ジャッジの仕事は3つ-振り返り・判定の方法・アドバイス


ジャッジ取り方

試合が終わったら、どういう試合だったか振り返りを行い、肯定側か否定側のいずれかに判定をします。判定後は肯定側と否定側が納得するように試合の講評をしていきます。最後に、選手やその場にいる皆に対してアドバイスをします。

はじめに

1 ジャッジとは?

ジャッジ取り方

ディベートでは試合の決着をつける人のことをジャッジと呼びます。なので、ジャッジと覚えてください。

さて、そんなジャッジの立ち位置についてもう少し詳しくお話をしましょう。

1-1 選手の目的はジャッジを説得すること

ディベートの試合では相手を言い負かすことではなく第三者であるジャッジを説得すること、と教わります。相手をギブアップさせるくらいコテンパンにしても、ジャッジから票を勝ち取れなければ、負けです。

逆に考えると、相手からどんな攻撃を受けても、ジャッジから、「あなたの議論のほうが相手チームの議論より説得力があると判断したから、あなたに投票しました」と言ってもらえれば、あなたは試合に勝てたことになります。

1-2 ジャッジから票を獲得する方法?

第二反駁でこれまでの議論を全て整理して、ジャッジに対して、「よって、この試合は、肯定側(否定側)に投票してください」という強く指示することです。

お店のスタッフが「今すぐに、この商品をもってレジに並んでください」というようなイメージですかね。(笑)

え?そんなことをいうの?と思うかもしれませんが、この一言を最後のスピーチでいうために、これまでの議論があるわけです。

2.ジャッジがチェックしている3つのポイント

ジャッジ決断思考

さて、ここからはジャッジと選手の両方の視点に立って考えてみて下さい。肯定側第二反駁(最後のスピーチ)が終わったタイミングでジャッジは以下の3つのポイントをチェックしています。

  • 2-1 議論が成立している理由を示せているか?
  • 2-2 細かい争点に決着がつけられたか?
  • 2-3 お互いの議論を比較しているか?

よって、選手としては、この3つのポイントを意識してスピーチに取り組めばジャッジから投票を勝ち取ることができます。

試合が終わった後にジャッジがチェックしているのは、この3つです。

2-1 議論が成立している理由を示せているか?

言い換えるなら、自分たちの議論がどの程度成立しているのかを定性的に示せることです。

テーマがあったほうが解りやすいので、用意しました。

仮テーマ:●●フードは、カリフォルニアロールを商品化するべきである

「カリフォルニアロールは日本で売れる?」で考えてみましょう。カリフォルニアロールといえば、アメリカでヒットしたお寿司です。アメリカ人か日本人かは忘れましたが、日本のお寿司をアメリカ人が食べやすいようにアレンジしたものです。

「カリフォルニアロールは、アメリカで売れたのだから日本でも売れる」という議論を提示します。

すると、相手選手からは、「アメリカで売れたからといって、日本で売れるとは限らない」という反論を受けることになります。

では、ここで問題です。この議論は成立しているでしょうか?それでも成立していないでしょうか?

答えは、両方です。

完全に成立はしていなくても、ある程度は成立しています。

2-2 細かい争点に決着がつけられているか?

先ほどのカリフォルニアロールの続きですが、究極的にはカリフォルニアロールが日本で売れるかどうかなんてやってみないと解りません。未来のことですから。

様々な議論がある中でひとつひとつの議論に決着をつけていくのがポイントです。

例えば、カリフォルニアロールが日本で売れるとは完璧に証明できなくても、このようなことは言えます。

2-2-1 立証側

「日本人はカリフォルニアロールは食べなくても、

  • お寿司を食べる文化がある
  • シーチキンやサーモンにマヨネーズをかける
  • エスニック料理が好きな日本人はたくさんいる

よって、カリフォルニアロールは売れる、と判断してください。」

と、カリフォルニアロールは100%売れるとは主張しませんが、これまでの論点を集約整理して、自分たちの議論は説得力がある、と示すことが大切です。

もちろん、この議論を崩すこともできます。

2-2-2 反証側

「一部の人がカリフォルニアロールを食べることは解った!しかし、

  • 一部の人であって万人ウケする商品ではない
  • 万人ウケする商品でなければ商品として販売するのは難しい
  • アメリカではジャパニーズブランドが強いから成立している。日本では通用しない

よって、カリフォルニアロールは日本ではそんなに売れないと判断してください。」

つまり、ある程度売れることは認めたうえで、商品化するレベルまでには至らない、という反証です。

さて、この2つの議論に決着をつけていきましょう。

2-2-3 争点の決着

繰り返しになりますが、ジャッジは、カリフォルニアロールが売れるとか売れないとか、商品化するべきか否かとかどうでもいいと考えています。そもそも自身の考えを試合には持ち込まないことを徹底しているのがジャッジです。

大事なのは、カリフォルニアロールを商品化するべきか否かの判断材料と判定基準です。これまでの議論を振り返って、判断材料と判定基準を示せるかがディベーターの腕の見せ所です。

さて、この判断材料と判定基準の違いについては、次の「お互いの議論を比較しているか?」でお伝えしていきます。

次に進んでください。

2-3 お互いの議論を比較しているか?

