

トヨタ&京セラとKDDIの資本関係について知っている人は少ないからです。ですから、KDDIはトヨタ・京セラに従う!という議論をしたければ、KDDIがトヨタ・京セラと資本関係があることを証明しましょう。

 

4.ディベートのルール一9つ

ディベートのルールについては以下の記事に全てまとめました。即興ディベートワークショップでは、全て以下のルールに従ってディベートをしています。

9つもルールがあって難しく感じるかもしれませんが、頭で理解するよりは実際にやってみると、「なんだ当たり前じゃん」と男思えるようなルールばかりなので、あまり身がまえないでくださいね。

お勧めなのは、頭で強引に理解章とせずに、実際にやってみることですかね。

 

 

 

 

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