まずは、先ほどの判断材料と判定基準の違いについてみていきましょう。この2つが似ているようで全く異なります。

<判断材料>

  • カリフォルニアロールが売れるかどうかを検討するために必要な情報

今回の議論を振り返ると、「カリフォルニアロールが売れる」と立証した側はたくさんの判断材料を示していました。

  • お寿司を食べる文化がある
  • シーチキンやサーモンにマヨネーズをかける
  • エスニック料理が好きな日本人はたくさんいる

対して、反証側は、この論点に対しては、全く否定できていません。カリフォルニアロールが売れない、という情報は十分に否定できませんでした。

<判定基準>

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  • カリフォルニアロールが売るべきか否かを決断する考え方・決断方法

今回の場合だと、売れる商品と売るべき商品は別の話です。経営判断に近いかもしれません。「カリフォルニアロールが売れない」ということを立証できないと判断した反証側は、別の判断基準を持ってきました。

  • 売れるのは分かったけれど、商品として販売するかは別の議論
  • 今回の場合だと、多くの人には支持されないから、販売するべきではない

と、このように論点をすり替えたわけです。つまり、相手の議論を一部認めたうえで、自分たちが戦いやすい方向で議論をリードしていくわけです。その手段が、判断基準を示すことです。

このようにジャッジは、お互いの議論を吟味してどちらのほうが説得力が高いか、どちらに投票をするべきかを、判断材料・判定基準をもとにして考えてジャッジをします。

3.ジャッジの仕事3つ

先ほどは、ジャッジの仕事は肯定側と否定側の議論両方を聴いて、説得力があると判断したほうに票を入れるもの、とお伝えしました。

単に肯定側と否定側のどちらかに票を入れるだけのジャッジなら、これだけでOKかもしれませんが、公式戦のジャッジは他にもたくさんの仕事があります。

3-1 試合の振返り・判定・アドバイス

ジャッジの仕事は振り返り判定講評アドバイス

自由-より自分が説得されたと判断した方に説得してよい

責任-なぜ肯定側(否定側)に投票をしたのかを説明する義務

<ジャッジの仕事と親和性の高い職務>

  • 試合の振り返り-議事録やマインドマップが書ける程度でOK
  • 判定・講評-仕事でリーダークラスの裁量を持っていればOK
  • アドバイス-講師やトレーナーの経験、褒め上手であればOK

ディベートができるできないに問わず、社会人経験がある人なら、ジャッジは誰でもできるポジションかもしれません。

ま、そんな感じでひとつひとつのポイントを見ていきましょう。

1-1 試合の振り返り

ディベートジャッジ編フローシートが大事

選手の発言・試合で提出された議論を全てフローシートに書きます。判定・講評をするときは、これまでに書いたフローシートを見ながら行っていきます。

フローシートを書くときに注意点

自分だけが解ればいいので、キレイにまとめる必要はありません。私は、人に見せられないくらい殴り書きで書いています。試合が終わって、スピーチの内容を思いだせるようにしておくのがポイントです。

フローシートの書き方については、あまり難しく考えず、段からメモやノートをまめにとる感覚で書いてみて下さい。大事なのは、フローシートをキレイに取るよりも、試合の内容を振りえって解説できることなので。

これまで試合に出てきたスピーチを全てフローに書き落とせたら、判定・講評をします。判定の方法は、メリット・デメリットをチェックしてみて下さい。チェックするべき点は、これからお伝えする6点です。

1-2 判定・講評

いきなりジャッジをすると、「どちらに判定をしたらよいのか?」と誰もが迷いますが、判定そのものはどっちでもよいです。大事なのは、判定そのものよりも、判定後にどのように講評をするか、です。

直感で決めても問題ない

選手は試合の結果しか頭にありませんが、ジャッジにとって大切なのは結果に至るまでの過程です。肯定側に投票をしても、否定側に投票をしても、その場にいる人たちが納得できる説明ができることがジャッジには求められます。

もしもあなたがジャッジをしていて、自信がなければより説明が判定後の講評が楽だと思った方に投票をしても構いません。

選手の判定理由にのっても問題ない

基本は、選手自ら投票理由を試合の中で出してくると思うので、選手の主張に乗っかるのがいちばん簡単です。ところが、「全てジャッジにお任せします」というスタンスの選手もいます。

そもそもジャッジに合わせて解りやすいスピーチをするのも、選手にとってはスキルのひとつです。

ただし、フローシートは書けるようになって下さい。ここが一番大事です。

メリット・デメリット方式が一番カンタン

抑えるべきポイントはメリットとデメリットの6つであり、それぞれの主張と根拠です。

  • ゼロになった、限りなくゼロに近い
  • 全体のバランスを見て著しく弱い

と判断したら、掛け算で考えましょう。つまり、メリット・デメリットそのものを採用しない、ということです。

この判定方法の優れいているところは、竹を割ったかのようにサッパリとした講評ができることです。

選手にとっては、判定が全てですが、ジャッジは、選手や観客から突っ込まれない講評をすることが大事になってきます。

1-3 アドバイス

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ジャッジは、教育者・コーチ・トレーナーの素養が試されます。

「教える人」・・・判定だけして終わりではないのがスポーツの審判との決定的な違いですね。

ひとつの試合を通じて学んだこと、次の試合での活かし方?といったディベートのためのアドバイスのみではなく、ディベートを通じて身に付けたスキルをどのようにして日常で活かしていくのか?と、選手の成長をサポートできる人がジャッジには向いています。

・・・というより、そうあるべきなんですけれどね。本来は…

この点、ジャッジは、勝ち負けに関係なく選手から満足してもらえるような働きかけや言葉選びが必要になってきます。

もしもあなたが、「人を育てるような仕事に就きたい」と思っているのなら、選手よりもジャッジに向いているかもしれません。

最後に

ちなみに、私がジャッジを始めたのは、大学4年生のときで、本格的にジャッジをしたのが社会人2年目でした。結構遅かったんですよね。

ジャッジのスキルにはあまり自信がなかったので、とりあえず「アドバイスをする」からスタートしました。ディベート甲子園の中学生・高校生の大会のメインジャッジとサブジャッジを担当しました。当時のスキルはともかくとして、褒めるのが上手だったみたいです。(笑)

本当に上手でしたけれどね。

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